「米国企業の買収は、今に始まったことではない。これまでも多くの国の企業が買収してきた。何故今、日本人が米国企業を買収することに米国は大騒ぎをするのか。私には全く理解出来ない」。
これは、1980年代後半、ソニーがハリウッドの映画会社を買収した時、ソニー元会長、盛田昭夫氏が大騒ぎをする米国に向けて発したインタビュー。一昨日の人間ドック、テレビで流れていました。
盛田さんは、井深大氏とソニーの前身、東京通信工業(株)の創設者。盛田さん25歳の時。「大きくなることを望むのではなく、大企業のできないことをやり、技術力で祖国復興に役立てよう」が創設理念。
テレビで盛田さんを観て懐かしく思いました。かつて盛田さんについて色々と学び、それらの本を再読。今年最後のブログ、盛田さんの紹介です。読んだ本の情報を断片的に記します。
「米誌『タイム』が選んだ20世紀に最も影響力があった世界の経済人でただ一人選ばれたのは、盛田昭夫ソニー前会長だった」。
「盛田は井深とともに創業したソニーを世界のソニーに育て上げただけでなく、日本という国名とその技術を世界に知らしめた人物でもある」。
「「自信のあるような顔をしろ」、「ブランドは企業の生命」、「よい製品は安くなくていい」、「違う人間とこそ対話しろ」、「研究費に予算はない」、盛田語録の一部」(盛田昭夫語録、一部抜粋)
盛田さんは、「米国で売れるものは世界で売れる」と考え、1957年37歳の時にニューヨーク事務所を開設。一軒一軒訪ね、片言の英語でトランジスタラジオを売り込む。「道を拓く」、大変な時期だったと思います。
「正直に言って、盛田氏の英会話力は、決していわゆる「抜群」なものではない」。
「しかし、そうしたジャパニーズ・スタイルの英語を自由にあやつりながら、盛田氏はアメリカ人聴衆を前にズケズケと言いたいことを言い、痛烈な苦言を呈する」。
「しかも、アメリカ人を怒らせるどころか抱腹絶倒させながら、である。率直さとユーモアのセンスを縦横に駆使して、盛田氏は完璧に自分のメッセージをアメリカ人に伝え、かつアピールする」(Made in Japan、下村満子ら著、あとがき一部抜粋)。これ凄いことです。
1985年、ハワイでの会議で、アメリカ特別通商交渉代表ウィリアム・ブロック氏は、「通信機器の分野での日米貿易不均衡はあまりにひどすぎる」。
「日本のメーカーは、アメリカのメーカーが日本市場で売っている11倍もの製品をアメリカに送り込んでいる!なぜ日本はアメリカの製品を買わないのか」と迫った。
たまたま同席していたソニーの盛田昭夫は、こう反論した。
「それほどアメリカのメーカーが質の高い製品を作っているのなら、なぜアメリカのユーザーはそれを買わないのか?なぜわれわれ日本に製品を発注するのか?」
「日本のユーザーがアメリカの製品を買わないと文句を言う前に、アメリカの企業になぜアメリカ製品を買わないのか理由をただしてみてはいかがですか?」
「盛田昭夫のように海外で明確に自己主張した日本人も珍しい」。
「これは自らの信条を大切にし、自分が正しいと思ったことは、国内外に関わりなく、また相手の地位や立場に関わりなく、筋を通す、という自尊の精神の現れだろう」。
「この精神は、ソニーの発展の原動力。1955年に完成した最初のトランジスタラジオを持って、盛田はニューヨークに乗り込み、アメリカ市場への売り込みを図った」。
「相手企業は、「SONY」のロゴを削ったら購入するという。しかし、盛田はその申し出を拒否する。「SONY」の名を削ってまで売り込むようなことはしたくない」。
「盛田は付け加えて言う、あなたの企業にはブランドがあるかもしれないが、50年前はそうではなかったのですよ。私たちも50年後にはブランドを築き上げて見せます」。自尊の精神、重要に思います。
盛田さんは、60歳でスキーを、65歳でテニスを、70歳でスキューバダイビングを始める。海外の多数の著名人が盛田さんの知り合いや友人。例えば、ロックフェラー、指揮者のカラヤンやバーンシュタイン、歌手のマイケルジャクソン、レーガン大統領やブッシュ大統領等々。
常に世界が注目していた日本人の一人、盛田さん。凄い人です。
『道を拓くもの』(平澤 興 一日一言)
「若人よ、諸君が覚悟をして燃える時、諸君には自らもわからぬような無限の可能性が展開されるのだ」。
「この可能性の展開は、いわゆる頭のよしあしの問題ではなく、実に諸君の火と燃える意志と何ものにも負けない不屈の努力にある。情熱、実行、努力、これこそが諸君を生かし、諸君を伸ばす力である」。
「諸君はその目的に向かって全情熱を傾けることだ。不屈の意志のあるところ、道は拓ける」。
盛田さんも「火と燃える意志と何ものにも負けない不屈の努力」で、米国での「道を拓かれた」と思います。「火と燃える意志と何ものにも負けない不屈の努力」、重要に思います。