2024-06-13

「国際交流」とベトナムの思い出

昨日、広報活動で山形大農学部を訪問。廊下でベトナムからの留学生にバッタリ遭遇。ベトナム、ハノイには山形大サテライトがあり何回か訪問。本日は、ベトナム及び「国際交流」について少し記します。

彼とは、年に一度の夕食会を楽しむ仲。夕食会の時、彼が、「私の好きな本は、新渡戸稲造先生の『武士道:The Soul of Japan』です」と言ったのには驚き、嬉しくなる。これを聞いて、夕食会が盛り上がる。

2020年3月までお世話になった山形大、最後の8年半、国際交流も担当。

ベトナム等7つの新興国に山形大サテライトを立ち上げ、そこへ学生を派遣し、現地学生に日本語等を教授する「学生大使派遣事業」を開始。

ベトナムのサテライトはハノイに設置し、サテライトの中では最も多く訪問した場所。思い出も数多くあります。

11年前、ベトナム、ハノイの国家農業大学のサテライトで女子学生に会った時、「Japanese Spirit(日本精神)を学ぶために山形大に留学したい」と言われました。その一言が鮮明に記憶に残っています。

「Japanese Spiritって何ですか」と問うと、「誠実、勤勉、正直、親切、まじめ、優しさ、礼儀正しさ」等が返ってきました。その後、彼女とは、色々な話をして盛り上がる。

彼女は、山形大農学研究科修士課程に入学し、修士号を取得して今、東京で働いているとのこと。

山形大サテライトを海外に設け、国際交流担当教授や「学生大使」を派遣し、山形大の知名度が上がり留学生数が増加したように思う。

また、山形大の学生さんにとり「学生大使派遣事業」は、現地で多面的に学ぶ意味でも実りの多い事業に感じる。

派遣前後に研修会を開催しますが、毎回、「派遣前の今の顔と2週間の派遣期間を終えて帰国後の顔は違っている」と話していました。

写真は、ベトナム・ハノイ市街地及び日本語クラスメンバー。

わずか2週間の海外生活の経験ですが、チケット購入から日本語授業の開講準備等全て自分で対応しなければならず、そのような経験が、若人を変身させるようです。

ある学生は、派遣後、日々英語で授業のことを考えていたので、英語を話す夢を見たとか。

また、ラトビアを希望した学生は、飛行機が遅れフィンランドでの乗り継ぎ便が出発し、フィンランド泊。

航空会社のカウンターで事情を説明し、翌日の飛行機で無事ラトビアに到着。このような予期せぬ経験も若人が育つ一因。

かつて、山形大顧問会議で「国際人と国際性」との題で簡単に山形大の国際交流を紹介。その時、山形大顧問で免疫学の世界的権威、滞米35年、米国免疫学会長も務められた故石坂公成先生の一言を鮮明に記憶。

「安田さん、国際性とは spiritual なものです」。今でも、先生が「spiritual」をどのような意味で使われたか、理解していませんが、それが時々頭に浮かびます。

「国際交流」を考えると、石坂先生の一言「spiritual」を思い出します。先生の著書『我々の歩いて来た道』、「あとがき」、一部抜粋を紹介します。

「私は大学を出てから引退するまでの47年間のうち、35年は米国に住んでいたわけである」。

「日本の社会に帰ってきて感ずることは、多くの日本人は、自分と肝胆相照らす人は、日本在住の日本人の中でしか得られないと思っていることである」。

「私の経験からは、これは間違いである。心を通わせることのできる人、100%信用して一緒に仕事ができる人たちは、人種を問わず、どこにでもいるものだということが分かっていただけたら幸いである」。

私も多くはありませんが、海外の「心友」がいて、石坂先生のご意見、納得。本日は、「国際交流」とその思い出を少し記しました。コロナ禍以降、海外に行く機会がありませんが、今年は行きたいと思います。

『国際性を身につける』(平澤 興 一日一言)

「国際人であるとか、世界人であるとかいうことは、ややもすると誤解されるように中性的の人間になることではなく、むしろそれぞれの特長を十分に活かしながら、国際的意識を持って行動することであります」。

「International は特長ある Nations があり、その上に立ってこそ初めて望ましい国際性が生まれるのであって、自らの個性をすててわけの分からぬようなものまねだけでは真の意味での国際性は生まれません」。

「国際性を身につけるには、まず「汝自身を知れ」ということになりましょう。我々は正しい意味で日本人としての特性を持ち得てこそ初めて、尊敬される国際人たり得ると思うのであります」。

『国際性を身につける』。「汝自身を知れ」、そう思います。