2024-07-26

山形SC所長推薦図書(2)安岡先生その2

先日、山形学習センター(山形SC)の所長推薦図書について安岡先生を少し紹介しました。本日は、安岡先生紹介その2です。

昭和の財界トップは、安岡先生が開催された読書会や勉強会で「人間学」について多面的に学ぶ。これは財界人だけでなく日本の歴代首相も含めた政界人も同様。

今までも、今も、これからも「人間学」の学び重要に思います。「人間学」を学んでいる人は、話していて味があるように感じる。

佐藤栄作元首相は、安岡先生を評して「飲めば飲むほど酒の味 語りあかせば人の味 男が男に惚れる味」と述べる。

そして、渡米しケネディ大統領との会談で元首相が安岡先生に指南を依頼。先生の指南が、ケネディ大統領の心を捉え30分の会談が2時間に延長されたとのこと。その一部を下述。

「ところで、大統領、ランバレーネの病院で長らく医療奉仕に従事したシュバイツアー博士のことはご存じでしょう」。

「シュバイツアーは思想家としても有名ですが、1945年、ドイツが無条件降伏して第二次世界大戦が終わったという報道に接したとき、老子の言葉「戦いに勝った国は負けた国に対して、喪に服するような礼を持って処さなければならない」を読んで祈ったといいます」。

「すなわち、戦いに勝った者は死者に対して、喪に服するような気持ちで戦後処理に臨まなければならないという意味です」と紹介。この紹介で、ケネディ大統領は、佐藤元首相に関心を持ったとのこと。

前回は、『安岡正篤活学選集』前編を紹介しましたので、今回は後編に触れます。

後編では『第6巻:経世瑣言〈総編〉』、『第7巻:いかに生くべきか』、『第8巻:青年の大成』、『第9巻:経世の書「呂氏春秋」を読む』、『第10巻:人間を磨く』を紹介。

『第6巻:経世瑣言〈総編〉』。『経世瑣言』は、わが国が最も困難に直し指導者層も苦慮を重ねた時代、いわば疾風怒涛の大激動期、昭和9年から19年の国難の時代において、先生が指導者層のために執筆・論考した「時務論」時局観等の名論卓説を集録。

『経世瑣言』は、時務論であるが、人間形成の人物論でもあり、安岡教学を代表する傑作。

『経世瑣言』、何回読んでも味わい深い書です。

『第7巻:いかに生くべきか』は、昭和4年、32歳の若き先生の著。昭和2年、先生は、東京小石川に聖賢講学のための研究所・金鶏学院を開校された。本書は、この学院に学ぶ青年たちのために書かれた。

和・漢・洋の古典と歴史に立脚した「活きた人物学」「実践的人間学」と一括される安岡教学を代表する名著。

『いかに生くべきか』は、「生き方」の指針として含蓄のある書。

『第8巻:青年の大成』は、昭和38年、日光の田母沢会館で開催された全国青年研修大会において、先生が4日間にわたって講義された内容を採録。

先生の主著は、浩瀚(こうかん)なものが多い中、本書は、珍しく小品であるが、安岡教学の神髄が心を籠めてしかも平明に説き尽くされている名著である。

『第9巻:経世の書「呂氏春秋」を読む』。『呂覧』は、『史記』では、『呂氏春秋』と名付け、春秋戦国時代の「諸子百家」の名言・卓論を集めた百科全書とも言うべき古典の代表的文献として知られている。

本書は、先生が、経世の書『呂氏春秋』を読むと題して、その中から名言・卓論を選び出し、5回にわたって活学講話されたものをまとめたものである。

『第10巻:人間を磨く』は、全国師友協会の機関誌『師と友』の巻頭言として、先生が、古今東西の古典と歴史から集録した名言・卓説を引用し、永年にわたって綴られた珠玉のような文章を集め、再編集したもの。

古今の金言が本書の素材となっており、繰り返し熟読頑味して、人生を味わい自己を深めていくよすがとしたい名著である。

私も安岡先生を「人生の師」として、先生の著書から「人間学」を少しずつ学んでいます。先生は、あまりにも人間的に大きな方。

一生涯、少しずつ先生から「人間学」を学び「活学」にしたいと思います。先生に感謝です。

『人間の尊さ』(安岡正篤 一日一言)

「人間の尊さは安らかな環境に安逸を貪ることではなく、各人の内に与えられておる無限の知性や徳性・神性を徹見し、開拓して、人格を崇高にし、人類文明を救済し発展させる努力にあるのであります」。