私達は、幾つかの節目を経験し、長い人生を歩んでいます。自分の人生を今振り返ると、その節目の大きな一つが、大学卒業に思います。
目的を持ち大学に入学し、学生時代に、喜びや悲しみ、さらに多くの苦労も経験。そして、人間的に成長し、学窓から社会へ巣立ちます。
9月26日(日)、放送大学山形学習センターで学位授与式があり、23名の方がご卒業されました。本日は、学位授与式について少し紹介します。
放送大学では、大学の学部に相当するのがコースです。6コースあります。
2名の方が6コース全てを修了され、名誉学生の称号が付与されました。さらに、3つのコースを修了された5名に、生涯学習奨励賞の授与を行いました。当日は、10名がご出席。
私は、昨年10月から放送大学の学生になり、毎学期1科目2単位ずつ受講しています。そして、学期末の単位認定試験。単位取得の大変さを経験しました。
124単位が、卒業に必要です。私には、卒業は高根の花。6コース全て卒業された方は、本当に凄い人に思えます。
学位授与式では、三つのことをお話し、式辞としました。その一部を紹介します。まず、卒業は、新たな挑戦に向かっての出発である。次に、二度ない人生で教養を身に着ける重要性。最後に、生涯、学び続ける習慣の必要性。
「卒業は、新たな挑戦に向かっての出発に思います。米国では、卒業のことを、Commencementと言うそうです。これは、出発とのことです。私も卒業は、新たな出発に思います」。
「是非、卒業を機会にさらなる挑戦、新たな出発を期待しています」。
二つ目は、二度ない人生で教養を身に着けることの重要性を述べました。「教養学部一学部の放送大学の特徴は、卒業までに多面的な教養を学び、それを身につけ卒業することです」。
「これから人生百年時代に向かい、教養はとても重要で、それは、二度ない人生を豊かにします」。
「他大学にない、多様で深い教養を身につけ放送大学をご卒業されることに、誇りと自信を持って頂ければ嬉しく思います」。
「東洋哲学の泰斗、安岡正篤先生は、学問し、教養を身に着ける意義を「荀子」の箴言を用い簡潔に述べられています」。
「夫(そ)れ学は、通の為に非ざるなり。窮して苦しまず、憂えて意(こころ)衰えず、禍福終始を知って惑わざるが為なり」。
「学問するのは、立身出世等のためではなく、どんな心配ごとがあってもへこたれず、何が禍いで何が幸福かを知り、人生の複雑な問題に直面しても、惑わないためである」。
「学問は知識を獲得するだけでなく、人間を作ることであるとの教えです。学問をし、教養を身につけ人間を作る。重要に思います」。
最後に、生涯、学び続ける習慣の必要性に触れました。「幕末の儒学者、昌平黌の総長、佐藤一斎先生の著書に『言志四録』があります。これは、西郷隆盛(南洲翁)の座右の書です」。
「その中に、三学戒という箴言があります。二度ない人生には、生涯学びの習慣を持つことが、必要であると言うのが核心です。私もそう思います」。
「少(わか)くにして学べば、壮にしてなすあり。壮にして学べば、老いて衰えず。老いて学べば死して朽ちず」。
「放送大学の学生の皆さんは、すでに学びの習慣を持っています。是非、それを継続して下さい。継続は力です」。
放送大学では、9月と3月の1年に2回、学位授与式があります。毎回、卒業生の皆さんに敬意を表し、学位授与式の開催を感謝しています。卒業生の皆さん、おめでとうございます。
『苦悩は成長の条件』(安岡正篤 一日一言)
「人間は苦悩によって練られてゆくのでありまして、肉体的にも精神的にも人間が成長してゆくために苦悩は欠くことのできない条件であります」。
「そこで苦悩に敗れたらおしまいですから、過失や失敗のために取り乱されないように心がける必要がある」。
「自分の過失を知るということは、自己教育の最も重要な方法の一つであるとともに、人を教育する者の常に注意すべきことであります」。
「物心は相まって自己を完成する。人格も亦、境遇と相作用して進歩するものである。随(したが)って困難な境遇は常に人格の試練を意味し、又能く人格の価値を表明する」。
『苦悩は成長の条件』、心に響く箴言です。