気がつくと今、ニイニイゼミが鳴いています。セミを追いかけた子供の頃を思い出します。島根の私の田舎では、初夏からニイニイゼミ、アブラゼミ、ツクツクホウシ、クマゼミの順に鳴き始めます。
そして、8月15日、お盆過ぎには、「カナカナカナカナ」と、もの悲しく鳴くヒグラシ、最後に鳴くセミ。ヒグラシが鳴き始めると夏休みが終わりに近づき、今年も夏休みが終わる、と寂しく思いました。
先週は、「学びのサロン」、『博士が愛したジミな昆虫』、2回目。第一章『すみわけ、食べわけ、サバイバル』の『そっくりな虫どうしのジミな「けんか」』。これは、8項目より構成。
まずは、「1.ケンカの生態学」。「異なる種類どうしが出会ったときに何が起きるのか。その結末はどうなるのか。2種のそっくりなテントウムシ、ナミテントウとクリサキテントウのすみわけの謎に迫ります」。
「2.強いテントウムシと弱いテントウムシ」では、「ナミは、多くの植物のアブラムシを捕食。クリサキは松の木のアブラムシのみ捕食。松にこだわるクリサキは、ナミと一緒だと都合の良くないことがある。ケンカに弱い」。
そして、「3.じつは何でも食べられる?スペシャリストの餌メニュー」。「「強い・弱い」は、餌をつかまえて成長する能力。ナミとクリサキの餌選好性に差はない」、に続きます。
次に、「4.ケンカの正体は、オスのちょっかい?」。本章の核心。「よく似た種は、種間の交尾が発生。求愛の「ちょっかい」がケンカの正体かも?」を紹介。
さらに、「5.交尾するかしないか、運命の分かれ道」では、「クリサキのメスはナミが多い処では、クリサキのオスとの交尾機会が減少する」に触れる。
次の「6.どうすればケンカをさけられる?引き際のテクニック」では、「クリサキ成虫は、アブラムシが少なくナミ成虫が飛来しない松に飛来し、そのアブラムシを餌とし、ナミとのケンカを回避する」について紹介。
さらに、「7.ケンカ相手がいなければ」では、「北海道は、ナミが、本州は、ナミとクリサキが、南西諸島は、クリサキが生息。「ナミのいない南西諸島では、クリサキは松以外の植物にも飛来している」の仮説を検証」。
「8.さいごに」では、「類似種の餌や分布が異なれば、その背景に「ケンカ」が存在。クリサキがナミと類似した植物で共存しないのは、ナミ雄の「ちょっかい」が繁殖に影響」と結論。
今年度の「学びのサロン」は、20代から70代までの老若男女の皆さんが参加。年齢の巾が広いと多様な学びに繋がるように思います。
当日のサロンで出た意見等の一部を紹介します。「千歳山にテントウムシの集団がいたのを発見した。これは何のための集団なのだろう」。
「鳥が好きでバードウオッチングを楽しんでいる。アカハツルやコウノトリが庄内へ飛来したのを観察に行った。トキの再生番組をTVで観て、再生までには多くの人々の協力が必要であるのを感じた」。
「生態系を維持することはとても重要に思う」。「ベダリアテントウでイセリアカイガラムシを防除することを学んだが、その防除にかかった年数はどのくらいだろう」。
「農薬の問題について学んだが、農薬はあるのがよいのか」。「多様な生物が生息する風景は、私達の生活に潤いを与える。そのような風景を維持したい」。
「一つが明らかにされれば、それに関係する多くの問題も明らかになり、全てを明らかにするのは大変に思う」。今回も多くの貴重な意見をもらい、色々と学びの多いサロンでした。参加者の皆さんに感謝です。
『学問は無限』(平澤 興 一日一言)
「一つの発見はむしろ無数の疑問を起こさしめるものでありまして、この意味では学問は無限に深いと言ってもよいでありましょう」。
『学問は無限』、学問は奥が深いのを感じます。