2020-11-29

人間学の学び、「根を養う」

「歴史や古典、先達の教えに心を磨き、自らの人格を高め、それを道標に、自分にしか生きられない、一回限りの人生を豊かに生き抜くべく努め励んでいる人はたくさんいます」。

「有名な人、無名な人を問わず、どんな世界でも各界で一所懸命に生きている真実の人たちがいる。そういう真実の人を見つけ出し、その方たちの体験やそこで得られた英知に学ぼう」、これが「致知」です。

11月25日、山形学習センター「致知を読み、楽しく人間学を学ぶ会」、第2回。今回の教材は、「致知」2020年11月号 「特集 根を養う」。私を含め7名のメンバー。1時間の予定が、1時間40分。「熱い学び」。

今回の教材、まずは、茶道裏千家前家元 千 玄室 氏による「巻頭の言葉」。「人を思う気持ちは国を越え宗教を越え、頑(かたく)なな人をも揺り動かす力を持っている」。 

「同じ人間という立場でこの地球上に住まわせていただいていることを心に留め、感謝を持って日々を過ごしていきたいものである」。「感謝を持って、日々を過ごす」。重要に思います。

次に、致知編集長 藤尾秀明 氏による特集リード文「根を養う」。

「哲学者森信三師をして「日本の教育界の国宝」と言わしめた東井義雄氏もまた、子供たちに根を養うことの大事さを説き続けた人である」。「教育は、子供たちの心の根を養うものでなくてはならない」。

東井さんは小学校の校長として毎年卒業していく子供たち一人ひとりに、自筆の色紙を手渡したとのこと。

「ほんものはつづく。つづけるとほんものになる」。「明日がある、明後日があると考えている間は、何にもありはしない。肝心の“今”さえないんだから」。

「自分は自分の主人公。世界でただ一人の自分を作っていく責任者」。「問題においかけられるのではなく、問題を追いかけていく」。分かりやすい言葉、人生の核心をついた言葉に思います。

東井語録の一部を紹介します。「根を養えば樹は自ら育つ」。「高く伸びようとするには、まずしっかりと根を張らねばならない。基礎となる努力をしないと、強い風や雪の重みに負けてたおれてしまう」。

「意味というものは、こちらから読みとるものだ。値打ちというものは、こちらが発見するものだ。すばらしいものの中にいても意味が読みとれず、値打ちが発見できないなら、瓦礫の中にいるようなものだ」。

最後は、愛知専門尼僧堂頭 青山俊董 氏の「是の処は、即ち是れ道場(根を養う生き方)」。

「大切なのは、たった一度の人生を何に懸けるのか。日々の出会いの中で何を選ぶかなんです」。「生かされた命と分かれば、それに相応しい生き方をしないではおれなくなります」。人生の本質をついた言葉。

「過去にも未来にもたった一つしかない、この尊い命をどう生きるか。それを学ぶのが人間学」。

「人間学を学ぶ会」、「致知」を深く読み、人間学を熱く語りました。同じ教材でも、参加者の経験や生き方及び考え方で、とらえ方や関心事は異なります。「我以外、皆わが師」。学びの100分間。

新たな発見と学び。相互に学ぶ読書会、とても実り多く有意義でした。参加者の皆さんに感謝です。

写真は、毎日通勤する月山道から雪を抱いた月山の一葉です。

『人間喪失の時代』(安岡正篤 一日一言)

「ひとかどの人で『論語』の一冊、観音経の一冊を書写しなかった人はいない。生活の中に『論語』を持ち、法華経を持ち、観音経を持ち、あるいは中江藤樹を持ち、山鹿素行を持たざる者はなかった」。

「それはその人の中に、その生活の中に、事業の中に哲学や信仰があった。学問求道があった。これが国を興し、人を救った。それが今日なくなった。こういうところに現代の浅ましい人間喪失がある」。

「人間喪失とは、魂の喪失、心の喪失である。文明国の中でそれが最もはなはだしいものが、今日の日本ではないか」。

昨日読んだ安岡先生の「一日一言」。

「その人の中に、その生活の中に、事業の中に哲学や信仰が、学問求道があった。これが国を興し、人を救った。それが今日なくなった。こういうところに現代の浅ましい人間喪失がある」。

何故か、心に強く残りました。