「人間は苦悩によって練られてゆくのでありまして、肉体的にも精神的にも人間が、成長してゆくために苦悩は欠くことのできない条件であります(安岡正篤)」。
山形学習センター「『致知』を読み、楽しく人間学を学ぶ会」、第3回を昨日、開催。今回の教材は、『致知』の 2020年12月号 『特集 苦難にまさる教師なし』。
これは、『致知』掲載記事を読み、1)記事から学び、2)参加者が記事への意見交換を通じ相互に学ぶ「学びのサロン」。職業や年齢に関係ない学び、亡形や忘年の交わりは、人間学の学びに重要です。
まず、『巻頭の言葉』は、アサヒビール社友、福地茂雄氏の「美しい日本の象徴、富士山を眺めて想う」。
「日本の象徴ともいえる富士山は、日本人の「こころ」を表しているのかもしれません」と日本人に愛され続けてきた富士、日本人の「こころ」を表す富士を紹介。
「大きな山は計り知れないもの、我々の存在を越える」。「銭湯の絵は、富士山と桜が最も多く、富士山は日本人に最も愛されている」などの意見交換。出席者6名中、富士山登山経験者2名。
次は、藤尾編集長の『特集 苦難にまさる教師なし』のリード文。特集のタイトルに関する『古今東西の先知先哲の言葉』を紹介。
「いかなる教育も、逆境から学べるものには適(かな)わない(英国の宰相、デイズレーリ)」。
「逆境は神の恩寵的試練なり(森 信三)」。
「成長するということは苦難が喜びであると思えるようになることです。苦難を超える。それが喜びです(平澤 興)」。
「逆境はつねにいつでも自分の敵ではない。ときには恩師となって人生に尊いものを教えてくれることがある。・・・不幸、病気、逆境は大成する人格を育てる落ち葉である(常岡一郎)」。
特集記事の最初は、ノーベル賞受賞者、大村智先生のインタビュー記事『この苦難をどう乗り越えるか』。
まず、高僧・松原泰道先生から「よき人生は日々の丹精にある」という言葉を贈られたと紹介。そして、「こういう苦難の時にこそ、噛み締めなければならない言葉だと思います」との感想。
さらに、「苦難という経験は大切にすべきですね。苦難は人間を謙虚にする。謙虚になるところからすべては始まると思います」と述べる。
「ウイズ・コロナの時代に求められるマインド」として、「人類は、傲慢すぎた。これからの時代は、困難になるほど、助け合う、譲り合う、励まし合うことが必要」と指摘。
「足るを知る者は富む。小さな事にも満足。何事にも丹精を込める」と紹介。
「研究を通して、世の中の人を救いたい」では、「退路を断ち、寝ても覚めても考える」。「困難な道を乗り越えるのは、使命感」と述べる。
その後『苦難にまさる教師なし』に関する出席者の意見交換。
「現役の時はそうは思わなかったが、退職し年齢とともに苦難はない方がよいと思うようになった。苦難はストレスの原因になる」。
「苦難に対する打たれ強い弱いは個人差がある。ストレスの対処法について教えることも必要に思う」。
「苦難のただ中にいる本人には、苦難の実態を客観的に把握しにくい。その状況を脱出すると、経験した苦難の程度などが分かるようになると思う」。
「これまで読んだ本に、「経験を積んだだけでは、人格者にはなれない。そうなりたいと思い描くことが重要」と記されていた。人生の目標を持つことが重要だと思う」。
「常に笑顔を維持できる人は、苦難などを克服している人に思う。お釈迦様のように皆に見送られて旅立つのが目標。人生はお釈迦様の教えの「苦、集、滅、道」である。コロナ禍の苦難をどう乗り越えるのか」。
「大村先生の「朝は、希望に起き。昼は努力に生き。夜は感動に眠る」との言葉が印象的であった」。
「苦難もよいが、その大きさや程度も重要でやりすぎるとだめ。大村先生の「人間は傲慢」との指摘、同感」。
「人生はどう論じようとも、結局苦しい闘争である。だが、苦しめば苦しむほど、あなたの人格は深くなり、そして、人格の深まりとともに、あなたはより深く人生の秘密を読みとるようになる(鈴木大拙)」。
吹雪の中、「人間学の学びの会」、出席者の皆さんに感謝。今回も多面的な学びと刺激をいただきました。昨日の霞城セントラル10階から観た吹雪の山形市街の一葉。
『海舟のように』(安岡正篤 一日一言)
「暑いからと言って冷房、寒いからと言って暖房、食い過ぎたと言っては消化剤、こういう調子でやっておると、人間の身体は鍛えられることがない」。
「生命というものは、生命のつくる肉体というものは、やはり鍛えていじめなければ、徒長した麦と同様ふらふらと伸びてしまって、それこそ他愛もないものになってしまう」。
「肉体的にも精神的にも、左様にして文明はいつも滅びる。だからわれわれも先ず海舟の様に鍛えなければいけない。貧乏しても、感激を生ずるだけのエネルギー・精神力を持たなければいけない」。
「困難ここに到って神経衰弱を生じるようではどうにもなりません」。
勝海舟は、机に伏せて寝て、あまり布団で寝たことがなく、お米を炊く薪がなく、床板を薪にしたとのこと。「感激を生ずるだけのエネルギー・精神力を持つ」、重要に思います。