2024-08-07

山形SC所長推薦図書(4)森 先生その1

本日は、山形学習センター(山形SC)、所長推薦図書紹介第4弾、(4)森 信三先生について一部再掲も含め少し記します。


森信三先生といえば、『修身教授録』。これは、森先生が39歳、昭和11年から3年間、天王寺師範学校の一部生(現在の中学3年生)を対象にした講義録です。第1部が40講、第2部が39講より構成。

前職の山形大、私が教育担当の理事副学長の時、あるサークル40名程度の学生諸君と3年間、毎月1回『修身教授録』の読書会を行う。

学生諸君は、読書会の1週間前に課題の5つの「講」を読み感想文を私に提出後、読書会。読書会では、各人が参加者に感想を紹介。


下述は、「第8講 気品」の一部抜粋。

「さて今日は、「気品」という問題についてお話したいと思うのですが、気品は、人間の値打ちのすべてを言い表すと言ってもよいでしょう」。

「気品は、ある意味では、全人格の結晶だと言うこともできましょう。気品というものは、その人から発する、いわば内面的な香りとでも言うべきもので、ここぞと、形の上にいって捉えることのできないものです」。


「おそらく気品というものほど、われわれ人間にとって得がたいものは、外にないかもしれません」。

「いかなる修養が人間の気品を高める上に役立つかと申しますと、いかなる修養も、気品を高める上に役立たないものはないでしょう」。

「しかし、そのうちでも特に根本的なものは何かというと、私の考えでは、内心のけがれを除くということかと思われます」。

「すなわち「慎独」、つまり独りを慎むということではないかと思うのです。・・・気品のある人間になるためには、慎独、すなわち、人間がただ一人いる場合にも、深く己れを慎むということです」。


気品、心に残る言葉です。

学生諸君からは、『修身教授録』から人としての生き方を多面的に学び、実り多い勉強会でしたとの感想が届きました。私は、学生諸君から刺激と元気をもらった楽しい3年間。

各学部の卒業式後の「卒業を祝う会」で、読書会に参加した多くの卒業生から「先生、読書会での学び一生忘れません。これからも学び続けます」と挨拶され、とても嬉しかった。


また、森先生は、「真に志を抱く人は、昔から分陰を惜しんで書物を貪り読んだものであり、否、読まずにはおれなかったのであります」。

「諸君は、差し当たってまず「一日読まざれば、一日衰える」と覚悟されるがよいでしょう」、と読書を奨めています(第9講 読書)。

山形SC所長推薦図書から、森先生の書籍を発見し、『修身教授録』の読書会を思い出す。優れた書を通じた読書会、書と参加者から学ぶ、楽しいひと時です。

『事上錬磨』(安岡正篤:一日一言)
「心身の学を修める上で忘れてはならないことは、事上錬磨ということであります。それはわれわれが、絶えず日常生活の中でいろいろな問題について自分の経験と知恵をみがいてゆかねばならぬことです」。

「己を修めないで人を支配しよう、人を指導しようと思っても、それは無理というものです」。

修身、斉家、治国、平天下(天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭をととのえ、国家を治め、そして天下を平和にすべきである)。己を修める重要に思います。