2024-06-05

研究の思い出(18):日・ネシア共同研究(2)

本日は、研究の思い出(18)、インドネシア(ネシア)の2大学との4年間の共同研究等、3回シリーズの第2回。ネシアでの野外実験準備と実験について少し記します。

科学研究費の助成を受けての共同研究。申請課題は、『熱帯の土壌微生物が植物・植食者・捕食者群集の多様性創出とその維持に及ぼす影響』。

すでにインドネシアの大学と共同研究している同僚を中心に相手大学とメールで研究計画の詳細や調査地の確保等を依頼。2大学は、ジャワ島のガジャマダ大学とカリマンタン島のランブンマンクラート大学。

熱帯での研究は、私の長年の夢。ワクワクしながらジャワ島のジャカルタ・スカルノハッタ国際空港に着陸。ガジャマダ大学は中央ジャワの古都ジョグジャカルタにあり、ジャカルタから飛行機で約1時間。

迎えに来てくれたネシアの友人と大学に向かう。そして、ネシア側研究者と打合せ。いよいよ憧れの熱帯での調査の開始。ワクワクです。

国際共同研究を実施する場合、相手機関の代表者の選任がとても重要。幸運にもガジャマダ大学では、大学間協定締結等でお世話になった知り合いに代表者をお願いし、快諾。

氏は、米国で博士号を取得し、研究の実施だけでなくネシア側の取りまとめにも能力を発揮。有り難い、感謝です。

申請課題の仮説は、「熱帯の植物や植食性及び捕食性昆虫の多様性は、土壌微生物の多様性による」。この仮説を検証するため1haの調査地の全ての植物を取り除き除草剤を散布し、植物がない状態を作成。

そして、10m×10mの調査区を25個設定し、殺菌剤を高・中・低頻度散布と水を散布するコントロール区を設置。その後、2ヶ月に一度、植物の種数及び植物体量や植食性及び捕食性昆虫の種数と個体数を調査。

殺菌剤を散布しないコントロール区では、多様な土壌微生物が、植物群集を多様にし、それにより植食性及び捕食性昆虫が多様となるとの仮説を検証。

この調査には、植物及び昆虫を分類できる研究者が必要。現地の代表者が適任者を依頼。分類は、大変な仕事です。

実験開始して半年に一度程度、調査地を訪問して、調査の進捗を把握し討論。この調査をネシアの2大学及び鶴岡で実施し、調査地間の類似性や差異も比較。

4年間のネシアでの結果は、植物の多様性に処理区間で顕著な変化はなかったが、植物体量は、処理区で差があり、コントロール区で増加。そして、植食性及び捕食性昆虫もコントロール区で多様性が高く生体量も増加。

4年間の共同研究。忘れ難い思い出も多々ある。暑い中、限られた時間での処理区作成は大変。日本人研究者は、一生懸命仕事をするが、ネシアの研究者は、ボーッと見ているだけの研究者もいた。

さらに約束時間を守る感覚が両国民で違い、日本人は時間厳守だが、ネシア側は、時間に遅れることもあり、参加予定の研究者が来ないこともあった。多面的な相互理解がないと国際共同研究は難しいとも感じ、色々と学んだ。色々な事があったが、ネシア側の多くの研究者が協力してくれ、大変お世話になった。思いで深い、4年間。有意義な研究だった。

4年間、調査地を訪問するたびにワクワクしていたのを今でも思い出す。関係者に感謝。

『元気』(安岡正篤 一日一言)

「われわれは「気」を養うということが、一番根本の大事だ。いわば生のエネルギーを養うということ、いい換えれば「元気」ということが一番である。元気がないというのは問題にならぬ」。

「しょぼしょぼして、よたよたして、一向に反応がないなんていうのは、論ずる価値がない。とかく人間は有形無形を論ぜず、元気というものがなければならない」。

「元気というものは、つまり生気である。生のエネルギー、生々(いきいき)しておるということである」。 

『元気』、いいですね。