2020-11-01

菅原兵治先生と東北振興研修所

「苟(まこと)に日に新たに、日日に新たに、又日に新たなり」。

「今日は昨日よりも新しく良くなり、明日は今日よりも新しく良くなるよう修養する」。

朝の「忠犬クニオ」との散歩に「東北振興研修所」を通るコースがあります。研修所の門の横に掲示板、その箴言は、月1回程度更新されます。先日の散歩で、上述の箴言を読みました。


これは、「四書五経」の「大学」に記され、土光敏夫さんの座右の銘。「昨日より今日、今日より明日への進化に向け努力する」、私も好きな箴言です。

ここ松ヶ岡には、昭和20年に安岡正篤先生の一番弟子、菅原兵治先生が創設された東北農家研修所がありました。それは、昭和39年に東北振興研修所と改称され、今日に至ります。そこには、「菅原兵治記念館」あります。

東北農家研究所では、農村の青年を対象に塾式教育。日課は半日学科で論語・大学・孝経・古事記・農学・書道・歴史・剣道等を学び、半日は田畑の仕事だったそうです。

菅原先生は、「我作り」や「農士道」等を提唱されました。「我作り」とは、「おのおのが、まず自分自分の立場に随(したが)って、その任を果たし得るような人となる。具体的には、我が身の足りない所を修理、修正、修養して身を修める」ことです。

菅原先生は、安岡先生の一番弟子である処から、安岡先生は、しばしば松ヶ岡で講演されました。それは、先生の生誕百年記念に「山形県庄内における安岡正篤先生講演集」として出版されています。

松ヶ岡は、明治の初めに3000人の武士が荒野を開墾し、300haの農地を作り、約30戸の農家から始まりました。来年が、松ヶ岡の創設150周年です。

安岡先生は、東北農家研修所創設10周年に「今後の教育」及び、松ヶ岡100周年に「人と事業―開墾百年維新」の記念講演をされました。

東北農家研修所創設10周記念講演「今後の教育」では、「1.素養・陰徳・冥理、2.人間十八年、3.徳性の培養、4.若朽、5.単調とマンネリズム、6.博学と素交、7.民族エネルギーの蓄積」の話、先生56歳。

「人間十八年」の一部を紹介します。「人間としての人格をなす三要素は、1)徳性、2)知性・知能、3)技術・技能である。徳性とは、明るい、清い心、素直さ、正直、許す、勇気、義侠心、勤勉、不撓不屈である」。

「これは、3・4歳で始まり、7・8・13・14歳で一番旺盛。そして、17・18歳でほぼ完成する。徳性を養って立派な人格、人間をつくる教育が必要である」。

「人格を作りその後に、日進月歩の知識や技能を習得すべきである。一番辛い欠乏は、人格の欠乏、人材の欠乏、精神の欠乏、徳性の欠乏である」。

「一番辛い欠乏は、人格の欠乏、人材の欠乏、精神の欠乏、徳性の欠乏である」。・・・・・。

昨日は、良い天気でした。大根の間引きをしていたら夕方になり、ふと夜空を観たら美しい満月がありました。

『四耐四不訣(したいしふけつ)』(安岡正篤 一日一言)

「冷に耐え、苦に耐え、煩(はん)に耐え、閑(かん)に耐え、激さず、躁(さわ)がず、競わず、随わず、以って大事を為すべし」(清の曽国藩)。

「冷に耐え:人間は世間の冷たいことに耐えなければならない。苦に耐え:苦しみに耐えなければならない。煩に耐え:わずらわしいことにも耐えなければならない。閑に耐え:ひまに耐えなければならない」。

「激さず:大事をなさんとする者は、興奮してはいけない。躁がず:ばたばたしない。競わず:つまらぬ人間と競争してはいけない。随わず:人のあとからのろのろついて行くのは最もいけない」。

『四耐四不訣』、好きな箴言です。