「私たちは、修養を通して己を一層高め、もって一燈を点して、国家の一隅を照らし、各々の分に随って、それぞれの家を斉え、郷土を興し、祖国の繁栄に寄与するよう努めます」。
これは「敬愛塾」の「綱領」です。「敬愛塾」は、約20年前、現職の小中学校教員が、自己研修することを主たる目的に設立されました。
3年前から教員以外にも門戸を開き今、15名程度で2ヶ月に一回、『月刊誌、致知』の記事を資料に研修。
今年度はコロナ禍で研修会を控えていました。12月18日、今年度第2回目の研修会を実施。資料は、『致知2021年12月号、死中活あり』。少し紹介します。
資料は、何時も『巻頭の言葉』、『藤尾編集長の特集リード文』、『特集記事』の3部作。
今回の『巻頭の言葉』は、アサヒビール社友福地茂雄氏の『十年樹木、百年樹人』。
「十年樹木、百年樹人」とは、「樹木を育てるには十年、人を育てるのは百年を要する」との意味。
「いま求められる人財は、自分の専門分野のみに精通した、切れ味の良い「カミソリ型」ではなく、人間力の備わった、切り口は鋭くなくとも大木をなぎ倒す力を持つ「ナタ型」ではないでしょうか」と指摘。
そして、「教育では、知識を教える知育ばかりでなく、人格を養う徳育が大切です」と『巻頭の言葉』が終わる。同感です。
『特集記事』は、サイゼリア会長 正垣泰彦氏のインタビュー「最悪の時こそ最高である」。
正垣さんは、大学4年の時、千葉県市川市に洋食店を開業し、そこから幾度もの危機を乗り越え今、国内外に1500店舗を超え、年間来客数は2億人を上回るイタリアンレストラン「サイゼリア」の社長。
来年で開業55年の節目。インタビューの一部抜粋を小見出しごとに少し紹介します。
「失敗や挫折、艱難辛苦の時こそ自分を変えるチャンス、より成長させるチャンス」。
「そうやって捉えると、いいことも悪いことも人生で起こることはすべて最高、これ以上のものはないと思える。そういう心構えで努力すれば必ず花が咲きます」とメインメッセージを述べる。
「1.満足した瞬間から衰退が始まる」:資産と人財を蓄積することを目標とする。人生とはうまくいかないもので失敗が前提。失敗の最後は成功に漕ぎつく。常にこれ以上のものはないと思い創意工夫する。
「2.乗り越えられない困難は来ない」:困難な原因、失敗の原因は自分にある。乗り越えられない困難は来ない。自分を変えることで目の前の困難は乗り越えられる。
「3.火事に遭ったあの店は、おまえにとって最高の場所」:全て今が最高と思うこと。誰かの役に立つことを優先して考えると結果はよくなる。お客が来るようひたむきな努力が必要。
「4.いかにして行列店へと生まれ変わったのか」:お客が来ない原因を自分に求める。周りにあるものを全部活かす、死中活あり。
「5.すべて自分の責任と捉えた母の姿を見て育つ」:自分の目の前に起こる出来事はよいことも悪いことも全部、自分のためにある。
「6.「人のため、正しく、仲良く」基本理念に込めた思い」:「人のため」とは、お客に喜んでもらう。客数の増加が喜びの指標。「正しく」とは、正しい考えで仕事をする。皆がより幸せになることを考える。
「仲良く」とは、仲間の強みや得意分野に目を向け、スタッフを公正に評価し、心を一つにして頑張る。
人間の生きる目的は、人の役立つためと反省するため。
「7.フランチャイズを一切やらない理由」:フランチャイズは、楽をして金を儲けようとし、理想を現実化できない。
「8.仕事とは心を磨く修業の場」:本当の幸せは、人のために役立つこと、人と一緒に喜びあえること。
会社や仕事とは心を磨く修業の場。これを社員に教えることが経営者の役目。「人のため、正しく、仲良く」の基本理念を事あるごとに社員に伝える。
リーダーシップとは、部下や周囲の人から助けてもらうこと。この人のために頑張りたいと思われる状態。自分の身に起こる全ての出来事を常に最高と思い生きる。最悪の時こそ最高である。
正垣さんは、何気ない言葉で話されていますが、一言ひとことが生きる上での本質をついた言葉です。
生きる目的、仕事の意義、リーダーシップ等を明示し、社員に落とし込むその姿に組織のトップの生き方を感じ、多くを学びました。「この母にしてこの子あり」です。
敬愛塾の皆さんは、人生経験豊富な方達ばかり。毎回、刺激と学びになります。今回もとても楽しく、味わい深い学びの2時間でした。
正垣さんと参加者の皆さんに感謝です。
『因果の法則』(安岡正篤 一日一言)
「人間には奇跡というものはありません。奇跡などというのは研究不足、勉強不足の者の言葉でありまして、原因・結果というものは常にはっきりっしておるのです」。
「悪いことをしますと、いつかは悪い結果があらわれ、善いことをすれば善い結果があらわれる、というのは厳粛な自然の法則であります」。
「したがって人間は因果律というものを大事にしなければなりません」。
『因果の法則』、当たっています。大事にします。