2022-02-28

大学入試とその業務、「懐かしい思い出」

明日から「弥生3月」。月日の過ぎゆく早さを感じます。「光陰矢のごとし」。

昨日及び一昨日は、国立大学一般選抜前期日程、2次試験。11年前の前職場、山形大農学部では入試にも携わり、フト入学試験とその業務を思い出しました。少し紹介します。

大学では、毎年、色々な入学試験が実施されます。例えば、山形大農学部、3年次編入試験や一般選抜(前期日程)も含め7種類の入試がありました。

さらに、大学院の修士及び博士課程入試。そして、入試問題作成や査読。入試業務、大変です。

山形大に赴任して数年後、生物学の入試委員になり問題作成に携わりました。委員会が立ち上がると、2週間に一度、鶴岡から山形市の小白川キャンパスで開催される入試委員会に出席。

当時は高速道もなく、一日仕事の出張。大変でした。

理学部生物学科からベテラン委員が7名、農学部から3名の委員。委員がそれぞれ問題を作成し、その中から妥当な問題を選出。何と初心者の私の問題も選ばれました。

私は生物学の知識がなくても解ける面白そうな問題作成に挑戦。当時は、アブラムシの捕食者、テントウムシ等の種間関係の研究が、私の研究テーマの一つ。

そこで、野外でアブラムシ捕食者の観察を中心にした問題と、餌をめぐる2種テントウムシの相互作用を解明する要因実験に関する問題を作成。

試験が終わり、その年の大学入試過去問題集「赤本」で問題の解答と解説を一読。どのような講評か少し気になりました。「受験生にじっくりと問題を考えさせる優れた設問である」との「評」にニヤリ。

大学入試業務は、問題作成以外に試験場での業務もあります。特に、大学入試センター試験は大変です。

当時、1500名程度の受験生が鶴岡会場でセンター試験を受験。試験当日の入試業務としては、試験場本部業務、各教室での試験監督、野外での整理等の業務等々。

試験監督は、問題及び解答用紙の配布及び回収。そして、試験実施要領記載事項を音読し、不正がないように監督するのが主業務。これは割と問題なく対応できます。

ところが、ある年から英語試験に「リスニング」が導入されました。これが結構大変。機械のトラブルも含め問題が多発。私は、「リスニング」が導入された年、副学部長で本部業務。本部業務担当者は、監督者説明会の参加は不要。試験監督業務には関知しないので「リスニング」の説明は聞きません。

ところがその年に限り、風邪で予備監督者全員が欠席。何となく胸騒ぎ。何と監督者も1名欠席。一つの教室で監督者なしが発生。本部担当者から誰か出陣する必要あり。前述のように本部業務者は、試験監督の説明会は欠席、ウウウ。

一瞬本部担当者が沈黙。「こりゃやらねばイカンバイ」と思い、ニッコリしながら「私がやります」と引き受けました。全く想定外。その後、試験監督要領の「リスニング」をナメルように読み込み、イザ出陣。

教室では、ユックリ落ち着いて監督要領を大きな声で音読し、自信満々のような顔で対応。これ結構、重要です。

おかげで質問や問題もなく試験が無事終了。ホッとしたのを今でも鮮明に覚えています。人生、予期しないことが起こります。勉強になりました。

学部長の時は4年連続、試験場責任者。朝7時前に家を出て夜10時前の帰宅。試験業務は入試委員長が対応するので試験場責任者の出る幕はありません。しかし、2日間、気を遣ったのを覚えています。

何も起こらなくて当たり前、それが入学試験業務。懐かしく思い出しました。

『反省』(平澤 興 一日一言)

「人間がその人生の目標に向かって積極的情熱的に前進する限り、反省は、若人にも老人にも絶対に必要であろう。しかしこの反省は、後ろ向きの暗い反省ではなく、前向きの明るい努力と実行のある反省である」。

「世の中を見ると、どうも失敗でだめになる人のほうが多いようだが、真に大成した人は、むしろ失敗を機として逞しく立ち上がった人であって、こういう例は内外ともに少なくない」。

『反省』、「前向きの明るい努力と実行のある反省」、重要に思います。

2022-02-26

朝の散歩、『言志録』との出合い

「己を喪(うしな)えば、斯(ここ)に人を喪う。人を喪えば、斯に物を喪う」、『言志録120条』。「自信がなくなると社会の人々の信用をなくしてしまう。社会の人々の信用をなくすと何もなくなってしまう」。

忠犬クニオとの松ヶ岡一周散歩コースにある「菅原兵治記念館」の「箴言の掲示板」。今月は、「言志録」の箴言が紹介されていました。本日は、『言志四録』について少し紹介します。

『言志録』は、佐藤一斎先生が記された『言志四録』の一つです。これは、幕末、昌平黌の儒者、佐藤一斎先生が42歳から82歳までに記された四巻の箴言集。

『言志録、246条』、『言志後録、255条』、『言志晩録、292条』、『言志耋録340条』より構成されている1,133の箴言集。

前職の山形大で教育・国際交流担当の時には、月曜日の朝11時から「教育・学生支援部」のミーテングを開催し、毎回『言志四録』から箴言を一つ紹介していました。『言志四録』、懐かしいです。

一斎先生、美濃の巌邑藩(いわむらはん)の藩士として1772年に誕生。1841年60歳の時、昌平黌(東大の前身)の儒官(総長)になり、数千人の門人を育成。明治が始まる9年前、1859年に88歳で逝去。

有名な門人には、佐久間象山、横井小楠、安積艮斎、中村正直等。さらに、象山先生の門下からは、勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰、小林虎三郎等の志士が輩出。

そして、松陰先生の門下からは、高杉晋作、久坂玄瑞、木戸孝允、伊藤博文、山県有朋等が輩出され明治維新を形成。

一斎先生は、幕末から明治の日本形成に大きな影響を及ぼした人と言っても過言ではないでしょう。

また、西郷隆盛(南洲)が、この『言志四録』を愛誦し、その中から、会心の101条を抄録し、金科玉条として座右の箴(いましめ)としていたとのこと。

『言志録88』は『眼を高くつけよ』。「著眼(ちゃくがん)高ければ、則ち理を見て岐(き)せず」。

意味は「出来るだけ大所高所に目をつければ、道理が見えて、迷うことがない」とのこと。生き方の本質が、片言隻句(短い言葉)に凝縮。『言志四録』、味わい深い書です。

今回のブログは、『言志四録(一)』(佐藤一斎著、川上正光全訳注、講談社学術文庫)を参考にしました。

『三学戒』(安岡正篤 一日一言)

「少(わかく)にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず(佐藤一斎 言志晩録)」。

「若い者の怠けて勉学せぬ者を見る程不快なものはない。ろくな者にならぬことは言うまでもないが、まあまあよほどのろくでなしでもなければ、それ相応の志くらいはあるものである」。

「壮年になると、もう学ばぬ、学ぼうとせぬ者が随分多い。生活に逐(お)われてだんだん志まで失ってしまうのである。そうすると案外老衰が早く来る。いわゆる若朽である」。

「よく学ぶ者は老来ますます妙である。ただし学は心性の学を肝腎とする。雑学では駄目である」。

「細井平洲も敬重した川越在の郷長老、奥貫友山の歌に「道を聞く夕に死すとも可なりとの言葉にすがる老いの日暮し」と」。

『三学戒』、学びの習慣、必要です。「老いて学べば、則ち死して朽ちず」、これからも学びたいと思います。

2022-02-24

過去の冒険と放浪及び、「高齢者の放浪願望」

商船高専の学生であった今から半世紀前、17歳の時、恩師から「安田は、放浪癖がある」と言われました。

商船高専がある瀬戸内海には多くの島があり、一番大きな淡路島、その次が小豆島で、3番目が商船高専のある周防大島。

「何故、私に放浪癖があると思われていたのか、理由は不明です」。しかし、昔から旅は好きで、フト旅に出たくなることがありました。

商船高専1年時には、大きなザックを背負い、周防大島を一泊二日で歩いた一周の旅。

さらに2年時には、小説『二十四の瞳』の「大石先生」に会いに小豆島の「岬の分教場」も含め、小豆島を歩いて一周の旅。

これらの旅が「放浪癖がある」と思われた一因かと想像します。

本日は、過去の冒険と放浪及び、「高齢者の放浪願望」、私の旅について少し紹介します。

辞書によると冒険と放浪の違いは、「冒険とは、日常とかけ離れた状況の中で、なんらかの目的のため危険に満ちた体験の中に身を置くこと」。一方、「放浪は、あてもなくさまよい歩くこと」。

冒険と放浪の違いは、目的の有無と危険の程度のようです。

この定義から言うと周防大島及び小豆島一周徒歩の旅は、放浪に近く、「安田は、放浪癖がある」との恩師の判断もまんざら外れてないのかもしれません。

人生で最初の冒険は、小学校6年生の時、一学年下の親友「ゆうちゃん」と邑智郡一周の自転車での旅。今と違い昭和30年代の道路は砂利道のデコボコ道。さらに、しっかりした地図もなく少し不安な旅でした。

朝7時に我が家を出発し、帰ってきたのは夕方の5時過ぎ。当時の私には邑智郡は未知なる世界。その一周は大冒険。無事に大冒険を終えて帰宅した時は、満足感と達成感に満たされ、生涯忘れ得ぬ思い出です。

それが高じて、商船高専2年の春休みには、島根から広島、そして四国一周の自転車一人旅。さらに3年生の春休みは、島根から青森までの自転車一人旅。これらの一人旅は、放浪でなく冒険。私の人生で思いで深い自転車旅でした。

それ以降、高齢者の今まで冒険心や放浪癖は、現れませんでした。我が第二の人生も今年4月から3年目を迎え、大人しくしていた放浪癖がムズムズしています。その一因は今、人生に少しユトリが生じたからに思います。

コロナが収まったら、まずは近場、東北六県の中、岩手花巻への放浪の旅に出る予定。

花巻は、札幌農学校を卒業し、東京帝国大学文学部の面接試験で「われ太平洋の橋たらん」と言った、新渡戸稲造博士の故郷。昼は博士に会い博士の生き方を学び、夜は花巻の居酒屋を放浪し人生を学ぶ。少し目標のある放浪の旅、楽しみたいと思います。

「居酒屋のカウンターに一人で座り、盃を傾けながらぼんやりしていると私は一番おちつく」。

「一人は誰かの相手をしなくてもよいし、酒を飲んでしまえばもう大切なことは考えても始まらず、そうしたいから飲んでいる」。

「それが自分のことを誰も知らない地方の酒場であれば一層、開放感は深くなる。自分を取り巻く全てのしがらみを断ち切り、酒を飲む旅だけに旅に出る」。

「これほど心おどることがあろうか。そんな、日本中の居酒屋を飲み歩いてみたいという志(?)を立て、町から町への流浪の旅を書いたのがこの本だ」。

これは、太田和彦著『ニッポン居酒屋放浪記:立志編』、「あとがき」の一部抜粋。

太田さんのこの雰囲気、よく分かります。共感。居酒屋で一人ぼんやり開放感に浸る。至福のひと時。第二の人生、「居酒屋放浪」が「高齢者の願望」の一つです。

コロナが収まれば、まずは夜と昼の二部、花巻を楽しみたいと思います。今からワクワクしています。

『目標を持つ』(平澤 興 一日一言)

「苦労しても目標を持っている間は、人間が光っている」。

色々な目標を持ち二度ない人生を楽しみたいと思います。『目標を持つ』、心に留めたい箴言です。

2022-02-22

松ヶ岡、大雪の中の農作業と「趣味の農業」

雪国の庄内、今年は大雪です。大雪の中でも、雪が降らない日は、農作業が行われています。

私が住んでいる武士の末裔の方が暮らす松ヶ岡、「果物の里」。柿と桃が主たる果物です。

このような果物の生産には、一年を通じて多くの農作業があります。年が明けた1月からは、伸びた枝を切る剪定作業が開始。今は柿の剪定です。

先日の「忠犬クニオ」との散歩では、何人かの方が剪定をされ、全て剪定が終わった果樹園もありました。

本日は、今年の我が家の「趣味の農業」、農作業の課題とそれを克服する方策及び「趣味の農業」の良さを少し紹介します。

昨年は、春から秋まで10種以上の果樹と30種位の畑作物を栽培し、生育や収穫を楽しみました。農作業で手間がかかるのは除草です。少し草取りをしないとアッという間に草畑。

昨年は、出勤前の朝仕事と土日は、除草にかなりの時間を費やしました。それを軽減するため、地表面を黒いビニールで被覆するビニールマルチが気になっていました。

先日、山形駅の本屋で『やさい畑:野菜の育ちは“被覆”で変わる』を発見し、早速購入。今、今年の畑の省力化に向けた戦略を楽しく練っています。

鶴岡に来て約30年。市内の2カ所で生活し、そして15年前に松ヶ岡に移住。16年間市内で生活し、常に市民農園を借りての野菜作り。「趣味の農業」も30年のベテラン?

何故、「趣味の農業」を始め、これからも継続するのか。「趣味の農業」の良さをボンヤリ考えました。

趣味の農業の良さは、1)自由度が高い、2)身体を動かし汗を流す、3)新鮮な野菜を食す、4)栽培や管理方法を考える、5)規則正しい生活になる、の5つはあります。

「自由度が高い」は、色々な意味を含みます。まず、作りたい野菜を自由に栽培できる。農業をしたいとき自由に畑仕事ができる。マイペースで自由に仕事ができる。

このような「自由度が高い」仕事は少ないと思います。「自由度の高さ」、いいです。

「身体を動かし汗を流す」。鍬での畝作りや、耕運機で畑を耕す、除草機での果樹園の草刈等は、かなりの運動量。さらに草取りも良い運動です。「脳みそが筋肉質(?)」の私に合っています。

「新鮮な野菜を食す」、昨年は約30種類の野菜を栽培。朝、色々な野菜の収穫。楽しみです。そして、その新鮮な野菜を直ぐに食せるのも良いです。

「栽培や管理方法を考える」。朝の散歩で色々な農家の畑から学び、さらにネットや本を通じて学ぶ。そして、色々と考え農業を実践。「頭」を使います。ボケの防止にもってこいです。

「規則正しい生活になる」。夏の朝は5時過ぎから畑仕事や野菜の収穫。そして、シャワーを浴びての出勤。規則正しくリズムのある生活。これ重要に思います。

「趣味の農業」のさらなる効果(?)。栽培した野菜などは毎日成長し、その成長する姿から元気をもらえます。そして、手間をかけると、それに反応して生育。面白いです。

時々ですが、子供や「忠犬クニオ」が手伝い、一緒に畑仕事で汗を流す。「家族の絆」を感じるひと時。


「趣味の農業」、私の生活から切り離せません。

市内の市民農園での「趣味の農業」から松ヶ岡に移住し、広大な果樹園と畑をいただき、益々「趣味の農業」と深い関係。「趣味の農業」、その多面的な魅力にハマっています。これからも楽しみます。

『多岐亡羊』(安岡正篤 一日一言)

「多岐亡羊ということがある。これは羊を飼っておった人が羊を逃がした。そこで慌てて追いかけた。隣り近所の人も一緒になって追っかけてくれたが、あんまり枝道が多い。いわゆる多岐である」。

「多岐が多くって、あっちへ行ったこっちへ行ったと言っているうちに、どこかに行っちまって分からなくなった」。

「人間もそういうもので、あんまり仕事が多くなると、肝腎なものがどこに行ってしまったか分からないようになる」。

「人間というものの本質、人間の使命、人間の幸福、そういったものが分からなくなってしまうのである」。

『多岐亡羊』、気をつけたいと思います。「趣味の農業」もユトリを持って楽しみたいと考えます。

2022-02-20

『致知』の執筆者、數土文夫さんに学ぶ

「人生において成長したい。挑戦したい。感謝して過ごす」。これは人間学の月刊誌『致知』、今年の新春講演会第3部シンポジウム、「新年に思う」の問いへの數土(すど)さんの「応え」。


數土文夫さん、現JFEホールディングス(HD)相談役。今年81歳。81歳で「成長したい。挑戦したい。感謝して過ごす」が、「年頭の思い」。凄い人に思います。

JFEは、川崎製鉄と日本鋼管の統合後の名称。「J」はJapan、「F」は鉄のFe、「E」はEngineering。

數土さんは、『致知』の「巻頭の言葉」も執筆。毎回、ひと味違う「巻頭の言葉」に色々と学ぶ処、大でした。

シンポでの「応え」を聞いて、數土さんに大変興味を持ち調べました。マニアックな私は、著書や數土さんに関する書籍を探しましたが未発見。

本日は、YoutubeでのGLOBIS「経営者会議:将たる生き方―組織を作る戦略と生き方」等での講演や2014年の東京電力会長就任会見等々から「數土語録」等の一部を紹介します。

「企業や国のリーダーは、義務の大切さを説明し、説得できる表現能力を持ち、異質を受け入れる胆力、度胸があるかが問われている」。

「リーダーは、1)修羅場をくぐった経験がないと無理であろう。そして、2)2つか3つの専門性を経験すべきである。これは組織の長としてチームを作る能力となる」。

「経営者としては胆力が重要で、胆力のない人は経営者になるべきでない。さらに経営者に必要なことは人間が好きであり、謙虚である。人間学の学び」。

「必ずしも数多くの修羅場を経験できないので「疑似体験」として「十八史略や史記等の書を読み歴史を学ぶ」ことは重要である」。

「簡単明瞭だけでは不十分。読み手に対し訴える力がなければ意味がない。そのためには自分自身の言葉で語り、自分の実際の体験や実績に基づいて書くしかない。さらに、リーダーなら夢も語る必要がある」。

「企業の存在意義は価値の創造。しかも、時代にあった新しい価値。リーダーはそれを表現する言葉を持ち、人々に伝える必要がある」。

「かつての日本は新たな価値を創造してきた。しかし、調整型がトップになり新しい価値を創造する能力を失った」。

「個人それぞれが自分の義務を果たす意識と、独立自尊のプライドを持っていなければ、異質と向き合うことはできない」。

「異質を受け入れることができれば、強くなれる。『論語』や『韓非子』など、中国の古典を読むと、異質との遭遇が人や考え方を磨き上げることがよく分かる。それらは今なお説得力にあふれ、グローバル社会の中で企業や国がどう生きていくべきかの示唆に富む」。

「国家にしても、企業にしても、成功して「これで安泰だ」と思った時が一番怖い。驕って危機感を失った時から、転落が始まる。業績が絶好調であっても、常に危機感、緊張感を持たなければならない」。

「現在に至るまで、経営理念の根本は、いかなるビジネスにおいても、現場感覚の重要さにある」。

「現場感覚を大切に誠心誠意対処し、会社の資産である”人・物・金”すべての生産性を一から見直し、電力事業における生産性改革を格段に進めていくことに全力を投入する」。

數土さんは、川崎製鉄に入社し、日本鋼管との経営統合決定後、川崎製鉄の最後の社長に就任。統合後のJFEスチールの初代社長となり、2005年64歳でJFEHDの2代目社長に就任。

JFEHDは、資本金約1,500億、従業員約65,000人の大企業。數土さんは、その社長も経験。社長を退任し、乞われて、70歳でNHK経営委員長。その後、73歳で震災後の東京電力会長として3年間、東京電力改革を実行。

數土さんの魅力や凄さがほとんど伝わらない紹介になりました。數土さんの生き方や考え方をさらに学び、第2弾では、凄さや魅力が伝わる紹介にしたいと思います。

インタビューで「依頼があれば断らない。「受けて、散る覚悟」も重要。東京電力の会長になり3年間の改革、1ヶ月に1回は辞めたいと思った」の一言が印象的でした。數土さんに感謝です。

今回のブログは、「GLOBIS知見録、経営者会議」、「成功と幸福の誘い:言葉・名言集」等も参考にしました。

『なによりも大切なこと』(平澤 興 一日一言)

「なによりも大切なことは、人を生かすことである。そして、その人に喜びと勇気と希望を与えることである」。

數土さんは、企業のトップとして「人を生かし、喜びと勇気と希望を与えた人」に思います。『なによりも大切なこと』、重要に思います。

2022-02-18

「学びのサロン」『農は過去と未来をつなぐ』

今、私の人生を振り返ると21歳で商船高専を卒業し、その後、大学生、大学院生、博士取得研究員、大学教員と42年間、大学等に関わって生活してきました。

私及び学生さんの大学生活で最も多面的な能力が身につくのは、卒論等の研究と研究室でのゼミに思います。私が学部学生の時は、研究室ゼミだけでなく1週間に複数のゼミを企画して楽しく学びました。

大学は自ら学ぼうとする人が集い、そのような学生がゼミ等を通じて自ら成長するのが存在意義の一つに思います。

放送大学山形学習センター(山形SC)では、昨年度10月から6名の客員教員に協力してもらい「学びのサロン」という名前でゼミを始めました。

学生さんは、ご年配の方も多く全てが社会人もしくは社会人経験者です。豊富な経験や旺盛な好奇心が色々な話題に結びつき、まさしく「サロン」に相応しい集い。

昨年5月から始めた今年度の「サロン」も3月で終わる予定で今、来年度の「サロン」を考える時期になりました。本日は、山形SCの「学びのサロン」、私担当分について少し紹介します。

私の過去2年間、二度の「サロン」では、私が編執筆に関わった岩波ジュニア新書『農学が世界を救う』と『博士の愛したジミな昆虫』をテキストに使いました。

「ジュニア」は、高校生でも理解出来るように記され、多様な方々が学ぶ「サロン」では、使いやすいテキスト。そのような経験から来年度も「ジュニア」をテキストとして「サロン」を行う予定です。

「ジュニア」は、これまで約1000冊が出版され、多様な分野の研究等が分かり易く紹介されています。

しかし、私が「サロン」で扱えるのは、農学か生態学分野です。出版された「ジュニア」を検討し、来年度のテキストは、宇根豊著『農は過去と未来をつなぐ』を選びました。副題は「田んぼから考えたこと」。

これは10年前に出版された書籍ですが、今でも『ジュニア売れ筋ランキング』のトップ100に時々ランクイン。田んぼをフィールドにした宇根さんの生き方や考え方に学ぶ処があるからに思います。

裏表紙に記された本の紹介と各章の見出しを記します。

「イネを植えるのに、なぜ田植えって言うんだろう?田んぼの生き物を数えてみたら、5700種もいることがわかった」。

田んぼはイネを育てるだけでなく、多くの生き物を育てているのだ。環境稲作を提唱してきた著者が、生産者減少や食料自給などの問題を考えながら、「農」が本来もっている価値を一つ一つ拾い上げていく」。

「第1章 私の田んぼの四季と仕事。第2章 子供たちの発見。第3章 田んぼの生き物調査。第4章 自給するのは食べ物だけじゃない」。

「第5章 農の価値を考えてみよう。第6章 「日本農業」という見方。第7章 農は過去と未来をつなぐ。第8章 風景をとらえてみよう」。

私は、山形大に在職中、「無肥料・無農薬・無除草剤」の田んぼでコメ作りの研究を10年以上実施。水の中に棲む生物の養分を活用し、草を抑えるために除草機を使います。そんな田んぼで色々なことを考えました。宇根さんの本の副題は「田んぼから考えたこと」。田んぼは色々と教えてくれました。

4月からの新学期には、多くの学生さんと『農は過去と未来をつなぐ』を楽しく学び、元気と刺激をもらう予定です。私が「田んぼから考えたこと」も紹介したいと思います。

『知識から知恵へ』(平澤 興 一日一言)

「知識が知恵に成長するには、それだけの人生体験と謙虚さがいる」。

「どんなに学問をしても、それが鼻につくような薄っぺらなものではだめである。望ましいのはエスカレーター式上昇の単調な人生ではなく、にが味もある実もある人生であろう」。

『知識から知恵へ』、山形SCの学生さんは、人生経験が豊富な方が多く、「にが味もある実もある人生」の体験者。それゆえ知恵も学びます。

2022-02-16

安岡先生に学ぶ「編集及び執筆心得」

「これから君に『師と友』の編集をやってもらうわけだが、最初に一言、大切な心得を話しておこう」。

「それは、日常の見聞をすべて『師と友』の編集に結びつけることだ。たとえば道を歩いていてポスターを見ても、ホテルのロビーで壁の絵や写真を見ても、“これは巻頭の口絵に活用できないか”」。

「何気なく新聞を読んでいても“この記事は『師と友』のニュース解説に役立てられないか”と、四六時中、あらゆる事象を編集に関連づける努力が肝腎だ」。

これは安岡正篤先生が、全国師友協会の月刊機関誌『師と友』の編集に初めて関わる元全国師友協会事務局長に話された「編集の心得」。66年前、1956年のお話。

毎朝、先生の『活学選集』を少しずつ読んでいます。この『活学選集』は、全10巻で今、第10巻『人間を磨く』を読書中。

この元事務局長が、第10巻の巻頭に先生との思い出を『如是我聞』の小文として紹介。小文の「編集及び執筆心得」は、『山桜庵』の発行と通じ、我が意を得たりと感じ、「ニヤリ」として読みました。本日は、それを少し紹介します。

先生の「四六時中考え続ける」教え、同感です。『山桜庵』を発行して足掛け3年、2日毎の更新、これまで280編。「四六時中、あらゆる事象を編集に関連づける努力が肝腎だ」の教え、納得です。

この「四六時中考え続ける教え」は、編集だけでなく他の多くのことにも通じると思います。例えば、難しい課題を解決する時にも、「四六時中考え続けること」で解決策が浮かぶことがあります。

また、先生は、「巻頭言」等の短文を執筆する心得を次のように記されています。

「出来上がったものを見れば何でもないようだが、こんな短い文章でも人知れぬ苦心が存するものだ」。

「何日も机の上に置いて、見るたびに気にいらぬ個所に手を加え、添削を重ねて仕上げる。時には棄てることもある」。

「長いものはいくらでも書けるが、短い文章ほど難しいものだ」。

「それに書き出しが一番難しい。気に入るまで何度も書き直すこともあるよ。しかし、書き出しが定まれば、あとは比較的楽だがね。ただ、結びがまた難しい」。

これも同感です。中身がない『山桜庵』の文章でも「書き出し」と「結び」が、それなり書けて、安岡先生及び平澤先生の箴言に上手く繋がれば、思わず「ニンマリ」です。「ニンマリ」は、ほとんどないですが・・・。

さらに、先生は、「調べもの」に関する「不断の努力」の必要性も記されています。

「外出から帰宅したら、帽子もオーバーも着けたままで書斎に直行して調べものをすることがよくある。そういう時は、風呂に入り、和服に着替え、くつろいで一杯やってからではだめなのだ」。

「僕のことを天才などと言う人があるが、それは違う。不断の努力だ。もっとも、鈍才なのかも知れない」。

「何か問題を思い出すと、すぐ枕頭のスタンドをひねってメモに書きつけておく。問題によっては、真夜中でも書斎に行って文献をひっくり返して調べることがよくある」。

先生の『師と友』編集及び執筆心得、さらに「不断の努力」、心に響きます。重要に思います。先生に感謝。

『一語 ― あなた』(安岡正篤 一日一言)

「1972年(昭和47年)正月、南極探検隊の昭和基地での越冬生活中、全員をシュンとさせたのは、ある隊員の国許の夫人から来たアナタというたった一語の電報であった」。

「たった一語、千万無量の思いである。これ以上の表現はない」。

「今日心ある日本国民は、皆このあなた!と言いたい宰相を欲しているのである。あなた!と言いたい救世主、頼む御方を欲しているのである。そして俺が俺がというものばかりにウンザリしている」。

「そんな俺がではだめ。あなた!と呼びたい人がない以上、私は私でやってゆく。せめて私の一隅を照らす」。

「あなたもそうですか。それは嬉しい。これが一燈照隅であり、やがて万燈遍照(へんじょう)にもなろう。即今は、これしかないのである」。

『一語 ― あなた』、「一語」の重要性、「あなた」の必要性。なるほどと思います。

2022-02-14

2022年度1学期、『英語で「道」を語る』

2020年10月に選科履修生として放送大学に入学し、アッと言う間の1年半が過ぎました。

2020年度2学期は、『文学・芸術・武道にみる日本文化』。2021年度1学期は、『英語で読む大統領演説』そして、2学期は、『健康長寿のためのスポートロジー』を受講。

特に、『英語で読む大統領演説』は、内容が濃くて深い学びの授業。多面的に講義を楽しみました。

放送大学は今、2022年度1学期の受講科目登録期間。受講したい科目が目白押しの中、『英語で「道」を語る』に決定。これは、茶道、書道、武道等の「道」について英語での説明表現等を学ぶ授業。本日は、『英語で「道」を語る』を少し紹介します。

2020年3月まで山形大の国際交流担当者として毎日、英語に接する機会がありました。2020年4月に放送大学に移ってからは、英語を使う機会が激減。

頭の中に僅かに残っている英語がドンドン消滅。『英語で読む大統領演説』が、とても刺激的だったので、『英語で「道」を語る』を受講して、英語の学び直し。とても楽しみです。

「授業科目案内」には、以下のような【講義概要】と【授業の目標】及び【授業名】が記述。

【講義概要】「道」という概念を鍵として、日本で実践されている様々な「道」の在り方や、その背後にある思想や価値観を、英語でどのように表現できるのかを学ぶ。

【授業の目標】「道」を中心とする日本の文化・思想・価値観等を英語で説明できる表現方法を学ぶ。

【授業名】第1回「序」:導入として、「道」とはどのようなものか英語での説明表現等を学ぶ。

第2回「茶道」、第3回「書道」、第4回「復習1」:第1回から第3回までの構文や表現のうち重要なものを解説する。

第5回「武道」、第6回「仏道」、第7回「復習2」:第5回と第6回の構文や表現のうち重要なものを解説する。第8回「形の重視」:「道」の背後にある「形」について英語説明の表現を学ぶ。

第9回「象徴性」:「道」の背後にある「象徴性」を英語で説明する表現を学ぶ。第10回「復習3」:第8回と第9回の構文や表現のうち重要なものを解説する。

第11回「物語性」:「道」の背後にある「語り」を学ぶ。第12回「逆説」:「道」の背後にある「逆説」を学ぶ。第13回「復習4」:第11回と第12回の構文や表現のうち重要なものを解説する。

第14回「外国からみた「道」」:日本とは文化背景を異にする海外から「道」が、どう見えるかを学ぶ。第15回「道とは」:第14回の構文や表現で重要なものを解説し、まとめとして「道」の英語表現を試みる。

色々な「道」に関する英語表現を学ぶだけでなく、「道」についても多面的に学べそうで楽しみです。

「♪生きるとは学ぶこと、♫学ぶのは楽しみ♪」「♪生きるとは知ること、♫知ることは喜び♪」。

これは、放送大学歌の一部抜粋。人生100年時代、学びや知ることを通じ、人生を楽しみ、喜んで生きたいと思います。これからの人生も挑戦です。

『最高の生き方』(平澤 興 一日一言)

「今が楽しい。今がありがたい。今が喜びである。それが習慣となり、天性となるような生き方こそ最高です」。

『最高の生き方』、実行したいですね。