2022-11-29

ボデイビルジムの「雑談会」で話題提供

私が、今年9月からお世話になっているボデイビルジム、パワー・ゲート・ライフでは、毎月末の土曜日に「雑談会」が開催されます。11月の「雑談会」、「雑談」の話題提供を担当しました。少し記します。

『自然の調和の解明を夢見た研究と教育 ―専門力と人間力を目指して―』との演題で35分の講演。山形大学での研究及び教育とお世話になった方々との出会いを中心にした2部構成の「雑談」でした。

「その1」は、「自然の調和の解明を夢見た研究と教育 ―調和法則の発見を夢見て―」として、「泥臭い生態学の一端と、愚直な七転び八転びの人生の一端を紹介」し、「その2」は、「山形大学での28年の生活からの学び ―専門力と人間力―」について触れました。

そして、「雑談」後は、楽しい雑談会。志が高く人間力の高い方々と情報及び意見交換を楽しんだ貴重なひと時でした。

私の「雑談」については、「大学院での先の見えない研究を継続できた理由は何ですか」と本質をついた質問も受けました。

「16歳で叩き込まれた大島商船の「五大精神」の一つ、「なにくそ負けるものか」もあったかもしれませんね」と応えました。しかし、その後、全く先が見えない研究を維持できたのは何だったのかとフト考えました。

私の専門の群集生態学は、生態学の重要な研究の一つでしたが、私が研究を開始した当時、野外で優れた研究は少ないのが現状でした。

そんな中、全く先が見えない研究を維持できたのは、「私がやらねば誰がやる」の「夢」に向けての無謀な挑戦、若気の至りであったかとも思います。

また、「無肥料・無農薬・無除草剤」の自然共生水田のイネに病虫害の発生が少ないのを人間の「メタボリックシンドローム」と類似させての話は、共感を受けたようでした。

自然を活かすこと自然に活かされることは、必要で重要なことに思います。

さらに元気な方々との地域の活性化への意見交換も楽しみました。

とても楽しい雑談会。このような機会を与えてもらったジムの「師匠」や講演を聴いてもらった参加者の皆さんに感謝です。

『自然に還れ、根本に還れ、精神に還れ』(安岡正篤 一日一言)

「生き方を考える上で、特に取り上げたいことは三つの点(三原則)です。その第一は自然に還れ、第二は根本に還れ、第三は精神に還れということです」。

「自然に還れ。産業でも人工的なものほど発達した産業と考えてきたが、これからはもっと自然を尊重すべきである。人工の都市の中に住むと人間がだめになる」。

「人間が発達し本当の文明を作り上げようとするならば、自然の理法に従わなければならない」。

「その次が根本に還れである。人間が発達させてきた文明が、現代になって、おそろしく枝葉末節に走ってきた。一つの花を咲かせ一つの実を成らせるようなことばかりに馳せてしまった。いわゆる抹消化である」。

「根本からだんだん離れてきた。抹消化が、移ろい易く滅び易いことはいうまでもない。花や実を本当に栄えさせるものは、実は根本を養うことである」。

「自然に還れ、根本に還れとなると、人間にとって何が一番自然であり根本であるか。それは結局精神である。心である。心の学問、精神の修養ということである」。

「近代文明をこのままにすると人間は心を失う、魂を失う。人工的になると本に還ることは難しい。どのように癒すかといえば、生活や飲食物そういう日常生活を自然に還らせる以外にない」。

「生命を根本に還らせる。最近、社会的犯罪などが多発している。これらを本当に解決しようとしたら文明、人間生活、民族、個人の生活を、少なくとも三原則に戻すことに努力するほかない」。

『自然に還れ、根本に還れ、精神に還れ』、何回読んでも身にしみます。心にとどめたい箴言です。

2022-11-27

我が家の冬支度、家族での共同作業今昔

北国の庄内、12月1日は、降雪予報。冬の到来前には冬支度が必要です。家の周囲を防風ネットで覆い、さらに樹木や果樹の雪囲い。

ここ数日は、家族で冬支度を行いました。本日は、冬支度も含めて家族共同作業について少し記します。

昨日は、我が家の周囲に防風ネットを張り、その後、ブルーベリーの雪囲い。40本あるブルーベリー、結構手間がかかります。

昨年は、1本の支柱を使い、縄でブルーベリーを縛りました。プロの農家の方から、1本では、芽が雪で折れるので3本にした方が良いとの助言を受け、今年は3本仕立てです。

雪囲いの前に不要な枝を剪定し、さっぱりして雪囲い。来年は、沢山のブルーベリーが採れるのが楽しみです。「忠犬くにお」も家族の一員として参加。

家内や子供達と一緒に共同作業をして、私が子供の頃の家族共同作業を思い出しました。

私が子供の頃の島根の田舎の我が家では、3世代同居。明治生まれの祖父母と昭和の初年生まれの父母、そして、叔母と3人の子供を含めた8人家族。祖父は、元大工の棟梁。

小学生の頃から春休みは、家族でジャガイモの植え付けが恒例行事。畑を鍬で耕し、肥やしの人糞をまいてタネイモの植え付け。

この共同作業以外にも風呂用の石炭運び、墓の石垣作り、神社やお寺の修理、さらに石段のコンクリート化等を行いました。

我が家は、幹線道路から離れ、少し小高い山の中に位置し、石段を300段くらい登った処にあります。すべての作業は人海戦術です。背負子(しょいこ)に石炭を入れて300段の石段の往復も懐かしい思い出。

このような共同作業は、祖父や父親の人間性を知る貴重な機会でもありました。皆が楽しく気持ちよく働くために色々と気を遣うことを学びました。

祖父は大工の棟梁でしたが、墓の石垣を作るときの石を割る技術には驚きました。「石目」があるとかで、そこに石割のノミを当てると簡単に石が割れます。

さらに割った石を石垣として積み上げる技術にも驚きました。これは簡単なようですが、なかなか難しい。大工なのに何時、何処で、このような技術を身につけたのか不思議でした。

共同作業は、このように家族の未知な能力を知る機会でもありました。

今の我が家での家族の共同作業もそうですが、家族で一緒に汗を流しての共同作業、家族の温もりや家族の一体感を感じ、良いと感じます。

小春日和の作業、気持ちよい汗をかきました。家族に感謝です。

『家庭の力』(安岡正篤 一日一言)

「人間は、妻子を持ち、友を知り、多くの人と交わり、ある程度の年齢に達して、ようやく本当の意味での学問・求道ということがわかり始めます」。

「家庭というものは全く人間生活の基礎であり民族興亡の依所でありますから、これを出来るだけ正しく、美しく、力強くしてゆかねばなりません」。

「その為には、なるべく家族水入らずの気安さ、子ぢんまりとした手入れのとどく住宅、決して贅沢ではない衣食、静かで、考える余裕のある生活、濫(みだり)にならぬ社交が必要であります」。

「家庭を失いますと、人は群衆の中にさまよわねばなりません。群衆の世界は、非人間的世界です。人は群衆の中で却って孤独に襲われ、癒やされることのない疲労を得るのです」。

「これに反して良い家庭ほど人を落ち着かせ、人を救うものはありません」。

今までも、今も、これからも『家庭の力』、重要に思います。

2022-11-24

放送大学、2学期の『通信指導』が開始

放送大学は、2学期制で各学期末に単位認定試験があります。そして、学期の中間には『通信指導』があり、これを受けないと単位認定試験の受験資格がありません。

放送大学2022年度2学期の『通信指導』が始まりました。11月15日から11月29日までです。本日は、一部再掲も含め『通信指導』について少し紹介します。

私は、2020年10月に放送大学の学生になり毎学期1科目を受講し、今学期は『『方丈記と『徒然草』を受講中。

『通信指導』は、Web通信受験が可能。授業は15回あり、今回の『通信指導』は、約半分の8回までを受講しないと回答は難しい。

この『通信指導』は、設問が10の試験形式。各設問は、4つの記述から正解を1つ選ぶ択一式問題。これ結構、頭を使い脳への刺激があります。

そして、解答を送信すると直ぐに正解と解答の解説が返信され便利です。

『通信指導』が始まった今、『『方丈記」と『徒然草』』を毎日受講しています。

この科目の受講理由は、『『方丈記』と『徒然草』』を学ぶことが、物の見方や人生の意義について、思索を巡らす「よすが」となることを願って、本書を構想した」との主任講師の「まえがき」に影響を受けたからです。

【講義概要】と【授業の目標】を少し紹介します。

【講義概要】は、「『方丈記』と『徒然草』は、日本の古典文学の中でも、とりわけよく知られているだけでなく、後世の文学や美術に及ぼした影響力が大きかった作品である」。

「両作品とも、明晰な論理性と気韻に富む文体で、人間認識と社会認識などの多様な思索を展開しており、圧倒的な写実力と説得力を特徴としている」。

「本科目では、両作品の本文を味読することに加えて、その先蹤としての『枕草子』も取り上げる」。

「テレビの長所を利用し、美術化された作品や、数々の注釈書の挿絵や、ゆかりの場所を映像として提供」。

「これによって、この二つの名作は現代社会に身近で切実な作品となり、「よりよく生きる」意味を受講者が考える契機となることが期待される」と記されています。

今回の受講で「よりよく生きる」意味を思索したいと思います。

さらに、【授業の目標】は、「第一に、『方丈記』と『徒然草』の文学世界を、ゆかりの地のロケや、写本・板本によって、実際に目のあたりにすることで、名作誕生の現場に立ち会う臨場感を持つ」。

「第二に、両作品の原文を、写本や板本を示しながら、音読のリズムを体感し、原点への理解を深める」。

「第三に、『方丈記』や『徒然草』が依拠した、日本や中国の古典との関わりを知ると同時に、両作品が後世に影響を与え続けており、現代文学としても機能している事実を理解する」。

「第四に、両作品の絵画化された美術作品に触れ、文学と絵画の相互交流性を認識する」。

『『方丈記』と『徒然草』』を多面的に学び今、新たな世界を楽しみつつあります。

『知識から知恵へ』(平澤 興 一日一言)

「知識が知恵に成長するには、それだけの人生体験と謙虚さがいる」。

「どんなに学問をしても、それが鼻につくような薄っぺらなものではだめである。望ましいのはエスカレーター式上昇の単調な人生ではなく、にが味もある実もある人生であろう」。

『知識から知恵へ』、なるほどと思います。

2022-11-22

『「庄内論語」一日一題カレンダー』の学び

鶴岡から山形駅に高速バスで通勤し、所長室での朝一番の仕事は、『「庄内論語」一日一題カレンダー』をめくること。そして、論語の箴言を学ぶことです。

このブログでは、過去に3回論語に触れましたが、本日も一部再掲を含め、少し触れたいと思います。

この『「庄内論語」一日一題カレンダー』は、今から15年前、私が山形大農学部長の時、卒業式の贈り物として卒業生に贈りました。『カレンダー』は、味わい深い箴言集で何度読んでも心に響きます。

『「庄内論語」一日一題カレンダー』の箴言は、鶴岡市長を初め鶴岡在住の老若男女31名が記しました。

評論家故伊藤肇氏は、著書『人間学』の中で『論語』についても触れています。

「日本の経営者達が、最後の最後まで読み続ける本というと、『論語』が圧倒的である」。

「「財界総理」と呼ばれた経団連会長の石坂泰三なども、夏、軽井沢へこもる時には、必ず『論語』を持って行ったし、よく、こんなことも言っていた」。

50歳過ぎてから新しく読み直してみると味わいが深い。しかも平生の考え方、生き方にもぴたりと役に立つ。僕は齢80を超して初めて孔子とじっくり膝をまじえて話し合った」。

日本の経営者達が、最後の最後まで読み続ける論語、何度読んでも味わい深いです。

鶴岡では、「少年少女論語素読教室」があり、小学4年生から中学3年生までが、この「教室」で論語を学ぶことが可能です。これは1968年から始まり半世紀以上も継続。素晴らしい。

我が家、中3の次男以外4人の子供達は、この「教室」で論語を学びました。

夏休みは、1週間毎日、朝5時30分から40分間、致道博物館の「御隠殿」に正座し、論語を素読。私も子供達と一緒に論語を12年間、素読しました。早朝のひと時の素読、とても気持ちが良かったです。

また、私が住む松ヶ岡の小学4年生から中学3年生は、「松ヶ岡少年会」の行事の一つとして松ヶ岡本陣で毎月1回論語を学んでいます。

2600年前に記された「論語」、今までも、今も、これからも、私達の生き方の指針として学ぶべき書に思います。

先日の『カレンダー』の箴言は、「仁者は難きを先にす」

「難儀なことがあれば、率先して引き受け全力を尽くすもので、効果を先にせず成功するかどうかは天の意志にまかせる。そのような精神気象であれば、仁者ということができる」。

なるほどと思います。論語の学び、味わい深いです。これからも学び続けたいと思います。

『真の教養』(安岡正篤 一日一言)

「およそ真の教養とは、人類の有する偉大な著書に親しむことによって得るものです。そこで昔から優れた定評のある良い書物を少しずつ読むことであります」。

「人間としての教養の書、人としての哲学の書、修養の書というものを、注意して毎日たとえ三枚でも五枚でも、そういう書物を必ず読むようにする。いわゆる座右の書を持つということであります」。

『真の教養』、重要に思います。毎日、座右の書を三枚でも五枚でも読むこと、必要に感じます。

2022-11-20

敬愛塾「我づくり」研修会、『運鈍根』

「私たちは、修養を通して己を一層高め、もって一燈を点して、国家の一隅を照らし、各々の分に随って、それぞれの家を斉え、郷土を興し、祖国の繁栄に寄与するよう努めます」。

これは「敬愛塾」の「綱領」です。「敬愛塾」は、約20年前、現職の小中学校教員が、自己研修することを主たる目的に設立されました。

4年前から教員以外にも門戸を開き今、塾生14名で2ヶ月に一回、月刊誌『致知』の記事を資料に研修。

昨日、今年度第4回目の研修会を開催。資料は、『致知2022年11月号、運鈍根』。少し紹介します。


毎回、3つの資料を教材に研修しています。私は、「資料3」、「新川橋病院 佐野公俊 副院長と脳疾患研究所 上山博康 所長の対談」、『医の道を歩み続けて掴んだ仕事の要諦』の司会を担当。

下述が、本記事の概要です。

「多くの医者が「治らない」「助からない」と匙を投げた患者さんを“最後の砦”として受け入れ、命を救い続けてきた脳神経外科医がいる。佐野公俊氏と上山博康氏である」。

「戦後日本の脳神経外科を牽引し、患者さんのために己のすべてを懸けて病気と闘い続けるお二人に、医療への熱い思い、いまだからこそ後進に伝えたい人生・仕事の要諦を語り合っていただいた」。

対談では、お二人の人生のエピソードが要所要所に紹介され、体を張って患者の命を救う献身的な生き方に感動しました。

お二人にとり、「運」は、巡り合わせ、「鈍」は、誠実、「根」は、根性。凄いお二人、凄い生き方です。

お二人の先生の語録の一部を紹介します。

「たとえ刃折れ矢尽きても歯が残っているなら敵(病気)の喉元に食らいついていくほどの気合いが医者には必要です」。

「へばりながらでも続けて、続けて、続けていくと、神様がちょっと甘い汁をくれ、背中を押してくれます」。

「患者さんと共に最後まで戦うのが名医。名医は、どんなに難しい状況でも徹底して患者さんと一緒に戦い、沈む船でも最後まで乗り続ける」。

「世のため、人のため、患者さんのため」と無私無欲で医療業務に従事すると神様が出現することを再認識。

「手術前の徹底した準備と終了後の見直しが重要。さらに上手な医者の手術を見て学び、それを取り入れることも必要」。

「人生を変えた運命の出会い。手術の世界が違う伊藤先生との出会い。医師としての執念、手術への気迫や執念の違いを学ぶ」。

その道のプロは、気迫や執念が違う。これは、研究でも他の仕事でも同じであると感じます。

「すべての責任を受け止めるのがトップ。立場のある人は、全ての責任を自分で負う。現場に任せても最後は自分が全責任を負い一所懸命やる」。

「一流になる人は、全てを捨てて仕事に没頭。そのため好きな事、自分に向いていることを仕事にする。努力する者にのみ神の啓示がある」。

「日本人の原点は、己の信じる道、プライドのためなら死ねるという武士道であり、職人気質」。

「日本人の原点は、己の信じる道、プライドのためなら死ねるという武士道であり、職人気質」、心に残る語録です。

「厳しい道を選ぶことが運を招き寄せる。自分の心にも患者さんにも誠実、病気に対しても全身全霊で対処。それにより神様が微笑む」。

「20代、30代に泥臭く、うんと汗水たらして頑張った人間が、60代以降のよき人生を過ごす」。

「医者としての魂を次世代に伝承する。技術を伝えるのはもちろんだが、何よりも医者としての精神、心を繋ぐ人間を残したい」。

「何よりも医者としての精神、心を繋ぐ人間を残したい」、とても重要に思います。

この記事を読み何度も涙腺が緩みました。お二人から感動をいただきました。感謝です。

『因果の法則』(安岡正篤 一日一言)

「人間には奇跡というものはありません。奇跡などというのは研究不足、勉強不足の者の言葉でありまして、原因・結果というものは常にはっきりっしておるのです」。

「悪いことをしますと、いつかは悪い結果があらわれ、善いことをすれば善い結果があらわれる、というのは厳粛な自然の法則であります」。

「したがって人間は因果律というものを大事にしなければなりません」。

『因果の法則』、当たっています。大事にします。

2022-11-18

「東北振興研修所」、今日の箴言『言志耋録』

ここ松ヶ岡には、1945年に安岡正篤先生の一番弟子、菅原兵治先生が創設された東北農家研修所がありました。それは、1964年に東北振興研修所と改称され、そこには、「菅原兵治記念館」もあります。

朝の「忠犬クニオ」との散歩に「東北振興研修所」を通るコースがあり、研修所の門の横の掲示板を見ます。そこに『論語』や『大学』及び『言志四録』等から箴言が記されます。

一昨日、クニオと朝の散歩で、掲示板の『言志耋(てつ)録』の箴言を読みました。本日は、一部再掲の『言志四録』とその著者、佐藤一斎先生を少し紹介します。


「立志は高明を要し、著力は切実を要し、工夫は精密を要し、期望は遠大を要す」。これは、一昨日の掲示板に記された箴言、『言志耋録26条』です。少し分かりにくい気もします。

『言志四録(四)』(佐藤一斎著、川上正光全訳注、講談社学術文庫)の訳文は、次の通りです。

「志を立てるには見識高く智慧明らかなるべく、力のつけ所は実際にぴったり当てはまるようにし、事に当たって思いめぐらすことはくわしくぬけめなく、当てにして望む所は遠く大きくあらねばならない」。

訳文の小見出しは、「修養上の四つの要点」。四つの要点は、立志、著力、工夫、期望。訳文と小見出しを読み、この四つは、修養上の要点であると納得します。

佐藤一斎先生は、幕末、昌平黌の儒者。『言志四録』として42歳から82歳までに『言志録、246条』、『言志後録、255条』、『言志晩録、292条』、『言志耋録340条』の1,133の箴言を記述。

今回掲示された『言志耋録』は、先生が80歳の時に起稿し、2年後に出版。

一斎先生、美濃の巌邑藩(いわむらはん)の藩士として1772年に誕生。1841年60歳の時、昌平黌の儒官(総長)になり、数千人の門人を育成。明治が始まる9年前、1859年に88歳で逝去。

有名な門人には、佐久間象山、横井小楠、安積艮斎、中村正直等。さらに、象山先生の門下からは、勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰、小林虎三郎等の志士が輩出。

そして、松陰先生の門下からは、高杉晋作、久坂玄瑞、木戸孝允、伊藤博文、山県有朋等が輩出され明治維新を形成。

先生は、幕末から明治の日本形成に大きな影響を及ぼした人と言っても過言ではないでしょう。

また、西郷隆盛が、この『言志四録』を愛誦し、その中から、会心の101条を抄録し、金科玉条として座右の箴(いましめ)としたとのこと。

『言志四録』には、生き方の本質が、片言隻句(短い言葉)として凝縮。『言志四録』、味わい深い書です。明治・大正時代には、多くの日本人が学んだ書とのこと。一斎先生に感謝です。

今回のブログは、『言志四録(四)』(佐藤一斎著、川上正光全訳注、講談社学術文庫)を参考にしました。

『明師良友』(安岡正篤 一日一言)

「人間はとかく労を避けて逸に就きやすいように、学問も独りでは往々そうゆう邪路に陥りやすい。そのためにも欲しいものは明師良友である」。

「明師良友は得がたくとも、古人を友とし(尚友)、古典を繙(ひもと)くことによって、或(ある)いは、より以上の感化を蒙(こうむ)ることができる」。

『明師良友』、重要に思います。「古人尚友、古典の繙き」、必要に思います。

2022-11-16

面接授業担当教員との四方山話、「個性」

放送大学では、放送授業、オンライン授業、面接授業の3つの授業があります。放送授業は、インターネット配信され、何時でも、何処でも、誰でも、聴講可能です。

今年度2学期の面接授業が、10月中旬から開始され1月上旬まで週末の土日に山形学習センターで開講。面接授業では、担当教員や学生の皆さんと触れ合うことができ、刺激をもらっています。

本日は、先日の面接授業担当の先生との四方山話で話題になった「個性」について少し記します。

先生イワク「今、大学の個性化や特色が強調され、大学の地域貢献等が注目されている。しかし、大学の個性とは、個性ある教員により醸し出されると思う。その意味では、大学の個性ある教員数が重要と考える」。

確かに大学も含めた組織の個性は、組織の運営方針等にも依存しますが、組織を構成する構成員の個性も重要に思います。大学では、教員です。私が大学生の頃の個性的な教員について思い出しました。

私がお世話になった個性的な先生は、専門力と人間力を身に着け、さらに人間的な魅力もありました。

例えば、大学時代にその個性的な先生と行ったドイツ語の輪読も思い出の一つです。

その先生は、私の研究室とは異なる植物病理学研究室の教授。その先生と3名の学生で、ドイツ人小説家 T.STORMの『湖畔(Immensee)』の原書を輪読。

先生は、『湖畔』の心を打つ話は、ドイツ語で暗唱できる先生でした。また、そのような「教養(?)」を愛される先生。

かつては、そんな味わい深い個性的な先生、「学者」が大学に何人かいました。

一般化はできませんが、旧制高校で学び、大学に入学した先生の中に知的好奇心が旺盛で、考え方の間口が広く奥行きが深い先生が多かったような気がしました。

旧制高校3年間でたっぷり多面的な「教養」を学ぶ。それは、その後の人生に多大な影響を与えたように感じます。若い時の徹底した「教養」の学び、重要に思います。味わい深い「個性」、必要に思います。

本日は、面接授業担当教員との四方山話から色々と個性的な先生を思い出し、その一人の先生を紹介しました。土日の面接授業担当の先生との情報交換、刺激になります。

『自主的に学ぶ』(平澤 興 一日一言)

「大学は、ただ教えられることを習う受け身の勉強をするところではなく、もっと積極的に自らも考えながら自主的に勉強すべきところだ」。

「自らも考えながら自主的に学ぶ」、学びの基本。これからも色々と考えながら自主的に学び続けたいと思います。

2022-11-14

「忠犬クニオ」との朝散歩、二重の虹に遭遇

「忠犬クニオ」との朝散歩、二重の虹に遭遇。朝散歩で、1年に数回、虹を見ます。しかし、二重の虹は初めてです。本日は、虹について少し記します。


これまで虹との遭遇は、日差しがある小雨の時。子供の頃も虹に出会い、虹はどうして出来るのか疑問でした。しかし、この疑問は、虹が消えると一緒に消滅。本日は、子供の頃からの虹の謎をネットで探索。

「虹とは、空気中の水滴が太陽光を反射して見える現象。光が空気中の水滴に屈折して入り、水滴の中で一回反射し、さらに屈折して水滴から出ていった時に出現」。なる程、虹には光と水滴の雨が必要ですね。

「この時、光は波長により屈折率が異なるので、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色に分離」。

「また、虹は必ず太陽の反対側の決まった位置に出現。私達が太陽を背にして立った時、太陽光の進む方向から常に42度の角度を保って出現」。そうでしたか、これは気が付きませんでした。

「そのため、太陽が高い位置にある時は、虹は出づらく、太陽が低い位置にある方が、虹は出現しやすい」。これも知りませんでした。

「それゆえ、日本で虹が出現する可能性があるのは、時間帯は、太陽が傾いている朝と夕方。季節は、太陽高度が低い冬。地域は、緯度の高い北のエリア」。なる程、そうでしたか。

二重の虹は、主虹と副虹。ダブルレインボーは、普通の虹の外側に少し薄く虹が見える現象。内側のはっきりと映る虹は主虹、ぼやけることの多い外側の虹は副虹と呼ぶ」。

「主虹が水滴の中で1回反射するのに対し、副虹は水滴の中で2回反射。このため、見える色の順番が主虹とは反対になり、虹の外側が青色。2回の反射で光が弱まり主虹に比べて副虹は少し暗い」。これも新知見。

いやー、初めて知る事実。虹のでき方、二重虹の原理等、色々と学びました。次回、二重虹に遭遇したら主虹と副虹の色の順序を観察します。小雨の中でクニオと虹の美しさに感動。

『感激の生活』(安岡正篤 一日一言)

「吾々の一番悪いこと、不健康、早く老いることの原因は、肉体より精神にあります。精神に感激性のなくなることにあります」。

「物に感じなくなる、身辺の雑事、日常の俗務以外に感じなくなる、向上の大事に感激性を有(も)たなくなる、これが一番いけません」。

「無心無欲はそういう感激性の生活から来るもので、低俗な雑駁から解脱することに外(ほか)なりません」。

『感激の生活』、何歳になっても必要に思います。感激、重要です。

2022-11-12

ふと思い出す、海外の友人との楽しい思い出

朝の「忠犬クニオ」との散歩、松ヶ岡の景色を見て色々な事を考え、ふと昔のことも思い出します。

先日は、今から25年前の1997年、英国留学で知り合ったチェコの友人のことを思い出しました。本日は、その友人について少し記します。

1997年に英国のノーリッジにあるイーストアングリア大学に家内と2歳、4歳の娘で約10ヶ月留学。ノーリッジは、ロンドンから北東に特急で1時間半の場所。16世紀、ロンドンの次に作られた趣のある都市。


4月にロンドン、ヒースロー国際空港に到着し、英国生活が始まりました。そして、7月にチェコから研究者が来るとの知らせ。

共同研究者の教授の隣部屋をチェコの友人と共同で使用し、彼が帰国するまでの3ヶ月間一緒に生活。

彼は、理論生態学が専門の数学屋さん。最初にあった時、私が知っているチェコ人として、東京オリンピック体操の金メダリスト、チャフラフスカ、テニスの世界トッププレイヤー、レンドル、作曲家のドボルザークと「新世界」の話をしたら意気投合。大学内にあるパブに行きギネスビールで乾杯。

日本は、知らないと思いましたが、1990年に横浜で開催された国際生態学会議にチェコから奥さんと二人で来日。シベリア鉄道を使い、ナホトカから船で来日とのこと。そして宿泊費の一番安いお寺で宿泊。

この国際生態学会議の話でも盛り上がりました。私も2つのシンポジウムで招待講演を依頼された思い出に残る国際会議の一つ。

それ以降、彼は2年に一度くらいの頻度で鶴岡に来て共同研究を実施。共著論文は、4編。私も日本学術振興会の短期派遣研究員として家内と3人の娘を連れてチェコを訪問。

そして、彼と家族が住んでいたアパートを1ヶ月空けてくれて、我が家族は、彼のアパートで生活。チェコ滞在中は、彼が夕方アパートにやって来て、その後は、パブ(居酒屋)で多面的な情報交換。

若いころ数学の国際オリンピックで二度銅メダルを獲得し、英語、ドイツ語、ロシア語、フランス語が堪能で「化け物」のような男。

同い年で、お互いお酒を愛する処が類似し、ウマが合いました。また、彼はサウスボオヘミヤ大学の副学長も経験し、大学運営の観点からも多面的な意見交換を実施。

彼は、研究に集中すると全ての事が頭から離れ、食事も忘れて仕事に没頭する人。その集中力の凄さは異常で驚きです。世の中には、こんな人もいるのかとビックリしました。

そして、サウスボヘミアで16haの牧場を所有し、馬やポニー等、数多くの動物と生活。趣味は乗馬で、私も生まれて初めて乗馬を体験。写真は、彼の牧場とポニーに乗った2歳の娘及び友人と彼の美しい娘さん。


チェコに滞在中、「プラハの春」やソ連のチェコ侵攻、秘密警察下での生活等、チェコの歴史や生活の実態を現地で彼から学びました。

研究者冥利に尽きる海外の友人との共同研究。持つべきは、良き友。写真は、プラハ市街地の一葉。

テレビや書籍で海外を知るのと、現地の生活を通じた体験で海外を学ぶことの違いを感じます。

コロナが収束し、再び渡航して海外の友人に会うのが楽しみです。海外の友人との共同研究、本日は、懐かしい日々を思い出しました。

写真は、散歩後に玄関の前で日なたぼっこを楽しむ「クニオ」。癒やし系の優しい犬です。

『国際性を身につける』(平澤 興:一日一言)

「International は、特長ある Nations があり、その上に立ってこそはじめて望ましい国際性が生まれるのであり、自らの個性を捨てて分けの分からぬようなものだけでは真の意味での国際性は生まれません」。

「国際性を身につけるには、まず「汝自身を知れ」ということになりましょう。我々は正しい意味で日本人としての特性を持ち得てこそはじめて、尊敬される国際人たり得ると思うのであります」。

「日本人としての特性を持ち得てこそ尊敬される国際人なる」、本当にそう思います。