「赤いきつね」と「緑のたぬき」、どこかのメーカーのカップ麺の名前。この赤いきつねと緑のたぬきではありませんが、肌色と黒色と緑色のアマガエルが、毎日通勤する高速バスのバス停近くのトイレで、私の帰りを待っていました。
本日は、「このアマガエルの体色変化」に関連したお話をご紹介しましょう。
山形駅から高速バスで1時間半、「庄内あさひ」のバス停で下車。まず、訪問するのが、トイレです。このトイレの手洗い場や窓などにアマガエルがくっ付いています。
このアマガエルが、肌色と黒色と緑色です。肌色の壁には肌色の体色個体、黒い窓には黒い個体。しかし、白っぽい手洗い場には緑の個体です。
5日間、毎日、トイレで観察しましたが、前述の3つの場所でのアマガエルの体色に変化はなし。
3匹のカエル、個体の識別なしで、正確には、3つの場所の色違いのカエルが、5日間同じ個体であったかは、不明です。白っぽい手洗い場の「緑君」が気になりました。体色を変えない「頑固君」か?
大学院時代に友人達と「An Introduction to Behavioural Ecology(行動生態学入門)」を輪読しました。雄ガエルが「ゲコゲコ」鳴くと、雌ガエルがその鳴き声に誘引されて雄ガエルの近くに来ます。そして、「ゲコゲコ」鳴いた雄ガエルが雌と交接する。
しかし、よく観察すると小さくて鳴かない雄ガエルもいる。今までは、この鳴かない小さな雄ガエルは「妙」な奴とレッテルを貼られてお仕舞いでした。
行動生態学では、鳴かない小さな雄は、鳴かない何か戦略があるのでは、と考えます。
鳴かない小さい雄ガエルは、鳴く大きな雄ガエルの近くにいます。そして、雌が、一所懸命「ゲコゲコ」鳴く大きな雄ガエルの近くに来て、大きな雄が油断している隙に、小さな雄はサッと雌と交接する。
大きな雄と小さな雄の鳴き声合戦を比較したら、小さい雄の負け。小さい雄ガエル、鳴くのは止めて、俊敏な動きでの横取り交接、ムムムムム。
背景が白でも体色を白くしない「緑君」。「頑固アマガエル(?)」の戦略は、何かなとフト考えました。背景の色と類似した色への体色変化は、捕食者から発見されにくい利点がありそうです。
また、餌からも発見されにくそうで、餌を捕食することは容易かもしれません。
体色変化にコストはかかるか?体色変化のない個体があるか?体色変化のない個体は、何か他の戦略があるか?捕食者が多い地域が、少ない地域より、体色変化が発達しているか?アマガエル以外のカエルでも体色変化はあるか?等々と色々な疑問がわきました。
アマガエルは、我が安田農園に沢山いて、農園の草刈り中にピョコピョコ出てきます。アマガエルを使って体色変化の色々な実験が楽しめそうです。
おそらく、アマガエルの体色変化は多くの人が知っているので、研究も進んでいるでしょう。研究の進捗にも興味を持ちました。
何時もトイレで待っていたカエル君達も寒くなった今、トイレから消えました。土の中に潜って春までノンビリ眠っているでしょう。土の中では、何色で越冬しているのかな。気になる処です。「頑固な緑君」、来年も会いたいですね。
昨日、朝の農作業中、日の出に遭遇、午前6時35分。「カッシャ」と一枚撮りました。
一昨日は、霰(あられ)の中を「忠犬クニオ」と散歩中に虹が出ました、「カッシャ」です。
『学問は無限』(平澤 興 一日一言)
「一つの発見はむしろ無数の疑問を起こさしめるものでありまして、この意味では学問は無限に深いと言ってよいでありましょう」。
一つの現象にもそれを起こさせている要因は、色々と考えられます。それを考えることは、楽しく興味深いことです。また、考えられる仮説を実験により検証するのは、面白くワクワクします。