2024-07-22

山形SC所長推薦図書(1)安岡先生その1

本日は、山形学習センター(山形SC)、所長推薦図書について一部再掲も含め少し記します。

毎年12月、放送大学附属図書館長からSC所長に「本部図書館に配置する図書」の推薦依頼があります。

これは、「多様な専門領域に拡がるSC所長の叡智を本部図書館の蔵書構成に活かすため、本部図書館への配置を希望する図書について推薦する制度」です。

すでに4年間、4回推薦。その推薦図書が7月中旬に到着。事務長の発案で『『人間学の学び』に関する所長推薦図書』のコーナーを作成し陳列。「人間学の書」としては、安岡先生、平澤先生、森先生の著書が中心。

本日は、その1として安岡正篤先生について少し触れます。

先生の略歴を『人間の魅力 人物百話』(安岡正篤著、DCS出版局)から紹介。

「1898年(明治31年)大阪生まれ。東京帝国大学法学部政治学科卒業。東洋政治哲学・人物学を専攻」。

「大正11年東洋思想研究所、昭和2年に金鶏学院、同6年に日本農士学校を設立、東洋思想の研究と人物の育成に従事。戦後、昭和24年師友会を設立、広く国民各層の啓発・教化につとめ、58年12月逝去」。

戦前、戦中、戦後を通じ日本の政財界のトップを初め、多くの志ある日本人が安岡先生の講演会や勉強会、またその著書から「人間学(徳性を養い人間の本質的完成の学び)」等を学ぶ。

『致知出版社、安岡正篤活学選集 全10巻刊行に寄せて』に、郷学研究所 安岡正篤記念館所長・副理事長 荒井 桂氏が『活学選集』の各巻の解説を記す。今回は、前編として5巻までの抜粋を紹介します。

『第1巻:人物を修める』。「昭和52年、住友銀行の幹部の教養を高めるべく、安岡先生に懇請―10回にわたり行われた講座を一冊にまとめたもの」。

「安岡教学の真髄が盛り込まれ、儒教、仏教、老荘思想を総ざらえしながら、人はいかに人物を修めたらよいかを説いている」。

『第2巻:先哲講座』。「近畿鉄道株式会社の懇請に応じ、昭和41年以来14年にわたり幹部社員に対する講義を続けられ、その中から6年分の内容を収録」。

「安岡先生の講義は「遊講」と呼ばれ、東西古今の先哲について、説き来たり、説き去って悠游自適、大河の趣きがあったという。本書はその典型とも言える一書」。

『第3巻:易と人生哲学』。「近畿日本鉄道株式会社の要請に応じ、その幹部教育の講師として講じられたもののうち、『易経』入門の手引きとして講じた講義録」。

「四書五経の経書の中でも、最も難解な書とされる『易経』を、安岡先生がその造詣を傾けて講義された貴重な記録」。

『第4巻:呻吟語を読む』。「昭和46年に全国師友協会主催の照心講座において連続講義された講録。『呻吟語』は、明末の大儒、呂新吾先生の語録」。

「全部で17章、1976条からなる浩瀚な大著。本書は、安岡先生がその中から現代人にとって最も適切と思われるものを抄出されて講義されたもの」。

『第5巻:立命の書「陰騭録」を読む』。「人生には、宿命、運命、立命がある。いかにして人生を立命となすか。その極意を説いたのが、「陰騭録(いんしつろく)」にほかならない」。

「陰騭録を一貫しているものは、人間は、運命とか宿命というものを、自らの道徳的努力によって、立命に転換してゆくことができるという思想である」。

私は、毎日、静かな早朝、『安岡正篤活学選集』を読み今、3回目。『第7巻:いかに生くべきか』を読書中。早朝、安岡先生の書を読むと、心が爽やかになり、落ち着くように思う。安岡先生に感謝。

『佳書と出会う』(安岡正篤 一日一言)

「佳書とは、それを読むことによって、我々の呼吸・血液・体液を清くし、精神の鼓動を昂(たか)めたり、 沈着(おちつ)かせたり、霊魂を神仏に近づけたりする書のことであります」。

「佳い食物もよろしい。佳い酒もよろしい。佳いものは何でも佳いが、結局 佳い人と佳い書と佳い山水の三つであります。然し佳い人には案外会えません。佳い山水にもなかなか会えません」。

「ただ佳い書物だけはいつでも手に執れます。不幸にして佳人に会わず、佳山佳水に会わずとも、佳書にだけはあいたいものであります」。

「佳書によって、我々はしみじみと自分自身に話すことができるのであります。天地が壊れるときも、ああ天地が壊れると語れるのであります。これこそ天地の外に立つのであります」。

『佳書と出会う』、重要ですね。