2020-11-03

ガーナの人々との学び、JICAプロジェクト

「ガーナ国、天水稲作持続的開発プロジェクトでは、ガーナ人関係者を日本に招聘し、研修させていました。本年度はコロナ禍のため、オンライン遠隔講義を計画中です。講義をお願できませんか」。

  これは、今年8月下旬、大学サークルの後輩から私に来たメールの一部抜粋。大学を卒業して40年、お互い連絡がなく、40年ぶりの便り。懐かしく、嬉しく思いました。勿論、快諾のメールを「速達」で返信。

「ガーナとのオンライン授業は、10月29日に決定」の連絡を10月上旬に受信。さあ、準備です。30分程度の英語講演はありますが、90分の英語講義は、20年ぶり。

講義内容の希望は、「環境保全を重視した水田稲作」なので、講義名は、「Sustainable Agriculture in Rice Production(持続可能な水稲栽培)」に決定。

写真は、持続可能な水稲栽培でイネに養分を与える重要なタニシ

まずは、90分の講義の構成。折角なので山形や日本を紹介、生態学の基礎も重要、ユーモアも必要だ、等々を考えたら時間がアッと言う間に経過。こりゃヤバイ、「ギアの入れ直し」。

「メインメッセージを何にするか」。英国に留学した時、共同研究者のDixon先生から「メインメッセージは、何か」と訊かれたことがあります。「何を言いたいか」の絞り込み、重要です。

専門書等は、今年3月山形大を定年退職する時、研究室への寄贈や古本屋で処分し、ほとんど手元になし。退職後の講義依頼は想定外。「人生の3つの坂、上り坂、下り坂、マサカ」の「マサカ」です。

さらに、講義の参考にする学生諸君の博士論文も手元になし。時間と気持ちはドンドン進み、筆はチチとして進まず、ウウウ。

講義の構成は、1)日本と山形の紹介、2)生態学と生物多様性維持の重要性、3)環境保全農業とその必要性、4)水田の生物多様性と持続可能な水稲栽培に決定。

10月22日が音声を録音した講義スライドの締切日。締切前後の5日間は、平均睡眠4時間。久しぶりに「ギアが入った」生活。完成度は6割ですが、達成感は8割。約10年ぶりのアカデミアでした。

写真は、毎朝、一緒に散歩をする「寝とぼけ犬のクニオ」。ベビーバスで水浴びを楽しみ枕をして熟睡します。


講義は録音スライドを現地に送信しての遠隔授業。約20名が聴講し、質疑応答は、現地・鶴岡・東京を結んだオンライン会議。熱心なケニアの研修生から22の良い質問を受け、1時間の質疑応答は15分超過。

写真は、ガーナでの水田の種まきの様子です。

ケニアのナイロビ、ジョモ・ケニアッタ国際空港近くに国立公園があり、空港を出るとインパラやシマウマが観られます。空港のポーターは、民族衣装を着たマサイ族。入国後すぐに、アフリカを感じます。

山形大では、国際交流も担当し、ナイロビに山形大サテライト設置等のため、ケニアに3回、隣国のタンザニアに2回出張。ナイロビは、赤道直下ですが、標高約1600m、常春の冷涼な気候です。

ガーナの皆さんとの学び、久しぶりにアフリカを思い出した、楽しいひと時。ガーナの人は、優秀で、明るく、陽気です。刺激と元気、いただきました。依頼のFさんとAさん、ガーナの皆さんに感謝です。

山形学習センターは、「多文化共生センター」も目指しています。それには、外国の人と接し、話し、考えるのが一番である、を再認識しました。グローバル時代の今、多文化共生、益々、重要に思います。

【安岡正篤先生の箴言】:『姿』(安岡正篤:一日一言)

「宮本武蔵が尾張藩の槍術指南役・田邊長常を訪うたことがある。たまたま玄関に出た長常は、武蔵を見て、これはみごと!と嘆じ、しばし凝然とみつめていたという(八代城山夜話)。もっともな、実に好い話である」。

「戦前は時に、うむ!出来ておるなと思わせられる人物に会うことがあった。その後、年を逐うて、そういう人物の風姿に接することが少なくなった。この頃人間の姿態の頽廃は実にひどい」。

「脊柱が曲がって、顎を出し、腰がふらふらで、脚がひょろついている若者が多い。蹴飛ばしたら二片か三片に頽(くずお)れてしまいそうだ」。

「整形外科の専門医の話では、若い者にこの頃ぎっくり腰が多い。姿勢が悪いからだという。日本の政治も経済も教育も凡て姿勢が正しくない。従ってとかくふらついている。まず姿勢を正したいものだ」。

ナイロビ国際空港、ポーターのマサイ族の青年は、青竹のように真っ直ぐにスラッと立ち、その姿は、今でも鮮やかに記憶に残っています。良い姿です。

「日本の政治も経済も教育も凡て姿勢が正しくない」、『姿勢』、重要に思います。