2024-07-30

山形SC所長推薦図書(3)平澤先生その1

本日は、山形学習センター(山形SC)、所長推薦図書紹介第3弾、(3)平澤興先生について一部再掲も含め少し記します。

平澤先生は、新潟の寒村、味方(あじかた)のご出身で、そこには『平澤興記念館』があります。かつて、「平澤先生を訪ねて」、新潟への旅に出かけたことがあります。

「なによりも大切なことは、人を生かすことである。そして、その人に喜びと勇気と希望を与えることである」。これは、先生の教えの一つ。腹にズンと響きます。

先生は、1900年(明治33年)に新潟市味方で生まれ、88歳で逝去。専門は、脳神経細胞学。京都帝国大学医学部卒業、新潟医科大学教授、京都大学教授を経て京都大学第16代総長。

写真は、記念館にある先生の銅像。

総長を退任後、特に力を尽くされたことの一つが家庭教育の普及運動。人間の基本的な性格は幼児期に形成されるとの考えから幼児教育の意義、そして母親の役割の重要性を痛感される。

それゆえ、教育者としての余生を「全日本家庭教育研究会(全家研)」の運動に捧げられた。

そして、「1.親は、くらしを誠実に。2.子どもには、楽しい勉強を。3.勉強は、よい習慣づくり。4.環境づくりは、人づくり。5.人づくりは、人生づくり」と平易な言葉で自らの心情を述べる。

また、日本全国を訪問し、各地のお母さん達に講演。その講演集が、『平澤興講話選集全5巻、生きる力』。凄い人、信念の人です。

この『平澤興講話選集全5巻、生きる力』は、山形SCの所長推薦図書として購入し、私も自宅で毎朝、少しずつ読んでいます。

先生の大学生活の基本方針は、「大学では、講義を聴き、講義で紹介される原書を読み、講義と原書で十分考え自分自身のノートを作る」。

しかし、入学後直ぐに講義に出てそれを整理すると原書を読む時間はない。原書を読もうとすると講義に出る時間はない。自分の基本方針が到底実行不可能なことを知る。

「自分が自分に約束したことが出来ないようでは、人間の名に値するのか」との煩悶から、大学を止め、人間も止めようと考える。そして、大学1年の12月早々に味方に帰省。そして、吹雪の雪原をさまよう。そこに先生が私淑していたベートーベンがドイツ語で呼びかける。

それは耳の病気で絶望的になろうとする25歳のベートーベンが叫ぶ、自己に対する戒めと励ましの言葉。そのベートーベンの言葉により先生は、人間を止めるのをとどまった。

写真は、記念館にある先生関連の品々。

先生の郷里で先生がさまよわれたと思われる地域を眺め、感慨に耽りました。

平澤興記念館では、先生に関する記念品などが展示してあり、ぼんやりと眺め在りし日の先生を偲ぶ。先生は、「努力、努力、努力」の人です。

掛け軸と色紙を購入し、我が家の玄関には掛け軸、書斎には色紙をかけて毎日眺めています。

色紙は、「進むべき道は一筋世のために がまんがんばり 今日もあしたも」。掛け軸は、「今日もよし あすもまたよしあさっても よしよしよしとくらす一日」。よい教えです。


平澤先生の教えを少し紹介します。

「今が楽しい、今が有り難い、今が喜びである。それが習慣となり、天性となるような生き方こそ最高である」。

「いかように、可能性を引き出すかということについては、これは、本人に、興味を持たせること、面白いと思わせることが第一だろうと思います」。

「教育とは火をつけることだ。教育とは火をつけて燃やすことだ。教えを受けるとは、燃やされることであり、火をつけられることです」。

「相手の心に火をつけることは、ただ一方的な命令やおしつけでできるものではなく、こちらも燃えて相手と一つになり、相手のかくれた可能性を見いだして、これを燃やすことである」。

「生きよう今日も喜んで。生きるとは燃えることなり。人生はニコニコ顔の命がけ」。

先生からは、毎日、少しずつ学んでいます。間口が広く奥行きの深い、素晴らしい先生。先生に感謝。

『いまを大切に』(平澤 興 一日一言)

「今日一日の実行こそが人生のすべてです。それ以上のことはできない」。

『いまを大切に』、重要に思います。

2024-07-28

ブログ開設5周年、726号「楽しみを継続」

2020年7月28日に『山桜庵』第1号を発信して本日で足かけ5年、2日に一度の発信で726号。一部再掲も含め振り返りと今後について少し記します。

「積み重ねがもたらす結果は、私自身も実感しています。「日々発見、日々感動」をモットーとして毎日発信している1400字程度のデイリーメッセージは、30年前に書き始めて以来、一日たりとも休んでいません」。

「日々私が感じた学びを綴ったものですが、たったそれだけでも一つ事を積み重ねたことで、人生が豊かになったと心から実感しています」。

「「一つを励めば、すべてが変わる」、他ならぬ、これは私の実感です。30年も続けると、デイリーメッセージが無限の可能性をひらいてくれました」。

「漫然と生きているだけでは、メッセージに書くネタがありませんので、人の話を聞いても電車に乗っても、朝起きて夜寝るまで、普段の生活が全てネタ探し。おかげで真剣に生きられるようになったのです」。

これは『致知2021年8月号、特集:積み重ね 積み重ねても また積み重ね』に掲載された、志ネットワーク「青年塾」代表、上甲晃さんの「運命をひらく:人生の“合い言葉”」の一部抜粋。

上甲さんは、大学卒業後、松下電器産業に入社し、松下幸之助社長から「生き方」を学ばれたそうです。

2020年7月28日に始めた『山桜庵』、上甲さんの30年に比べれば、まだ5年、足下にもおよびません。

しかし、「漫然と生きているだけでは、メッセージに書くネタがありませんので、人の話を聞いても電車に乗っても、朝起きて夜寝るまで、普段の生活が全てネタ探し」の記述には、思わず「ニヤリ」です。それよく分かります。

上甲さん、毎日、発信。それを30年以上継続、驚きです。凄い!!

「ブログ書き」、色々と勉強と刺激になります。「文章は、簡潔で分かりやすく、読者に関心を持って貰うように書く」がモットーです。しかし、このモットー簡単ではありません。

また、ブログ作成のため色々と調べます。学びです。今まで写真撮影の経験は、ほとんどなしでしたが今、スマホは常に携帯。何時でも撮影。ブログ作成で日常生活が少し変わりました。

「ブログ書き」、経験がないことへの挑戦、良いです。ブログを立ち上げてくれた、米国の「友人」に感謝。

我が『山桜庵』、今年7月から毎日100件前後のアクセス数。これまでは30件前後でしたので3倍以上。時々200件を超えることもあり。理由はよく分かりませんが、嬉しいことです。

読者の皆さんに感謝。誠に残念ですが、この『山桜庵』、今年9月末で終了を予定しています。その理由については最終号で記します。後2ヶ月、よろしくお願いします。

『人生をものにする』(平澤 興 一日一言)

「何よりも大切なことは、あくまでも自己との約束を守り、一度やろうと決心したことは必ずやり通し、決して自己を欺かぬことである。これさえできるようになれば、もう人生は自分のものである」。

「自己との約束を守る」、簡単なようで、そうでもないです。心にしみる教え。 

2024-07-26

山形SC所長推薦図書(2)安岡先生その2

先日、山形学習センター(山形SC)の所長推薦図書について安岡先生を少し紹介しました。本日は、安岡先生紹介その2です。

昭和の財界トップは、安岡先生が開催された読書会や勉強会で「人間学」について多面的に学ぶ。これは財界人だけでなく日本の歴代首相も含めた政界人も同様。

今までも、今も、これからも「人間学」の学び重要に思います。「人間学」を学んでいる人は、話していて味があるように感じる。

佐藤栄作元首相は、安岡先生を評して「飲めば飲むほど酒の味 語りあかせば人の味 男が男に惚れる味」と述べる。

そして、渡米しケネディ大統領との会談で元首相が安岡先生に指南を依頼。先生の指南が、ケネディ大統領の心を捉え30分の会談が2時間に延長されたとのこと。その一部を下述。

「ところで、大統領、ランバレーネの病院で長らく医療奉仕に従事したシュバイツアー博士のことはご存じでしょう」。

「シュバイツアーは思想家としても有名ですが、1945年、ドイツが無条件降伏して第二次世界大戦が終わったという報道に接したとき、老子の言葉「戦いに勝った国は負けた国に対して、喪に服するような礼を持って処さなければならない」を読んで祈ったといいます」。

「すなわち、戦いに勝った者は死者に対して、喪に服するような気持ちで戦後処理に臨まなければならないという意味です」と紹介。この紹介で、ケネディ大統領は、佐藤元首相に関心を持ったとのこと。

前回は、『安岡正篤活学選集』前編を紹介しましたので、今回は後編に触れます。

後編では『第6巻:経世瑣言〈総編〉』、『第7巻:いかに生くべきか』、『第8巻:青年の大成』、『第9巻:経世の書「呂氏春秋」を読む』、『第10巻:人間を磨く』を紹介。

『第6巻:経世瑣言〈総編〉』。『経世瑣言』は、わが国が最も困難に直し指導者層も苦慮を重ねた時代、いわば疾風怒涛の大激動期、昭和9年から19年の国難の時代において、先生が指導者層のために執筆・論考した「時務論」時局観等の名論卓説を集録。

『経世瑣言』は、時務論であるが、人間形成の人物論でもあり、安岡教学を代表する傑作。

『経世瑣言』、何回読んでも味わい深い書です。

『第7巻:いかに生くべきか』は、昭和4年、32歳の若き先生の著。昭和2年、先生は、東京小石川に聖賢講学のための研究所・金鶏学院を開校された。本書は、この学院に学ぶ青年たちのために書かれた。

和・漢・洋の古典と歴史に立脚した「活きた人物学」「実践的人間学」と一括される安岡教学を代表する名著。

『いかに生くべきか』は、「生き方」の指針として含蓄のある書。

『第8巻:青年の大成』は、昭和38年、日光の田母沢会館で開催された全国青年研修大会において、先生が4日間にわたって講義された内容を採録。

先生の主著は、浩瀚(こうかん)なものが多い中、本書は、珍しく小品であるが、安岡教学の神髄が心を籠めてしかも平明に説き尽くされている名著である。

『第9巻:経世の書「呂氏春秋」を読む』。『呂覧』は、『史記』では、『呂氏春秋』と名付け、春秋戦国時代の「諸子百家」の名言・卓論を集めた百科全書とも言うべき古典の代表的文献として知られている。

本書は、先生が、経世の書『呂氏春秋』を読むと題して、その中から名言・卓論を選び出し、5回にわたって活学講話されたものをまとめたものである。

『第10巻:人間を磨く』は、全国師友協会の機関誌『師と友』の巻頭言として、先生が、古今東西の古典と歴史から集録した名言・卓説を引用し、永年にわたって綴られた珠玉のような文章を集め、再編集したもの。

古今の金言が本書の素材となっており、繰り返し熟読頑味して、人生を味わい自己を深めていくよすがとしたい名著である。

私も安岡先生を「人生の師」として、先生の著書から「人間学」を少しずつ学んでいます。先生は、あまりにも人間的に大きな方。

一生涯、少しずつ先生から「人間学」を学び「活学」にしたいと思います。先生に感謝です。

『人間の尊さ』(安岡正篤 一日一言)

「人間の尊さは安らかな環境に安逸を貪ることではなく、各人の内に与えられておる無限の知性や徳性・神性を徹見し、開拓して、人格を崇高にし、人類文明を救済し発展させる努力にあるのであります」。

2024-07-24

萩市で商船高専同窓会、持つべきは良き友

今年8月、10年ぶりに故郷、島根の田舎に帰省予定。これが人生最後の帰省。折角なので青春を共に過ごした萩市在住の親友に会う旨連絡。そして、その友人が萩市で商船高専同窓会を企画。少し紹介します。

商船高専は、全国に5校あり、外国航路の商船士官を養成。船長を養成する航海科と機関長の機関科の2学科。前者は定員40名、後者は80名。私は、山口県大島にある大島商船高専で学ぶ。

私が学んだ機関科では、中学卒業後、4年半の座学と9ヶ月の航海実習及び3ヶ月の造船所実習。16歳から22歳までの多感な時代を全寮制での共同生活。多面的に鍛え上げられました。

写真は、瀬戸内海に面する大島商船学生寮。

寮は、低学年と高学年寮の2つ。3年生までの低学年寮では、3年生の室長と2年生の1年生指導係及び1年生で一部屋が構成。4名から6名が一部屋で共同生活。1年生は奴隷、2年生は人間、3年生は天皇と言われたが、そうでもない。

萩の親友とは、在学中に色々と学生生活を楽しむ。彼は、カッター部の部長で、授業が終われば何時も、カッターに乗り瀬戸内海でカッターの練習。これかなりシンドイ部活です。

写真は、オーストラリアへの遠洋航海中、太平洋上でカッターの帆走訓練の一葉。

親友とは、練習船実習や造船所実習も一緒で長く楽しい付き合い。

4年半の座学を終えると、9ヶ月の航海実習のため東京晴海埠頭に集合。

私達の班の遠洋航海は、オーストラリアとパプアニューギニア。航海訓練所の練習船、青雲丸(5,400トン)で晴海埠頭から2週間かけてブリスベーンに到着。

陸のような物が見え、それが少しずつ大きくなり陸と分かる。生まれて初めての異国、感動でした。その後、何十回と海外を訪問しましたが、船での異国への渡航は、その時が初めての最後。船旅、良いです。

写真は、大島商船の練習船、大島丸と航海訓練所の帆船、日本丸。


練習船に乗った初日の講義で、一等航海士が、「君達は、航海実習を終えて卒業後、商船士官となる。士官は、常にnoblesse oblige(仏語らしい)。身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある、それを忘れるな」と言った言葉が強く記憶に残る。

さらに、「連帯責任はない。責任は誰にあるか、責任の所在を常に明確にしろ」との助言も、その後の私の人生で忘れられない言葉。

写真は、遠洋航海中の船内運動会の一葉。

免税のお酒をたくさん買い、4時間毎の当直後は、毎日、酒盛り。青春の楽しい一コマでした。

写真は、ブリスベーンの子供達と商船高専の友人及び、中心街での一葉。


萩在住の友人は、外国航路の士官を経験後、萩で精肉店を経営。「長萩和牛」のブランドで東京や大坂の高級レストラン等も含め全国5都府県のレストランと取引。それは、TBSでも紹介。

8月14日は、その友人宅でバーベキューパーティーとの知らせ。佐賀県からの友人も含め7名での同窓会。今から楽しみ。「持つべきは良き友なり」を再認識。友人に感謝。

『事上錬磨』(安岡正篤:一日一言)

「心身の学を修める上で忘れてはならないことは、事上錬磨ということであります。それはわれわれが、絶えず日常生活の中でいろいろな問題について自分の経験と知恵をみがいてゆかねばならぬことです。

己を修めないで人を支配しよう、人を指導しようと思っても、それは無理というものです」。

『事上錬磨』、心に留めたい教えです。

2024-07-22

山形SC所長推薦図書(1)安岡先生その1

本日は、山形学習センター(山形SC)、所長推薦図書について一部再掲も含め少し記します。

毎年12月、放送大学附属図書館長からSC所長に「本部図書館に配置する図書」の推薦依頼があります。

これは、「多様な専門領域に拡がるSC所長の叡智を本部図書館の蔵書構成に活かすため、本部図書館への配置を希望する図書について推薦する制度」です。

すでに4年間、4回推薦。その推薦図書が7月中旬に到着。事務長の発案で『『人間学の学び』に関する所長推薦図書』のコーナーを作成し陳列。「人間学の書」としては、安岡先生、平澤先生、森先生の著書が中心。

本日は、その1として安岡正篤先生について少し触れます。

先生の略歴を『人間の魅力 人物百話』(安岡正篤著、DCS出版局)から紹介。

「1898年(明治31年)大阪生まれ。東京帝国大学法学部政治学科卒業。東洋政治哲学・人物学を専攻」。

「大正11年東洋思想研究所、昭和2年に金鶏学院、同6年に日本農士学校を設立、東洋思想の研究と人物の育成に従事。戦後、昭和24年師友会を設立、広く国民各層の啓発・教化につとめ、58年12月逝去」。

戦前、戦中、戦後を通じ日本の政財界のトップを初め、多くの志ある日本人が安岡先生の講演会や勉強会、またその著書から「人間学(徳性を養い人間の本質的完成の学び)」等を学ぶ。

『致知出版社、安岡正篤活学選集 全10巻刊行に寄せて』に、郷学研究所 安岡正篤記念館所長・副理事長 荒井 桂氏が『活学選集』の各巻の解説を記す。今回は、前編として5巻までの抜粋を紹介します。

『第1巻:人物を修める』。「昭和52年、住友銀行の幹部の教養を高めるべく、安岡先生に懇請―10回にわたり行われた講座を一冊にまとめたもの」。

「安岡教学の真髄が盛り込まれ、儒教、仏教、老荘思想を総ざらえしながら、人はいかに人物を修めたらよいかを説いている」。

『第2巻:先哲講座』。「近畿鉄道株式会社の懇請に応じ、昭和41年以来14年にわたり幹部社員に対する講義を続けられ、その中から6年分の内容を収録」。

「安岡先生の講義は「遊講」と呼ばれ、東西古今の先哲について、説き来たり、説き去って悠游自適、大河の趣きがあったという。本書はその典型とも言える一書」。

『第3巻:易と人生哲学』。「近畿日本鉄道株式会社の要請に応じ、その幹部教育の講師として講じられたもののうち、『易経』入門の手引きとして講じた講義録」。

「四書五経の経書の中でも、最も難解な書とされる『易経』を、安岡先生がその造詣を傾けて講義された貴重な記録」。

『第4巻:呻吟語を読む』。「昭和46年に全国師友協会主催の照心講座において連続講義された講録。『呻吟語』は、明末の大儒、呂新吾先生の語録」。

「全部で17章、1976条からなる浩瀚な大著。本書は、安岡先生がその中から現代人にとって最も適切と思われるものを抄出されて講義されたもの」。

『第5巻:立命の書「陰騭録」を読む』。「人生には、宿命、運命、立命がある。いかにして人生を立命となすか。その極意を説いたのが、「陰騭録(いんしつろく)」にほかならない」。

「陰騭録を一貫しているものは、人間は、運命とか宿命というものを、自らの道徳的努力によって、立命に転換してゆくことができるという思想である」。

私は、毎日、静かな早朝、『安岡正篤活学選集』を読み今、3回目。『第7巻:いかに生くべきか』を読書中。早朝、安岡先生の書を読むと、心が爽やかになり、落ち着くように思う。安岡先生に感謝。

『佳書と出会う』(安岡正篤 一日一言)

「佳書とは、それを読むことによって、我々の呼吸・血液・体液を清くし、精神の鼓動を昂(たか)めたり、 沈着(おちつ)かせたり、霊魂を神仏に近づけたりする書のことであります」。

「佳い食物もよろしい。佳い酒もよろしい。佳いものは何でも佳いが、結局 佳い人と佳い書と佳い山水の三つであります。然し佳い人には案外会えません。佳い山水にもなかなか会えません」。

「ただ佳い書物だけはいつでも手に執れます。不幸にして佳人に会わず、佳山佳水に会わずとも、佳書にだけはあいたいものであります」。

「佳書によって、我々はしみじみと自分自身に話すことができるのであります。天地が壊れるときも、ああ天地が壊れると語れるのであります。これこそ天地の外に立つのであります」。

『佳書と出会う』、重要ですね。

2024-07-20

『岩波ジュニスタ』執筆開始

昨日、岩波書店ジュニア新書担当者と『ジュニスタ』出版に向けた最後の打ち合わせ。そして、執筆開始となりました。少し記します。

『ジュニスタ』は、2021年3月に創刊が開始された中学生を対象にした学習入門シリーズ。正式名称は、『岩波ジュニアスタートブックス』

「中学生が読んでワクワクし、面白いと感じる書を目指す」。「我が子や孫に話しかけるような書き方にする」。このような方向性で『挑戦する田んぼ―持続可能な米づくりを目指して』の執筆開始。

本書は、下述の3章構成。12月中に執筆を終了し、2025年6月刊行予定。初版4,000部。総ページは128Pで、定価は1,595円。

岩波の担当者とお互いワクワクしながら打ち合わせ。中学生が楽しめる本を書きたいと思う。ワクワクです。

下述の「概要」及び「目次」は、岩波の担当者が、出版可否の編集会議のために作成。良く書けています。本書の「概要」は、次のようなもの。

「多様な生き物が「自然の調和」に及ぼす役割を研究している研究者が、無肥料・無農薬・無除草剤の「自然の田んぼ」で30年以上、米を作っている篤農家と出会った」。

「そして、生き物の働きを活用した米づくりに魅せられ、自らも米づくりを開始する」。

「1章では、そのきっかけとなった田んぼとの出会いから始まり自然と共生する田んぼが持つ力を、そこに住む生きものや稲の様子から描く。コラムでは著者の試行錯誤の日々を紹介する」。

「2章では、化学化・機械化などの近代農業がもたらした成果を考察する。その中で農業の現状や課題が見えてくる。昔の農業に戻ること=正解とは言えないが、しかし今のままでいいわけではない」。

「では、未来に向けてどんな道があるのか。「生態系サービスを利用し、自然の調和を生かす道」から課題解決にむけて始まった模索の日々を紹介。コラムでは、その成功例としてトキ米に光をあてる」。

「3章では、2章をふまえさまざまな危機を前に、私たちができることは何かを日本やアジアの「挑戦する田んぼ」での実践から探る」。

「自然の調和を生かした田んぼが、持続可能な米づくりを支えていくことは間違いない。また化学化の農業には、資源の問題からもますます頼れなくなっていく」。

「そのなかで自然と共生していく方法をとりながら、みんながWINWINになる方法を提言する」。

本書の「目次」は、次のようなもの。

「1章 佐藤さんの挑戦——自然の田んぼでコメ作り:「8コマ漫画:田んぼの中には、何がいる?」」。

「佐藤さんちの田んぼに行ってみた/一匹のヤゴが1gの糞をすると・・・/「自然の田んぼ」の発見!とつくりかた/特徴は、水辺の生き物が多いこと/田んぼがもっている力!」。

「コラム:田んぼで観察・調査・実験にTRY!」。

「2章 米がたくさんとれる田んぼ:「8コマ漫画:ふつうの田んぼの様子」」。

「高収量の田んぼに行ってみた/機械化、化学化の影響/沈黙の春が続いている/昔の農業には戻れない?/生態系サービスを利用し、自然の調和を生かす道の模索が始まる」。

「コラム:佐渡のトキ米とトキ」。

「3章 挑戦する田んぼ:「8コマ漫画:田んぼから見える地球」」。

「持続可能な米づくりとは?/化学化の農業には頼れない/田螺のいる田んぼ、いない田んぼ(自然の修復力)/無肥料・無農薬・無除草剤で調和をつくる/草取りは機械で/田んぼは挑戦し続ける!」。

「コラム:SDGsで考える農業」。

これから執筆を楽しむ予定。岩波の優秀な担当編集者に感謝です。

『縁尋機妙、多逢聖因』(安岡正篤:一日 一言)

「良い縁がさらに良い縁を尋ねて発展していく様(さま)は、誠に妙(たえ)なるものがある。これを「縁尋機妙(えんじんきみょう)」という」。

「また、いい人に交わっていると良い結果に恵まれる。これを「多逢聖因(たほうしょういん)」という。人間はできるだけいい機会、いい場所、いい人、いい書物に会うことを考えなければならない」。

『縁尋機妙 多逢聖因』、本当だと思います。今までも、今も、これからも縁を大事にしたいと思います。

 

2024-07-18

島根県産サザエに日本海での海水浴を思う

私は、魚を見るのも食するのも好き。子供の頃は、大人になったら漁師になるだろうと言われて育つ。

山形SCでの業務が終わると魚屋さんでウオの顔を眺めるのが日課。先日、魚屋さんで島根県産サザエを発見し、子供の頃の海水浴を思い出す。本日は、それを少し記します。


私が生まれ育った故郷は、日本で13番目の長さの江の川の中流域。小学生の夏休みは、毎年、体が真っ黒になるほど、江の川で遊ぶ。水泳は勿論、魚とりや野球で夕方になるまで遊ぶ。江の川の「河童」。

そんな子供時代の楽しみの一つが、夏休み家族そろっての海水浴。海水浴の臨時列車、蒸気機関車D51に乗って集落の人と一緒に日本海での海水浴。

海水浴、海で泳ぐのも楽しみだが、ハマグリやサザエ等を取るのも楽しみ。昭和30年代、当時は、海での魚介類の捕獲は禁止されていなく、我が家の3兄弟は岩場でサザエや砂場でハマグリ取りに夢中。

岩場には、奇麗な魚も多くワカメがユラユラゆれ、見飽きない景色。日本海の透明度は高く、5m位の水深だと海面から海底が奇麗に見渡せる。

サザエは、岩場の窪みに入っているので、5mの水深を潜り、窪みをひとつ一つチェックして探す。サザエを発見した時の喜びは格別。発見したら一度浮上して息継ぎをし、再度潜って一気に岩から引き離す。

生き物を捕獲して食するのは動物の本能のように思う。

ハマグリは、海水が胸くらいの水深場所の砂場で足を砂の中で攪拌。ハマグリが足に当たると潜って獲得。これも結構面白くて夢中になる。

獲ったサザエやハマグリは、その日に炭火の七輪で焼き、醬油を流して食する。焼きたてのサザエやハマグリの味は格別。

庄内に移住して子供たちが小さいときは、よく湯の浜に海水浴に行ったが、もっぱら子供たちと一緒に海水浴や日光浴を楽しむ。

先日、家内と庄内浜をドライブして子供たちとの海水浴を思い出す。「光陰矢の如し」、月日の経つ速さを感じる。

魚屋さんで島根県産サザエを発見し、子供の頃の日本海での海水浴を思い出す。昭和30年代、お金もなく、物もなかったが、多くの仲間と一緒に色々と工夫し、楽しい日々を過ごす。子供達は皆元気で、野外遊びを楽しむ野人だった。懐かしい。

『いまを大切に』(平澤 興 一日一言)

「今日一日の実行こそが人生のすべてです。それ以上のことはできない」。

『いまを大切に』、重要に思います。 

2024-07-16

研究集会出席及び大学院の諸先輩との再会

私たちは、長い人生で困難、苦労、悲しみ等に遭遇し、多面的に学び考え成長する。また、人生では喜び、楽しみ、嬉しさを体験し、人生の味わい深さを知る。そして、出会いが、人生を決めることもある。

本日は、大学院でお世話になった研究室の研究集会に参加し、多様な分野の研究を多面的に学ぶとともにお世話になった諸先輩との出会いと再会について少し記します。

大学院に入学し、やることは決めたが、やり方が分からない。この「暗黒時代」が3年間続く。研究方法が分からない。勿論、指導教員も方法は分からない。暗中模索の3年間。しかし、研究とはこんなものと思う。

そんな3年間、家庭教師のアルバイトを終えて午後10時頃に研究室に戻ると、心優しい先輩が、「安田、何を辛気くさい顔をしているんや。パッと行こうぜ、パッと」と居酒屋訪問を誘う。

「ちょっと行きますか」と応じて、名古屋の繁華街、栄に6名程度で繰り出す。居酒屋が12時で終了するとスナックに移動。さらにスナックが2時頃に閉店すると、大学のある東山公園の行きつけのスナックへ。

そこは朝5時まで開店。5時、薄明るくなった頃、外に出てボヤーッとした頭でアパートに帰る。

この飲み屋のハシゴで諸先輩との研究の話や四方山話に刺激と元気をもらう。私は、この心優しい諸先輩との飲み屋での研究談義に救われた。もしこのような出会いがなければ、大学院での研究は、止めたと思う。

そんな諸先輩が、研究集会に出席。大学院の頃のお礼と「お別れ」も含めて研究集会に出席し、発表した。

今回の研究集会では、7名が発表。私の専門は、生態学で、学会では生態学の発表のみを聞く。今回の研究集会は、昆虫フェロモンや農薬の研究紹介等もあり専門以外の新たな興味深い学びがあった。

7名の発表、理由は不明だが私が最後の発表者、オオトリ。私の前の発表者が「心優しい先輩」。「先輩」イワク、「何故、私が安田の前座を努めなければならないのか?ワカラナイ」。

私も「漫談」の私の講演が、何故「オオトリ」なのか「ワカラナイ」。7名の演題を入念にチェックし、私の前6題は、学術性の高い専門の内容も含む学術講演。

「心優しい先輩」、講演の最後の方は、最近読んだ本で印象に残ったものを紹介。そして、最後のスライドは、『安田弘法編著:農学が世界を救う』を大写し。

そして、「この本が本屋にヤマズミされていた。購入して読んだら凄く面白かった」と紹介し、講演を終わる。相変わらず「心優しい先輩」。有難い、感謝。

私の講演は、「大学生活を通じた楽しき挑戦―研究・学び・遊び・出会い―」が演題。研究紹介は、全体の1/3。後は、漫談。

講演会、一般的に最初の方の講演は、出席者も気合を入れ集中力も高い。しかし、3時間の講演会、最後の方は、皆さん疲れて、頭は懇親会での冷たいビール。

そんな「オオトリ」には、漫談が一番との事務局の「優しい配慮」と思う。

研究集会後の懇親会。ほぼ40年以上ぶりの再開。年を感じる先輩もいれば、昔と変わりなく若々しい先輩もいる。さらに優秀な後輩も参加し、懇親会は多面的な楽しい情報交換の場となり盛り上がる。

再会した諸先輩や後輩諸氏、生き方、考え方、性格は、40年前と変わっていない。「三つ子の魂百まで」を思い出す。

農薬学の第一人者、83歳の大先輩が私の隣に来られて、楽しい研究の話。松にマダラカミキリが媒介する線虫で松枯れが起こる。これは私が学生だった1970年代から大きな問題。

大先輩は、農薬の空中散布が森林生物相に及ぼす影響も研究。さらに、水田での農薬の空中散布が水田生物に及ぼす影響も調査。このような調査で日本全国を訪問したとのこと。これを79歳まで継続。ウウウ、凄い。

環境保護団体やマスコミから意見されたこともあったが、感覚的な意見にはデータを示して対応。これも凄い。このような体を張っての仕事が、若々しさの源に思う。

岩波の『ジュニスタ』執筆にあたり、農薬散布とその影響についても紹介する予定。まさに絶好のタイミングでの貴重な情報。

お世話になった諸先輩とは、2次会でさらに盛り上がる。若いころにお互い苦労した仲間とは、話が尽きない。昔や今の四方山話に花が咲き、盃が進む。感謝。

お世話になった大学院は、日本全国から多様な学生が参集し、研究活性の高い研究室。地元の名古屋大の学生は少なく、京大、広島大、九州大、高知大、静岡大、琉球大、宇都宮大出身者や多くの留学生が在籍。

これを可能にしたのは、度量ある教授の研究室運営。お世話になったある先輩は、生態学を専攻し、農薬会社の社長。さらに、九州大や千葉大の教授及び国立研究機関の所長や研究室長として大活躍。

また、後輩諸氏も大手農薬会社の執行部や部長。皆元気な仲間。教員が優秀な研究室だと学生が集まり、研究活性が高いことを痛感する。

皆元気に楽しく長生きして欲しいと思う。世話人や出席者に感謝です。

『晩年』(安岡正篤 一日一言)

「冬になれば、「木落ち水尽き千崖(せんがい)枯れて、迥然(けいぜん)眞吾(しんご)が現れる」ように、人間も年寄るに随って、容色は衰え、矯飾は廃れて、その人の真実我が掩(おお)うところなく現れてくる」。

「『菜根譚』にも「人を看るには只後半截(こうはんせつ)を看よ」という古語を、引いているが、誠に人の晩年は一生の総決算期で、その人の真価の定まる時である」。

これからの晩年、活き活きと楽しく生きたいと思います。