2024-06-25

2024年度山形SC、第2回「学びのサロン」

本日は、第2回目、私の「学びのサロン」を少し紹介します。

今年度、私の「サロン」は、岩波ジュニア新書『野生動物と共存できるか:保全生態学入門(2006)』(高槻成紀著)の輪読です。

今回は、「2章 絶滅はなぜおきるのだろう」。第2章は、4つの見出しで構成される。

まずは、『1.絶滅の例』と題して、英国と北アメリカで絶滅した動物の例等が紹介される。

「英国人は、自然保護にも熱心だが、英国は世界に先駆けた自然破壊の国でもある。原生林を開拓し、ヒグマやオオカミも絶滅した」ことに触れる。

そして、北アメリカの例として、「大発生していたリョコウバトは絶滅し、バイソンも絶滅危惧であり、これは、これらの動物の食料化に起因する」ことを述べる。

食することで種の絶滅が生じる、理解しやすい理由に思う。

次に、『2.絶滅の意味』に移り、「森林が今のペースで消失すると1年に27,000種が絶滅する。野生動物は長い時代を生き抜いてきた歴史的存在であり、それがこの150年、猛スピードで絶滅している」と記す。

森林が如何に種を維持し、保持しているのかが分かる。一般の人には、あまり知られていない事実に思う。

さらに、『3.絶滅の背景にあるもの』では、7項目の絶滅の背景を紹介する。

まず、「1)生息地がかぎられる」では、「分布や生息地が限られている生物では、何らかの理由でそこに生息できなきなれば絶滅する」ことを述べる。

次に、「2)スペシャリスト」では、「ササしか食べないパンダやアリしか食わないアリクイでは、種特異的な餌がなくなれば絶滅する」ことに触れる。

そして、「3)人間による利用」では、「人の食料など役立つ動物だと絶滅の危険があり、その例として、バイソン、リョコウバト、ドードー等」を紹介する。

「4)ドードー」は、「モーリシャス島のトリで簡単に捕獲して食料となるために、1681年に絶滅した」。

さらに、「5)スポーツ狩猟」では、「人は狩猟に対して本質的な好みを持ち、スポーツ狩猟は人の好みから発展し、これにより個体数が激減した動物もいる」と記す。

また、「6)生息地の破壊」として、「生息地が消滅すれば動物は住めないことを紹介し、その例として、英国のヒグマやオオカミは、森林の消滅で絶滅した」ことを述べる。

「7)人口問題」では「人口が増加すれば食料である動植物が必要となる。そして、人が住むと森林が伐採され、動植物が殺される」と指摘する。

この7項目も、とても『3.絶滅の背景にあるもの』として説得力のある項目と思う。

最後の『4.絶滅させないための努力』では、「20世紀後半は激しい環境破壊の時代であった。その反省から自然保護の動きが発生。それが、大きなうねりになったのは1970年代以降である」ことが紹介される。

そして、「1)ジャイアントパンダ」に触れ、「漢方薬の材料や毛皮を取ること、膨大な人口を支えるための農業開発で生息地激が個体数の激減に繋がった。そのため1980年代にパンダ保護の活動開始」を記す。

「2)タヒ(モウコノウマ)」では、「第二次世界大戦までモンゴルにかなり多くのタヒが生息していたが、その後、激減。オランダから16頭のタヒが里帰りし今、170頭に増加。1万haのステップで保護中」に触れる。

「3)アホウドリ」では、「アホウドリの羽毛は高値で販売され、乱獲。1949年に絶滅宣言。1951年鳥島で10羽のアホウドリを発見。京都大の長谷川さんの尽力で増加中である」ことが紹介される。

絶滅を避けるには、当該種の個体群動態を踏まえ、必要に応じた保護が不可欠。

今年度は、私を含め6名の参加者のゼミ。第2回も全員出席で、1名は埼玉県からの学生さん。第2章の紹介後、多面的な意見交換。あっと言う間の90分、参加者の意見から色々と学ぶ。感謝。

『陶冶(とうや)する』(安岡正篤 一日一言)

「最高の教育を受けた人間も、その後の自己陶冶を缺(か)いては、立派な人間には成り得ない。ごく劣悪な教育も、自己陶冶によっては、なお改善され得るものである。いかにも人間は陶冶次第です」。

「「陶」というのは、焼き物を造る、「冶」というのは、冶金の冶で、金属を精錬することであります」。

土を粘(ね)り、焼いて、陶器を造る。鉄を鍛えて鉄器を造るようなもので、人間もやはり、焼きを入れ、鍛えるということをやらなければ、ものになりません。いくつになってもそうであります」。

『陶冶する』、「いくつになっても焼きを入れ、鍛える」、肝に銘じます。