2024-07-16

研究集会出席及び大学院の諸先輩との再会

私たちは、長い人生で困難、苦労、悲しみ等に遭遇し、多面的に学び考え成長する。また、人生では喜び、楽しみ、嬉しさを体験し、人生の味わい深さを知る。そして、出会いが、人生を決めることもある。

本日は、大学院でお世話になった研究室の研究集会に参加し、多様な分野の研究を多面的に学ぶとともにお世話になった諸先輩との出会いと再会について少し記します。

大学院に入学し、やることは決めたが、やり方が分からない。この「暗黒時代」が3年間続く。研究方法が分からない。勿論、指導教員も方法は分からない。暗中模索の3年間。しかし、研究とはこんなものと思う。

そんな3年間、家庭教師のアルバイトを終えて午後10時頃に研究室に戻ると、心優しい先輩が、「安田、何を辛気くさい顔をしているんや。パッと行こうぜ、パッと」と居酒屋訪問を誘う。

「ちょっと行きますか」と応じて、名古屋の繁華街、栄に6名程度で繰り出す。居酒屋が12時で終了するとスナックに移動。さらにスナックが2時頃に閉店すると、大学のある東山公園の行きつけのスナックへ。

そこは朝5時まで開店。5時、薄明るくなった頃、外に出てボヤーッとした頭でアパートに帰る。

この飲み屋のハシゴで諸先輩との研究の話や四方山話に刺激と元気をもらう。私は、この心優しい諸先輩との飲み屋での研究談義に救われた。もしこのような出会いがなければ、大学院での研究は、止めたと思う。

そんな諸先輩が、研究集会に出席。大学院の頃のお礼と「お別れ」も含めて研究集会に出席し、発表した。

今回の研究集会では、7名が発表。私の専門は、生態学で、学会では生態学の発表のみを聞く。今回の研究集会は、昆虫フェロモンや農薬の研究紹介等もあり専門以外の新たな興味深い学びがあった。

7名の発表、理由は不明だが私が最後の発表者、オオトリ。私の前の発表者が「心優しい先輩」。「先輩」イワク、「何故、私が安田の前座を努めなければならないのか?ワカラナイ」。

私も「漫談」の私の講演が、何故「オオトリ」なのか「ワカラナイ」。7名の演題を入念にチェックし、私の前6題は、学術性の高い専門の内容も含む学術講演。

「心優しい先輩」、講演の最後の方は、最近読んだ本で印象に残ったものを紹介。そして、最後のスライドは、『安田弘法編著:農学が世界を救う』を大写し。

そして、「この本が本屋にヤマズミされていた。購入して読んだら凄く面白かった」と紹介し、講演を終わる。相変わらず「心優しい先輩」。有難い、感謝。

私の講演は、「大学生活を通じた楽しき挑戦―研究・学び・遊び・出会い―」が演題。研究紹介は、全体の1/3。後は、漫談。

講演会、一般的に最初の方の講演は、出席者も気合を入れ集中力も高い。しかし、3時間の講演会、最後の方は、皆さん疲れて、頭は懇親会での冷たいビール。

そんな「オオトリ」には、漫談が一番との事務局の「優しい配慮」と思う。

研究集会後の懇親会。ほぼ40年以上ぶりの再開。年を感じる先輩もいれば、昔と変わりなく若々しい先輩もいる。さらに優秀な後輩も参加し、懇親会は多面的な楽しい情報交換の場となり盛り上がる。

再会した諸先輩や後輩諸氏、生き方、考え方、性格は、40年前と変わっていない。「三つ子の魂百まで」を思い出す。

農薬学の第一人者、83歳の大先輩が私の隣に来られて、楽しい研究の話。松にマダラカミキリが媒介する線虫で松枯れが起こる。これは私が学生だった1970年代から大きな問題。

大先輩は、農薬の空中散布が森林生物相に及ぼす影響も研究。さらに、水田での農薬の空中散布が水田生物に及ぼす影響も調査。このような調査で日本全国を訪問したとのこと。これを79歳まで継続。ウウウ、凄い。

環境保護団体やマスコミから意見されたこともあったが、感覚的な意見にはデータを示して対応。これも凄い。このような体を張っての仕事が、若々しさの源に思う。

岩波の『ジュニスタ』執筆にあたり、農薬散布とその影響についても紹介する予定。まさに絶好のタイミングでの貴重な情報。

お世話になった諸先輩とは、2次会でさらに盛り上がる。若いころにお互い苦労した仲間とは、話が尽きない。昔や今の四方山話に花が咲き、盃が進む。感謝。

お世話になった大学院は、日本全国から多様な学生が参集し、研究活性の高い研究室。地元の名古屋大の学生は少なく、京大、広島大、九州大、高知大、静岡大、琉球大、宇都宮大出身者や多くの留学生が在籍。

これを可能にしたのは、度量ある教授の研究室運営。お世話になったある先輩は、生態学を専攻し、農薬会社の社長。さらに、九州大や千葉大の教授及び国立研究機関の所長や研究室長として大活躍。

また、後輩諸氏も大手農薬会社の執行部や部長。皆元気な仲間。教員が優秀な研究室だと学生が集まり、研究活性が高いことを痛感する。

皆元気に楽しく長生きして欲しいと思う。世話人や出席者に感謝です。

『晩年』(安岡正篤 一日一言)

「冬になれば、「木落ち水尽き千崖(せんがい)枯れて、迥然(けいぜん)眞吾(しんご)が現れる」ように、人間も年寄るに随って、容色は衰え、矯飾は廃れて、その人の真実我が掩(おお)うところなく現れてくる」。

「『菜根譚』にも「人を看るには只後半截(こうはんせつ)を看よ」という古語を、引いているが、誠に人の晩年は一生の総決算期で、その人の真価の定まる時である」。

これからの晩年、活き活きと楽しく生きたいと思います。