2023-03-31

『独創の方法』、芸術と感性

昨日は、山形交響楽団理事の方にお会いし、放送大学や山形学習センター(山形SC)を少し紹介しました。

面談が終わり大学生の頃、地質・古生物を専門とする井尻正二氏に傾倒していた友人と過ごした大学生活を思い出しました。それは『独創の方法』と芸術及び感性との関係。昔を思い出しながら、少し記します。

友人イワク、「研究は、独創性が重要だ」。彼が勧める井尻先生の『独創の方法』を読みました。

「独創性を身につけるには感性を研ぎ澄ます必要がある。それには、音楽や絵画に親しみ感性を養うのも一つである」と言うのが井尻先生の主張の一つ。

先生は「あとがき」に、「独創性も人間のエネルギーの発露である以上、齢とともに衰えることは否定できない」と記す。

そして、「だが私は、これからも外国人の独創―外国人のたてた仮説―に尻尾をふり、それにみあう獲物は日本にもないか、とあちこち嗅ぎまわる犬みたいな仕事だけは死んでもする気がしない。そして、どんな小さいものでもよいから、自分の独創の園に生きたい、と思っている」と述べる。

先生の生き様を感じる一言。

クラッシック音楽をこよなく愛するその友人イワク、「「生」の良いクラッシック音楽の演奏を聴くことが感性を養う上で重要だ」。そして、コンサートに私を誘う。NHK交響楽団等の地方公演に行きました。

友人イワク、「良い音楽を聴いて感動すれば、涙が湧き出る」。友人と一緒に「生」の音楽鑑賞をしましたが、涙湧き出ませんでした。

さらに絵画も重要とのことで『現代世界の美術全21巻』を購入。その絵画を、眺めて暮らした時期もありました。

さらに大学院時代は、クラッシック音楽に造詣の深い先輩からオーディオセットを安く購入。その先輩がモーツァルトのLP版を山ほど譲ってくれて、アパートでモーツァルトを聴いて過ごした日々。

このような芸術鑑賞が、私の研究の独創性にどのように影響したか定かではありません。

山形交響楽団理事の方にお会いし、昔のクラッシック音楽を少し聴いていた日々が蘇る。そして、山形交響楽団には「鑑賞会員」があることを知り、早速、その会員に登録。

会員は、1年に8回の定期演奏会を鑑賞可能。4月16日(日)には、第308回定期演奏会が開催。

「山形交響楽団、2023-2024定期演奏会の案内」パンフレットには、「円熟の広上、再び・・・宮沢賢治の世界とチャイコフスキーのDrama/20世紀を生き抜いたショスターコヴィチの傑作を首席チェロの矢口が描く」と記される。

そして、「「我が最も良き友に」、楽譜にそう記されたチャイコフスキー第4交響曲。明快なテーマと情熱、管弦楽の巧みさから永遠の名曲の一つとして燦然と輝くロマン派の傑作」と述べる。

さらに、「チャイコフスキーの作品から約80年後に生まれたチェロ協奏曲第1番。鮮明な冒頭から独奏チェロの独白のような世界が描かれる20世紀の傑作協奏曲」と紹介。

最後に「2019年首席チェロに就任した矢口里菜子が、巨匠広上淳一指揮者と描き出す20世紀の深遠。広上が初演した宮沢賢治の童話をモチーフにした傑作で物語の幕は開ける」と記す。

4月16日、第308回定期演奏会、楽しみ。ワクワクです。山形交響楽団と理事の方に感謝。

本日は、学生時代が蘇った「『独創の方法』、芸術と感性」を少し記しました。

『明師良友』(安岡正篤 一日一言)

「人間はとかく労を避けて逸に就きやすいように、学問も独りでは往々そうゆう邪路に陥りやすい。そのためにも欲しいものは明師良友である」。

「明師良友は得がたくとも、古人を友とし(尚友)、古典を繙(ひもと)くことによって、或(ある)いは、より以上の感化を蒙(こうむ)ることができる」。

『明師良友』、重要に思います。「古人尚友、古典の繙き」、必要に思います。

2023-03-29

今年度山形SC第3回、「客員教員打合せ会」

山形学習センター(山形SC)では、山形大と保健医療大の先生に客員教員をお願いしています。昨年度までは、6名でしたが、今年度から2名増員し8名の先生方にお世話になっています。

そして、昨年度から「客員教員打合せ会」を始め、本年度最後、第3回目の「打合せ会」を昨日開催。本日は、その「打合せ会」について一部再掲も含め少し紹介します。

客員教員打合せ会の目的は、「客員教員が山形SC運営の現状等を理解し、教員から山形SC運営の課題等に関して知恵や提案を頂くこと」。「打合せ会」は、1年に3回実施。

まず、新年度の運営方針や計画等を紹介する4月の「打合せ会」。そして、10月に進捗を紹介し、3月には1年間の総括。毎回、多面的な意見や知恵をいただき実り多い「打合せ会」です。

客員教員の職務は、1)所長の補佐に関すること、2)面接授業、公開講座等の企画立案及び実施に関すること、3)学生の学修上の各種相談及び指導に関すること等を含め5項目。

8名の客員教員の専門は、社会科学、人文科学、自然科学等、幅広く多様です。

「打合せ会」では、まず、山形SCの運営方針「学生の視点に立ち教育及びその支援を行い、学生の満足度の高いセンターを目指す」を紹介。

そして、1)地域の文化や高等教育の中心として多彩な皆さんが集う「結縁のセンター」、2)日本と外国の方が学び交流する「多文化交流のセンター」、3)人生を如何に生きるかを学ぶ「人間学の学びのセンター」を目指し、このセンター達成への具体策や実質化の現状に触れました。

また、市民講座及び講演会等は、山形SCの重要な広報活動の一つです。今回は、これらの講座について開催実績や来年度の取組について一部を紹介。

次に、大学でのゼミに相当する「学びのサロン」についての情報交換。今年度は、私も含め9つの「サロン」を開催しました。多様な教員による多彩な「サロン」。

教員の方々からは、「サロン」が盛況で学生さんの学ぶ熱量が凄く、刺激的で学びの多い「サロン」であったとのこと。

私も同感です。私は、岩波ジュニア新書の『農は過去と未来をつなぐ』をテキストに各章の担当者を決めて担当者が、担当章を紹介する形式で実施。紹介後の多様な意見交換に学ぶ処、大でした。

若くて優秀な教員の皆さんのお知恵を頂き、来年度も山形SCの運営方針や3つの目標の達成に向けて尽力したいと思います。

日々お世話になっている客員教員の先生及び職員の皆さんに感謝です。

『目標を持つ』(平澤 興 一日一言)

「苦労しても目標を持っている間は、人間が光っている」。

人生、その場その場で『目標を持つ』、重要に思います。

2023-03-27

令和4年度第2学期、山形SC学位授与式

毎年3月中下旬は、卒業式の季節です。小中高校、大学と卒業式が続きます。我が放送大学山形学習センター(山形SC)も3月26日に学位授与式を行いました。本日は、一部再掲も含め少し紹介します。

放送大学は、2学期制で9月末と3月末に学位授与式があります。令和4年度第2学期、山形SC学位授与は、14名の卒業生と1名の大学院修了生でした。学位授与式の参加者は、3名と少人数。

卒業者14名のうち2名は3コースを修了された「生涯学習奨励賞受賞者」。

毎学期1科目ずつ履修している私、それでも単位認定試験は大変でした。3コースを修了された「生涯学習奨励賞受賞者」の皆さんの凄さを感じ、頭が下がります。

式辞として三つのことをお話しました。その一部を紹介します。

まず、「卒業は、新たな挑戦に向けての出発である。次に、二度ない人生で教養を身に着ける重要性。最後に、生涯、学び続ける習慣の必要性です」。

「まず、卒業は、新たな挑戦への出発である、についてご紹介します。米国では、卒業のことを、コメンスメントと言います。これは「出発」を意味します。私も卒業は、新たな挑戦への出発に思います」。

「現代経営学の開祖で未来学者とも呼ばれたピーター・ドラッガーは、「21世紀に重要視される唯一の能力は、新しいことを学ぶ能力である。それ以外は、全て時間とともにすたれていく」と述べています」。

「言い換えると「これからの時代、新たな事への挑戦が人生を分ける」とも言えます。本質を突いた箴言に思います」。

「私事で恐縮ですが、我が人生を振り返ると、大学卒業は、新たな人生への挑戦、出発でした。それは、大学院での研究生活の始まりです」。

「皆さんがご卒業を一つの節目とし、放送大学で培った幅広い教養を元に新たに挑戦されることを心から期待します。人生二度なしです」。

「二つ目は、「二度ない人生で教養を身に着ける重要性」をお話します。ご存じのように放送大学は、教養学部一学部の大学です」。

「他の大学と異なる点は、卒業までに多面的な教養を学び、それを身につけ卒業することです。これから人生百年時代に向かい、教養はとても重要で、それは、二度ない人生を豊かにします」。

お茶の水女子大名誉教授で数学者の藤原正彦さんは、『国家と教養』との著書で「教養」とは、「直感力」と「大局観」を与える力だと述べています。私もそう思います」。

「卒業される皆さんは、他大学にない、多様で深い教養を身につけ放送大学を卒業されることに、誇りと自信を持って頂ければ嬉しく思います」。

「東洋哲学の泰斗、安岡正篤先生は、学問し、教養を身に着ける意義を『荀子』から引用されています」。「夫れ学は通の為に非ざるなり。窮して苦しまず、憂えて心衰えず、禍福終始を知って惑わざるが為なり」。

「学問するのは、どんな心配ごとがあってもへこたれず、何が禍いで何が幸福かを知り、人生の複雑な問題に直面しても、惑わないためである」。

「学問し教養を身につけることは「知識を習得する」だけでなく、「人物を作る」ことであるとの教えです。学問をし、教養を身につけて、人物を作る、重要に思います」。 


最後に、「生涯、学び続ける習慣の必要性」をご紹介します。幕末の儒学者、昌平黌の総長、佐藤一斎先生の著書に『言志四録』があります。これは、西郷隆盛先生の座右の書です」。

「その中に、「三学戒」という箴言があります。「二度ない人生には、生涯学びの習慣を持つことが、必要である」と言うのが核心です。私もそう思います。ご紹介します」。

「少(わか)くにして学べば、壮にしてなすあり。壮にして学べば、老いて衰えず。老いて学べば死して朽ちず」との箴言です」。

「すでに皆さんは、学びの習慣を持っておられます。是非、継続して下さい」。

学位授与式は30分と短時間でしたが、佳い顔の皆さんに出会え、幸せな気分になりました。皆さんに感謝です。

『失敗にくじけるな』(平澤 興 一日一言)

「どの方面を問わず、偉大な仕事は、たとえば表面に出る成功の何倍も何十倍もの失敗という山脈の中にそびえる一つの峰である」。

「われわれにとって恐ろしいのは失敗そのものではなく、その失敗によってくじけることである」。

「伸びる人にとって失敗は不幸どころか、むしろ幸福への再出発なのである」。

『失敗にくじけるな』、重要な教えに思います。

2023-03-25

古希の中学校クラス会を企画中、『故郷』

♪兎追ひし彼の山♪ 小鮒釣りし彼の川 ♪夢は今も巡りて 忘れ難き故郷♪

これは、私の好きな『故郷』の歌詞。50年以上も前に卒業した「中学校の古希のクラス会」を今、友達と企画しています。本日は、「故郷」等について少し記します。

私が生まれ育ったのは、島根県の中央にある山間の地域、桜江町鹿賀。かつて学んだ小中学校は、ディーゼル列車で一駅の川越にある桜江町立川越小学校と隣接する川越中学校。

小学校は、一クラスで37名。全員が隣接する川越中学校に入学し、9年間一緒に学びました。その小中学校もかなり昔に廃校です。

クラス会企画の理由は、「人生七十古来稀なり」、私を含めた同級生が2024年度に古希を迎えるのが一つ。「古希の祝い」に、集まれる仲間で参集し、今まで、今、これからの四方山話を楽しみ情報を交換したい。

古希は人生の一つの節目に思います。山形で生活し、これから年齢を重ねると帰省も含めた旅行が容易でない可能性が高い。人生の「終活」に向け昔の仲間とのお別れ。

企画者としては、昔の仲間が参加したくなるクラス会が目標。それを達成するため友達と意見及び情報を交換しています。

♪如何にいます父母 恙無なしや友がき ♪雨に風につけても 思ひ出る故郷♪

37名のクラスの仲間、すでに3名が他界し、多くの仲間の両親も他界。「♪雨に風につけても 思ひ出る故郷♪」、何が「思い出る故郷」なのか、フト考えます。故郷に帰ると、故郷は何時も温かく迎えてくれる。

私達が小中学生の頃は、昭和30年代から40年代の初期。物はなく、知恵を出し、色々と工夫をして遊びました。新緑の春は、山に登り、夏には朝から晩まで日本で13番目に長い、江の川での川遊び。鮎や鯉、鰻等を捕り、それは貴重な夕食のおかず。秋は、クリやアケビ、キノコを採り、山での生活。

「♪兎うさぎ追ひし彼の山♪ 小鮒釣りし彼の川 ♪夢は今も巡りて 忘れ難き故郷♪」。この原体験。故郷は、何時でも変わらず、何時になっても忘れない。

子供の頃、野山や川で思い切り遊び、それを受け入れてくれた自然豊かな故郷。子供の頃の野外での遊び、重要に思います。

♪志を果して いつの日にか歸らむ ♪山は青き故郷 水は清き故郷♪

私は、中学校を卒業し、故郷を離れ、山口県の商船高等専門学校に入学。その後、日本各地で生活しましたが、故郷での生活はありません。

「♪志を果して いつの日にか歸らむ♪」。志を果たせたか定かではありません。しかし、「♪山は青き故郷 水は清き故郷♪」の故郷は、変わりません。故郷は、何時も気持ちよく温かく迎えてくれます。そんな故郷が好きです。

来年8月のお盆、古希の中学校クラス会を楽しみ、『故郷』を味わいたいと思います。

『苦悩は成長の条件』(安岡正篤 一日一言)

「人間は苦悩によって練られてゆくのでありまして、肉体的にも精神的にも人間が成長してゆくために苦悩は欠くことのできない条件であります」。

「そこで苦悩に敗れたらおしまいですから、過失や失敗のために取り乱さないように心がける必要がある」。

「自分の過失を知るということは、自己教育の最も重要な方法の一つであるとともに、人を教育する者の常に注意すべきことであります」。

「物心は相まって自己を完成する。人格も亦、境遇と相作用して進歩するものである。随(したが)って困難な境遇は常に人格の試練を意味し、又能く人格の価値を表明する」。

『苦悩は成長の条件』、心に響く箴言です。

2023-03-23

4年ぶりの学会出席、「雑感」

コロナで学会大会が中止となり、今年3月の大会は、4年ぶりでした。大会「雑感」等を少し記します。

今回4年ぶりに出席したのは、日本応用動物昆虫学会第67回摂南大学大会

大会は、「公開シンポジウム」、「口頭発表」、「ポスター発表」、「小集会」等により構成。

今回の「公開シンポジウム」のタイトルは、『ムーンショットで目指す2050年の昆虫利用と害虫防除』。

概要は、「内閣府ムーンショット目標5、「2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出」を達成するために、8つの研究開発プロジェクトが進められている」。

「本シンポジウムでは、その中でも昆虫に深い関わりがある2つのプロジェクトについて、その研究内容を紹介するとともに、未来の持続的な食料生産・消費システムについて考える」。

「内閣府ムーンショット目標」、知りませんでした。

4年ぶりの学会、最新の研究成果を知り、刺激と学びになりました。

ヒアリの侵入についての講演を聴きました。『特定外来アリ類の国内侵入・定着の現状と対策―ヒアリとアルゼンチンヒアリ』。

コロナの拡大で、ヒアリを忘れていましたが、2017年兵庫県で侵入が確認されて以来、2022年12月までに18都道府県92件の侵入事例が報告。

2022年に外来生物法が改定され「要緊急対処特定外来生物」が設けられ、2023年にヒアリが指定されたとのこと。しかし、国内分布は拡大の一途。国内侵入と定着及びその防除方法等が紹介。

改めてヒアリの侵入・定着の現状を知り、その分布拡大の実態に驚くと共に学びになりました。

また、『簡易人工吸血法によるヒトスジシマカの大量飼育の検討について』との発表も興味深く聴きました。

私は、約35年前、幼虫の蚊が他種の蚊の幼虫を捕食するトワダオオカという蚊を扱った研究にも従事していました。

この捕食性オオカを室内で累代飼育するには餌となる蚊の幼虫が必要です。餌の蚊としてヒトスジシマカを飼育。この幼虫は人工飼料で飼育可能ですが、成虫は吸血し、吸血源が必要です。

吸血源としてハツカネズミを金属製の網に入れ、それをヒトスジシマカのケージに入れ吸血です。

ネズミに黒山のように蚊がたかって吸血。とても気の毒に思いましたが、当時代替案はなし。

今回の発表で「動物福祉の観点から、動物実験の適正化にかかる法整備が世界各国で進められている。その中で、吸血性昆虫の累代飼育についても、生きた動物を吸血源としない動物愛護管理に配慮がなされた飼育系の確立が求められている」。

「そこで、簡易的な人工吸血法として、吸血源に「ウマ脱繊維血液」を湯せんにより加熱する方式で、ごく一般的な吸血性昆虫であるヒトスジシマカの大量飼育への応用を試みた研究成果」。

講演を聴きました。ウマの血液で十分にシマ蚊は吸血し産卵して、次世代を残します。ハツカネズミに気の毒な思いをさせなくてすみます。

この講演は農薬会社の研究員でした。農薬会社は、如何に害虫を防除するのかが重要な研究課題と思っていましたが、時代の移り変わりを感じました。この講演も勉強になりました。

4年ぶりの学会、学びが多く刺激的でした。講演者に感謝です。

『知識から知恵へ』(平澤 興 一日一言)

「知識が知恵に成長するには、それだけの人生体験と謙虚さがいる」。

「どんなに学問をしても、それが鼻につくような薄っぺらなものではだめである。望ましいのはエスカレーター式上昇の単調な人生ではなく、にが味もある実もある人生であろう」。

『知識から知恵へ』、心に留めたいと思います。

2023-03-21

ボディビル、3月の「パワーゲート」雑談会

昨年9月からお世話になっているボディビル、「パワーゲート」では、毎月末の土曜日に「雑談会」が開催されます。先日行われた3月の「雑談会」について少し紹介します。

昨年までの「雑談会」は、講演者が30分話題を提供し、その後、各自が持参したお酒等を酌み交わしての多面的な意見及び情報交換。

今年からは、講演から話題提供者が読んだ本の紹介に変わりました。今年第2回目の話題提供は、何時もお世話になっているオーナー兼トレーナーの「師匠」。紹介書籍は、外山滋比古著『思考の整理学』。

外山さんの著書、かつて読んだ記憶があり本棚を探したら『本物のおとな論』を発見。

外山さんは、「我々の頭は知識を収納する倉庫の働きを維持しつつ、新しいものを生み出す工場としての役割も果たさなければならない」と述べる。

そして、「それでは、脳内工場の作業効率をあげるにはどうすれば良いか。それは、普段から倉庫の中を整理しておけばよい。余計なものを倉庫の中に極力入れず、必要なものを取り込み、そして何時でも使えるように整理しておく」と続ける。

さらに、「こういった心掛けによって頭の中に広いスペースを常時確保しておけば良い。頭の倉庫を整理するにあたり何が大切かといえば、睡眠だ」と「思考の整理」に関する睡眠の重要性を強調する。

また、「人間には忘れるべきものと、覚えておくべきものとを振り分ける自然忘却とよばれるシステムが備わっている。つまり睡眠がその役割を果たしている」と睡眠の役割を紹介。

確かに、記憶に脳を使いすぎると思考に使う容量が減ることは感覚的には理解可能です。その為に睡眠が重要との指摘は初めての気づき。睡眠の重要性を学びました。

そして、「ところが現代人は、睡眠の忘却作用だけでは処理しきれないほどたくさんの情報に触れ、多忙の中で暮らしている」と情報過多の現状を指摘する。

「だからもし、あなたが頭を働かせたいのであれば、自分にとって不必要なものをドンドン忘れていかなければならない」と忘却の必要性に触れる。

また、「体を動かし気分爽快になるのは、頭がキレイに掃除されている、忘却が行われている証拠である。適度のスポーツは頭の働きを良くするのに必須条件でなくてはならない」とスポーツの重要性も紹介。

忘却の必要性と頭の働きを良くするスポーツの効果、同感です。

『思考の整理学』、学びになりました。外山さんと紹介者の「師匠」に感謝です。

忘年の交わり(年齢差に関係なく親しく交わる)である老若男女による「雑談会」、重要に思います。亡形の交わり(身分や職業にとらわれない交わり)である「雑談会」、必要に思います。

話題提供の後は、何時ものように「忘年及び忘形の交わり」。楽しく多面的な意見及び情報交換で盛り上がりました。参加者の皆さんに感謝です。

『元気』(安岡正篤 一日一言)

「われわれは「気」を養うということが、一番根本の大事だ。いわば生のエネルギーを養うということ、いい換えれば「元気」ということが一番である」。

「元気がないというのは問題にならぬ。しょぼしょぼして、よたよたして、一向に反応がないなんていうのは、論ずる価値がない」。

「とかく人間は有形無形を論ぜず、元気というものがなければならない」。

「元気というものは、つまり生気である。生のエネルギー、生々しておるということである」。

『元気』、重要です。元気の源の一つは、心身共に健康であることに思います。

2023-03-19

吉田兼好の『徒然草』を学ぶ

「徒然なるままに、日暮らし、硯(すずり)に向かひて、心にうつりゆく由(よし)無し事を、そこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ」で始まる『徒然草』。

2022年度2学期の受講科目『『方丈記』と『徒然草』』の『徒然草』を今、振り返っています。本日は、『徒然草』について少し記します。

第一段は、「いでや、この世に生まれては、願はしかるべき事こそ多かめれ。御門(みかど)の御位(おんくらい)は、いとも畏(かしこ)し」と起筆。

今回受講のテキスト、『『方丈記』と『徒然草』』の『徒然草』は、その本文をじっくり味わうより『徒然草』に関する多面的な紹介。

そこで、主任講師が推薦する中野孝次著『すらすら読める徒然草』を購入し、『徒然草』を少しずつ味わっています。

中野さんは、『徒然草』全体から、その約四分の一、合計60段を選び、それらを12項目のテーマ別に分類する。

それは、「1.世俗譚、2.しばらく楽しぶ、3.なんとなくいい話、4.生死、5.名人、6.シンプル・ライフ、7.一事に専念せよ、8.心のふしぎ」と並ぶ。

そして、「9.よき趣味、悪しき趣味、10.美とは何か、11. ありがたい話、12. 実践的教訓」と続く。

このような分類は、初学者にとり『徒然草』を読み易くする。

その一つ『10.美とは何か』に、『第212段、秋の月』が、紹介されている。「秋の月は、限りなくめでたきものなり。いつとても月はかくこそあれとて、思い分かざらん人は、無下に心うかるべきことなり」。

これは、「秋の月は、何にもまして限りなくいいものだ。それを、月とはいつもこうゆうものだと思いこんで、他の季節の月との区別もつかぬような人は、もう話にも何にもなるものでない」とのこと。

「中秋の名月」、秋の月の美しさは、際立っているように思います。『美とは何か』、考えさせられます。

主任講師が『すらすら読める徒然草』を解説する。しかし、これは解説と言う名の書評。

講義では、ご自分が記された教科書をもとに授業を展開され、ご自分の考えや生き方を感じるところが少ない。しかし、この「書評」では、主任講師の考えなどが記され、味わい深く貴重な学びとなっている。

その講師は、まず、「『徒然草』の大きな特徴は、ゆるやかな繋がりを前後に保ちつつ、いつのまにか意外な展開になっているところにある」という。

そして、「例えば、『徒然草』には、しばしばユーモラスな話が出てくるが、その前後に注目すると、多くの場合に、人生を深く見つめ、無常の世をいかに生きるかという、真摯な問いかけの段が位置するという法則が見いだせる」と指摘する。

さらに、「本書は、中野の「我流」にも関わらず、ページを繰る手ももどかしいくらい、先へ先へと読ませる力を持っている。なぜ、それが可能だったのだろうか」。

それは、「本書には、古典への愛情に裏打ちされた自然な心の流露と、その思いを読者に伝えるべく施された、最新の工夫があるからである。その隠された工夫を、中野は「我流」という一言に込めた」と述べる。

『すらすら読める徒然草』、これからじっくり味読したいと思います。古典からの学び、趣があり良いです。中野さんと主任講師に感謝。

『人生は心がけと努力』(安岡正篤:一日一言)

「人間はできるだけ早くから、良き師、良き友を持ち、良き書を読み、ひそかに自ら省み、自ら修めることである。人生は心がけと努力次第である」。

『人生は心がけと努力次第である』、心に留めたい箴言です。

2023-03-17

学会小集会、「昆虫生態学の牽引者から学ぶ」

3月中旬、大阪府枚方市の摂南大学で4年ぶりの対面での学会大会、日本応用動物昆虫学会大会が開催されました。本日は、その大会で企画した小集会について少し記します。

この大会では、2011年から2018年まで5回、『温故知新・昆虫生態学の先輩から学ぶ』との小集会を2名の友人と企画しました。

目的は、「長年、昆虫生態学を研究してこられた大先輩とその仲間及び教え子の研究者の皆さんが、昆虫生態学の研究者として如何に生きてこられたか、その生き方を学び、それを私たち後輩が、今後の研究に活かす」。

そして、この小集会の講演者を中心に10名の執筆者で『博士の愛したジミな昆虫』を2020年に岩波ジュニア新書として出版。

この続編の企画として『縁尋機妙・昆虫生態学の牽引者から学ぶ』を2019年から2021年まで3回企画。しかし、2019年に1回目を行った後、コロナで大会が中止。今年、4年ぶりで2回目を開催。

この小集会は、3つの目的があります。

「昆虫生態学の牽引者が、自身の研究や、研究の面白さ及び苦労話、今後の研究の方向性等、昆虫生態学を学ぶ後輩が役に立つと思われることを紹介」。

「さらに、「牽引者」の仲間の方が、「牽引者」の方との関わりや学び及び、自身の研究等を紹介」。

「「縁尋機妙」とは、「良い縁がさらに良い縁を尋ねて発展していく様は誠に妙なるものがある」と言うこと。この小集会が、参加者にとり「縁尋機妙」になることを期待」。

今回まずは、「牽引者」の教え子から『超えられない壁との向き合い方』との講演。研究生活を振り返ると師匠は「超えられない壁」ではなく「肥沃な畑」であった。

師匠のお陰で多くのポスドク等が、研究室を訪問して研究し、そのような研究者から多面的に学べた。師匠は、「肥沃な畑」を提供してくれたとのこと。

さらにもう一人の教え子は『昆研:カメフジツボ研究の起源』との演題。昆虫学研究室のテーマとしては珍しいウミガメの甲羅に付着するカメフジツボの研究等を紹介。

「牽引者」の指導教員から、「それは面白い」、「いいいんじゃない」との言葉に励まされた研究生活であったとのこと。

このような学生さんを前向きにする言葉、鼓舞する言葉、重要と感じます。しかし、これができる大学教員は、多くないように思います。学生を成長させる言葉、必要です。

小集会の主講演者である「牽引者」は、『逆輸入研究者の道―論文業績主義の功罪』との演題。これまでの研究生活を振り返り3つの教訓等を紹介。

「教訓1:世界には理解者がいる。教訓2:弟子は外で褒めるな。教訓3:論文を書くだけでは伝わらない」。

「牽引者」の研究初期、日本人研究者からは、自身の研究評価は低かったが、外国人研究者が研究を高く評価すると日本人研究者も研究を高く評価するようになった、『逆輸入研究者の道』。

私は大学院博士課程2年の時、3年間の研究結果をA4用紙一枚に記し、初めて書いた日本語の論文(図表は英語)別刷を同封して国内20人、海外20人の著名な研究者に郵送したことがあります。

日本人研究者の全てから全く返信はありませんでした。しかし、海外の著名な研究者の全てから自然科学の最も著名な学術誌、NatureやScienceの別刷と一緒に、私の論文が出版されたら是非別刷を送って欲しいとの手紙が届き、嬉しく思いました。

そんな昔のことをフト思い出した『逆輸入研究者の道』の講演。

「牽引者」の講演、久しぶりに多面的な学びと刺激をもらいました。

私は大学で28年間の教員生活。約100名の学生さんと卒業研究、修士及び博士研究と関わり、8名の学生さんの博士研究を指導。そして7名が今、大学教員として活躍。このような学生さんとの楽しい研究の日々が思い出された小集会の講演でもありました。

一方で、今回の発表者の講演を聴いて、「論文を書かなければ、研究をしたことにならない」の徹底、改めて重要に思いました。私の研究室では、これを徹底しなかったことを大いに反省しています。

小集会終了後は、講演者の方々を中心に久しぶりに夕食会。若い研究者と一緒に多面的な話題の情報及び意見交換の良さを再認識。

刺激と学びをもらった90分とその後の夕食会。演者の皆さんや共同企画者に感謝です。

『いまを大切に』(平澤 興 一日一言)

「今日一日の実行こそが人生のすべてです。それ以上のことはできない」。

『いまを大切に』、重要に思います。

2023-03-15

夜話、「自然の調和の解明と活用及びSDGs」

本日は、「放送大学山形学習センター教養講座」として2月下旬に開催した「やまがた夜話」、私担当分『自然の調和の解明と活用及びSDGs ―無肥料・無農薬のお米作り等―』を少し紹介します。

今回企画した「やまがた夜話」は、主として仕事帰りの市民の皆さんに多面的な教養の学びの機会を提供し、放送大学や山形学習センターの特色等も紹介するのが目的でした。

コロナ禍で、休業中の「夜話」が4年ぶりに復活。今回は初めて、霞城セントラル10階の山形学習センター講義室での開催。私担当は、3回シリーズの最後でした。

講演は、4部構成。まず、『私たちが直面する地球規模の課題』。ここでは、「多様な環境問題や人口の爆発的な増加とそれに起因する食糧不足の実態」。さらには、「地球の自己修復力の限界を探る取組と現状」を紹介。

次に、『持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の紹介』として、「1)SDGsとは、何か、2)SDGsの取組と具体例」に触れました。

さらに、『生態学の紹介』では、「1)生態学とは、何か、2)生態学とSDGs」について述べる。

そして、『自然の調和とその解明』に続く。ここでは、私が10年以上にわたり野外で実施した2つの研究、「1)「自然の調和を保つ」糞虫群集、2)無肥料・無農薬の水田、「自然の調和を保つ?」」を紹介。

最後は、『自然の調和の解明と活用及びSDGs』として「1.地球規模の課題やSDGs及び、生態学は密接に関連している」。

「2.地球規模の課題や『自己修復力が何か』の解明に向け、生態学のさらなる研究が必要である」。

「3.各国が、地方自治体が、企業が、学校や大学が、市民社会が、そして、一人ひとりが、自分の問題として地球規模の課題やSDGsを考え、行動することが今、必要と思う」と述べ、講演を終えました。

参加者からの意見や感想としては、「SDGsの取り組みなどに関心を持ちたい。生態系サービスやタニシによるおコメの生育促進など興味深く、続編を希望する」。

「生態系は、多岐にわたり複雑であることが分かった。SDGsの続きなど、さらなる現代的な課題の紹介があれば嬉しい」。

「身近にいる生物の調査や科学的なまとめをもとに身近な生活を見つめなおしたい。もう少し時間があれば、さらによく理解できた」等でした。

「夜話」の講演準備に1ヶ月かけ、新たな学びもあり充実した日々。50分の講演でスライド枚数36枚。十分に余裕を持って講演できると思いましたが、失敗でした。反省と学びです。

盛りだくさんだったのが敗因。SDGsを省略したら、私の研究をユックリ紹介できたように思います。

「♪生きるとは学ぶこと、♫学ぶのは楽しみ♪」

「♪生きるとは知ること、♫知ることは喜び♪」

これは、放送大学学歌の一部です。この歌の歌詞、日々実感しています。

「夜話」に参加の方々や多面的な対応をしてくれたスタッフに感謝です。

『自主的に学ぶ』(平澤 興 一日一言)

「大学は、ただ教えられることを習う受け身の勉強をするところではなく、もっと積極的に自らも考えながら自主的に勉強すべきところだ」。

「自らも考えながら自主的に学ぶ」。これからも色々と考えながら自主的に学び続けたいと思います。「♪生きるとは学ぶこと、♫学ぶのは楽しみ♪」です。