2024-06-01

英国人作曲家の交響曲に英国生活を回想

今年度、最初の山形交響楽団第317回定期演奏会が、5月19日に山形テルサホールで開催。指揮は、藤岡幸夫氏。少し記します。

今回の演奏会、何時ものように3部作。まず『アウトウロ・マルケス:ダンソン・ヌメロ・ドス』。続いて、『グリーク:ピアノ協奏曲イ短調作品16』。

そして、最後のメインが『ヴォーン・ウイリアムズ:交響曲第5番ニ長調』。ウイリアムズは英国の作曲家。英国では評価の高い作曲家とのこと。

指揮者の藤岡さんは、慶応大文学部を卒業後、英国王立ノーザン音大指揮科卒。英国等で活躍され、「英国人作曲家のウイリアムズは大好き」。

今回のプログラム、『ヴォーン・ウイリアムズ:交響曲第5番ニ長調』の記述によると「1943年第二次大戦の最中に初演された交響曲第5番。この作品はシベリウスに献呈されている」。

「この二人を愛する指揮者の藤岡は、「全楽章で感じられる優しさと祈りがどこまでも美しい」と語る。欧州時代の藤岡の良き友であり、スウェーデンの至宝といわれる名ピアニスト、ヤブロンスキーはグリークの傑作を山響と初演奏」。

熱のこもった指揮者と交響楽団及び、至宝の名ピアニストの演奏、無心に音楽に没頭できる貴重な2時間。有り難い。日常を忘れリフレッシュされます。こんなひと時、重要です。

英国人作曲家ウイリアムズの交響曲や英国で修行された指揮者、藤岡氏の話を聞き今から約30年前、家内や2人の娘と約10ヶ月滞在した英国、ノーリッジでの懐かしい生活を思い出す。

まずは、成田からロンドン・ヒースロー空港に直行、長い旅。英国着陸日は、ロンドンのホテルで一泊。ロンドン市街の建物、古くてどっしりとした重量感。古き良き物を大切にする英国人気質の一端をみる。

早速、ホテルでチェックイン、エレベーターに乗る。これが19世紀作成かと思うような年代物。途中で止まるかと心配したが、無事に当該階に到着。部屋がまた年代物。何でも古い。英国人の国民性か?

翌朝、ロンドンから北東に特急で1時間30分、イーストアングリア大(UEA)のあるノーリッジに到着。お世話になる「親方」が駅まで出迎え。早速、「親方」の車で大学内にあるフラット(家族向け宿舎)に向かう。


翌日の打ち合わせ時間と場所を確認して「親方」と別れ、フラットで身辺整理。スーパーがフラットから遠い。車屋に行き、外観の立派な英国製Roverを購入。帰国する時には買い取るとの約束。

このRover、外観は立派だが、エンジンは心細い。簡単にエンストし、寒いとエンジンがかからない。優秀なエンジンの日本車を懐かしく思う。

そして、翌日、「親方」と研究討論し、その後、大学内のストアー(物品倉庫)に案内。研究に必要な物品は、サインするだけでストアーから入手。これは便利な制度と思う。

さらに温室に行き、植物や昆虫を準備してくれる技官と面会。これも良い制度と感心する。研究者は、実験材料の準備をしなくても技官さんが対応してくれ、研究者は実験だけやればよい。

車を購入し、最初のドライブで少し戸惑ったのが「ラウンドアバウト」。交差点に丸い円形状の道路があり、そこに入って出たい方向に出る。信号機がないので慣れると効率的に思う。

スーパーに行き、ジャガイモの種類が多いのに驚く。パックの日本酒、干した鯖、お米に味噌、醤油等、日本人が必要な物は、ほぼ購入でき不便を感じない。有り難い。スムーズに英国生活を開始。

英国ではパブライフも楽しみの一つ。チェコの研究者や私が指導した修士学生が、UEAの博士課程に入学し、パブライフも楽しむ。ノーリッジの中心部には城跡があり、そこに市場がある。

英国で有名な食は、「フィッシュ・アンド・チップス」。これはタラなどの白身魚のフライに、棒状のポテトフライを添えたもの。結構美味しい。

英国では、4歳からFirst Schoolの小学校に入学。我が長女は、10月から小学校にお世話になる。私の英語は物にならなかったが、娘は小学校でメキメキ英語が上達。

日曜日には、家族で教会に行き神父さんのお話を聞いて教会関係者と楽しく談話。「親方」の家に招待されたり、我が家で夕食会をしたり、楽しい生活。

思い出は、数限りなくありますが、家族と一緒の海外生活を楽しみました。帰国するときに車屋に車を引き取ってもらう予定でしたが、「そんなことは言ってない」との一言。まあ、こんなものだと思う。日本人留学生が購入、助かりました。

わずか10ヶ月の英国でしたが、記憶に残る留学。関係者に感謝です。

本日は、英国人作曲家の交響曲に少し英国を回想しました。

『国際性を身につける』(平澤 興 一日一言)

「国際人であるとか、世界人であるとかいうことは、ややもすると誤解されるように中性的の人間になることではなく、むしろそれぞれの特長を十分に活かしながら、国際的意識を持って行動することであります」。

「International は特長ある Nations があり、その上に立ってこそ初めて望ましい国際性が生まれるのであって、自らの個性をすててわけの分からぬようなものまねだけでは真の意味での国際性は生まれません」。

「国際性を身につけるには、まず「汝自身を知れ」ということになりましょう。我々は正しい意味で日本人としての特性を持ち得てこそ初めて、尊敬される国際人たり得ると思うのであります」。

『国際性を身につける』。「汝自身を知れ」、そう思います。