2024-07-30

山形SC所長推薦図書(3)平澤先生その1

本日は、山形学習センター(山形SC)、所長推薦図書紹介第3弾、(3)平澤興先生について一部再掲も含め少し記します。

平澤先生は、新潟の寒村、味方(あじかた)のご出身で、そこには『平澤興記念館』があります。かつて、「平澤先生を訪ねて」、新潟への旅に出かけたことがあります。

「なによりも大切なことは、人を生かすことである。そして、その人に喜びと勇気と希望を与えることである」。これは、先生の教えの一つ。腹にズンと響きます。

先生は、1900年(明治33年)に新潟市味方で生まれ、88歳で逝去。専門は、脳神経細胞学。京都帝国大学医学部卒業、新潟医科大学教授、京都大学教授を経て京都大学第16代総長。

写真は、記念館にある先生の銅像。

総長を退任後、特に力を尽くされたことの一つが家庭教育の普及運動。人間の基本的な性格は幼児期に形成されるとの考えから幼児教育の意義、そして母親の役割の重要性を痛感される。

それゆえ、教育者としての余生を「全日本家庭教育研究会(全家研)」の運動に捧げられた。

そして、「1.親は、くらしを誠実に。2.子どもには、楽しい勉強を。3.勉強は、よい習慣づくり。4.環境づくりは、人づくり。5.人づくりは、人生づくり」と平易な言葉で自らの心情を述べる。

また、日本全国を訪問し、各地のお母さん達に講演。その講演集が、『平澤興講話選集全5巻、生きる力』。凄い人、信念の人です。

この『平澤興講話選集全5巻、生きる力』は、山形SCの所長推薦図書として購入し、私も自宅で毎朝、少しずつ読んでいます。

先生の大学生活の基本方針は、「大学では、講義を聴き、講義で紹介される原書を読み、講義と原書で十分考え自分自身のノートを作る」。

しかし、入学後直ぐに講義に出てそれを整理すると原書を読む時間はない。原書を読もうとすると講義に出る時間はない。自分の基本方針が到底実行不可能なことを知る。

「自分が自分に約束したことが出来ないようでは、人間の名に値するのか」との煩悶から、大学を止め、人間も止めようと考える。そして、大学1年の12月早々に味方に帰省。そして、吹雪の雪原をさまよう。そこに先生が私淑していたベートーベンがドイツ語で呼びかける。

それは耳の病気で絶望的になろうとする25歳のベートーベンが叫ぶ、自己に対する戒めと励ましの言葉。そのベートーベンの言葉により先生は、人間を止めるのをとどまった。

写真は、記念館にある先生関連の品々。

先生の郷里で先生がさまよわれたと思われる地域を眺め、感慨に耽りました。

平澤興記念館では、先生に関する記念品などが展示してあり、ぼんやりと眺め在りし日の先生を偲ぶ。先生は、「努力、努力、努力」の人です。

掛け軸と色紙を購入し、我が家の玄関には掛け軸、書斎には色紙をかけて毎日眺めています。

色紙は、「進むべき道は一筋世のために がまんがんばり 今日もあしたも」。掛け軸は、「今日もよし あすもまたよしあさっても よしよしよしとくらす一日」。よい教えです。


平澤先生の教えを少し紹介します。

「今が楽しい、今が有り難い、今が喜びである。それが習慣となり、天性となるような生き方こそ最高である」。

「いかように、可能性を引き出すかということについては、これは、本人に、興味を持たせること、面白いと思わせることが第一だろうと思います」。

「教育とは火をつけることだ。教育とは火をつけて燃やすことだ。教えを受けるとは、燃やされることであり、火をつけられることです」。

「相手の心に火をつけることは、ただ一方的な命令やおしつけでできるものではなく、こちらも燃えて相手と一つになり、相手のかくれた可能性を見いだして、これを燃やすことである」。

「生きよう今日も喜んで。生きるとは燃えることなり。人生はニコニコ顔の命がけ」。

先生からは、毎日、少しずつ学んでいます。間口が広く奥行きの深い、素晴らしい先生。先生に感謝。

『いまを大切に』(平澤 興 一日一言)

「今日一日の実行こそが人生のすべてです。それ以上のことはできない」。

『いまを大切に』、重要に思います。