2022-08-31

巨星墜つ、盛和塾稲盛和夫塾長ご逝去

♪兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川♪ 夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷♪

これは、稲盛塾長が大好きな『故郷』。盛和塾稲盛和夫塾長が、8月24日老衰のためご逝去。本日は、塾長について少し記します。

塾長は、27歳の時、8名で京セラを設立され、52歳で第二電電(KDDI)、さらに78歳で日本航空(JAL)を再生されました。

また、1983年51歳の時に、若手中小企業の経営者の経営塾、「盛和塾」を作られ、塾長として生き方や経営を指南。盛和塾は国内に56、海外に48あり、塾生数は約15,000人。

さらに、1984年52歳の時に、稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰。

約15年前に「盛和塾庄内」が結成され、私も塾生として盛和塾に参加させてもらい、塾長や塾生から多面的に学びました。

盛和塾は、ほとんど全ての塾生が、若手経営者。毎月の例会は元気がみなぎり、それに出席するだけで元気をもらっていました。この盛和塾は、塾長の強い希望により、3年前の2019年12月末に解散。

『稲盛語録』の一部を紹介します。

「世のため、人のために生きる」。「動機善なりや、私心なかりしや」。「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」。「ど真剣に生きる」。

「人生の目的とは、心の純化、浄化に努め、心を立派にしていくこと」。「心を高める努力と反省をくり返す」。

「日本の再生に必要なのは、「燃える闘魂」と「徳」、さらには「高付加価値」の獲得を目指した経済のあり方である。まず、困難な目標を自ら高く掲げ、その実現に果敢に向かう激しい闘志、「燃える闘魂」を持つ」。

「また、我々日本民族は古来、人間の「徳」を大切にしてきた民族だ。燃える闘魂を持ち、高品質の製品・サービスを提供し、「徳」をベースにした国作りで日本の再生は可能である」。

塾長は、安岡正篤先生や中村天風先生を初め、多くの方から学ばれたそうです。

全国各地で塾長講演会があり講演会後は、稲盛塾長と塾生の懇親会。何時も、懇親会の最後の締めは、塾長も含んだ参加者全員が、肩を組んで塾長の好きな『故郷』の大合唱。

♪如何に在ます父母 恙なしや友がき♪ 雨に風につけても 思い出ずる故郷♪

稲盛塾長からは、数多く学びました。『稲盛語録』は尽きません。

「人生の成功不成功のみならず、経営の成功不成功を決めるものも人の心です。私は、京セラ創業直後から人の心が経営を決めることに気づき、それ以来心をベースとした経営を実行」。

「心をきれいにすることは大事だが、不況や困難に立ち向かうには勇気が必要。絶対に目標を達成するという気概が必要。経営は意志である」。

「リーダーは目標に向かってなりふり構わず、闘争心、ガッツ、執念を持って立ち向かってゆかねばならない」。

「災難や苦難に遭ったら、嘆かず、腐らず、恨まず、愚痴をこぼさず、ひたすら前向きに明るく努力を続けていく」。

「これから将来、よいことが起きるためにこの苦難があるのだと耐え、与えられた苦難に感謝する」。

「よいことが起きれば、驕らず、偉ぶらず、謙虚さを失わず、自分がこんなよい機会に恵まれていいのだろうか、自分にはもったいないことだと感謝する。これが素晴らしい人生を生きるための絶対の条件です」。

また、塾長は、2014年に母校である鹿児島玉龍高校を訪問し、「未来を生きる君たちへ『君の思いは必ず実現する』」の特別講演。この講演は、9つの内容から構成。

「1)すべては自分の「思い」がつくり出している、2)「思い」が人類を進歩させてきた、3)利己心と利他心、4)心は自分で手入れしなければならない、5)心に抱いた「思い」を信念にまで高める」。

「6)中村天風の教え「不屈不撓の一心」、7)京セラとKDDIの創業期を振り返って、8)JALを再建した社員の「思い」、9)一所懸命に努力すれば「思い」は必ず実現する」。

特別講演の一部抜粋を紹介します。

「人生の結果も、人間関係も、地域社会との関係も、全ては自分の「思い」が作り出す」。

「「自分だけ良ければいい」という利己的で邪な心をなるべく抑え、思いやりに溢れた美しい利他の心が自分の心の大部分を占めるように、心の庭を手入れしなければなりません」。

「心の中にフッと浮かんだ「思いつき」を「何としても成し遂げたい」という強烈な願望によって、信念にまで高められたものにしなければならないのです」。

「電気通信事業へ参入する時私は、「動機善なりや、私心なかりしや」と、半年間くらい自分自身に問い続けました」。

「人間誰しも純粋で美しい「思い」を心に強く抱き、一所懸命に努力しさえすれば必ず実現できるということを、神様は約束してくださっています」。

♪志をはたして いつの日にか帰らん♪ 山は青き故郷 水は清き故郷♪

『故郷』、良い歌です。巨星墜つ、塾長からの学びは尽きません。稲盛塾長のご冥福をお祈りします。塾長に感謝です。

『なによりも大切なこと』(平澤 興 一日一言)

「なによりも大切なことは、人を生かすことである。そして、その人に喜びと勇気と希望を与えることである」。

稲盛塾長、人を生かし、その人に喜びと勇気と希望を与えて会社を経営し、JALを再生されたのだろうと思います。『なによりも大切なこと』、本質をついた箴言です。