『自然との共生をめざすコメ作り―江戸時代に学ぶ新農書―』が、2021年7月7日に出版されました。
本書は、13年間一緒に無肥料・無農薬・無除草剤でイネを栽培した「自然共生田んぼ」での共同研究者、友人達の著書。
「出版のお祝い会」が、コロナで延期中でしたが、先日、お祝いをしました。本日は、一部再掲ですが、本書の紹介等を記します。
「この本は、研究者向けの専門書でも、コメ増収のハウツー本でもありません」。
「この本は、「イネとはどんな作物なのか」、「田んぼとは、どんな農地なのか」、「無肥料・無農薬でコメを作るとは、どういうことなのか」、「たくさんコメをとるには、どうイネと関わればいいのか」、などなど」。
「まるで小さな子供のように「どうして?」、「なぜ?」を繰り返しながら、自分たちなりに答えを見つけようとした13年間の「報告書」です」。
これは「まえがき」一部抜粋。
本書は9章より構成され、「第1章 無肥料・無農薬で多収する」で始まる。そして、「イネ」を中心にした紹介の「第2章 イネの植物としての特徴と性質」、「第3章 イネの性質と栽培管理」と続く。
さらに、「田んぼ」に焦点を当てた「第4章 田んぼの特徴」、「第5章 田んぼの科学」、「第6章 田んぼとイネの関係」に触れる。
著者らが江戸時代の農書を学び発見した驚くべき事実と、その今日的活用を紹介した「第7章 江戸時代の農書に見る多数回中耕除草法」、「第8章 江戸時代の多数回中耕除草法を現代に生かす」。独創性が高い章。
そして、最後の「第9章 自然との共生をめざすコメ作り」で本書は終わる。
写真は、「自然共生田んぼ」で必須な除草機による機械除草。
「自然と共生するコメ作りを始めると不思議な感情・感覚が芽生えてきます。イネがかわいいと思えてきます。イネだけでなく田んぼにいる生き物と仲良くなった気になります」。
「自分が自然と一体になったような気にもなってきます。そして、田んぼに入ると、何となくやさしい気持ちになれます」、と最終章に記す。著者らの「夢」で、「第9章」を締めくくる。
本書は、『自然と共生をめざすコメ作り』を通じ、これからの農業や21世紀を生きる私達の生き方についても貴重な示唆に富む書である。
また、現代科学が「分析的手法」を中心に進むのに対して、「総合化」の必要性についても警鐘を鳴らす。現代科学に関しても多面的に考えさせられる。
「お祝い会」では、13年間、紆余曲折の共同研究の思い出に花が咲いた。さらにこのような農業は、「如何に生きるか」との生き方、人生観にも通じ、誰もが挑戦できる農法ではないとの意見で一致した。
このような共同研究が実施できたのは、「縁ですね」と「結縁」の重要性を再認識。
13年間の共同研究では、研究者の出入りもあったが、著者らの研究への熱さは変わらず、方向性にブレはなかった。研究への「心意気」や「高い志」が、13年の研究を継続させ、本書の出版に繋がったと感じた。
研究者としての一徹さや生き方等を通じた「研究者魂」を感じる。このような書が世に出たことを大変嬉しく思う。そして、著者らの出版までの尽力に心から敬意を表したい。感謝。
「♪友を選ばば書を読みて、♪六分の侠気、♪四分の熱♪」。
これは与謝野鉄幹の「人を恋うる歌」。この一節がフト浮かんできました。
「持つべきは、よき友なり」。
『ど根性』(平澤 興 一日一言)
「燃えて燃えて燃えつくす時、必ず道は開けると信じます」。
「仕事は人であり、心であり、その燃焼である」。
「人生に絶対に重要なことは、いわゆる、よい頭ではなく、「誠」に徹した火の如き、「ど根性」であります」。
13年間の『自然との共生をめざすコメ作り』。それは『ど根性』も支えていたように感じます。『ど根性』、重要に思います。