2022-09-06

ポップコーン収穫、「ピョンタ」の採餌戦略

秋は、農作物の収穫の季節です。今年も我が家のビニールハウスで栽培したポップコーンの収穫時期がきました。2日前の日曜日に家族で収穫し、良いポップコーンが採れました。

収穫時に茎を見ると昨年と同じくアマガエルの「ピョンタ」が、各茎に山ほどいました。本日は、この「ピョンタ」を材料にした研究について少し記します。

私の専門の生態学は、自然の調和機構の解明や生物の個体数及び分布の実態を明らかにし、その決定機構を解明することが、研究主題の一つです。

例えば、我が家のビニールハウスの「ピョンタ」、昨年と今年で、数が変化していますが、その実態と理由及び「ピョンタ」のトウモロコシ畑全体の分布や茎当たりの分布とその理由などの解明です。

これだけ沢山の「ピョンタ」がいるので、何か研究が出来そうに思い、色々と考えたら大学院の友人の研究を思い出しました。それは、「クモの採餌戦略」の研究。

クモが餌を採る採餌戦略は、網を張り餌を待つ「待ち伏せ型」と、網を張らずに餌を探す「餌探索型」があります。前者にはジョロウグモ等、後者にはキクズキコモリグモ等がいます。

網を張るクモにも、ジョロウグモのように粗い網を縦に張るクモと、クサグモのように密な網を横に張るクモがいます。前者は、網への投資エネルギーが少なく、後者は投資が大です。

一方、網を張る「待ち伏せ型」のクモでは、餌が採れないと新たな餌場所に移動し、そこで網を張り餌が採れるのを待ちます。

友人の作業仮説は、「網への投資エネルギーの違いは、餌が採れずにその場所を移動する時間に影響を与える」。具体的には、網への投資エネルギーの大きいクサグモは、餌が採れなくても簡単に移動しない。

対象とした2種のクモでは、網を張るエネルギーが大のクサグモは、それが小さいジョロウグモより餌が採れずに移動を決定する時間が長い。実験の結果、この仮説は、正しいことが検証されました。

話は変わりますが、生物の空間分布も興味深い研究の一つです。そして、空間分布様式には、集中分布、一様分布、ランダム分布の3つがあります。

例えば、イネを30センチ×30センチの間隔で田んぼに植え、それを餌とする昆虫の空間分布を調べると、ある株に集まる集中分布、どの株にも同じ数がいる一様分布、デタラメな分布のランダム分布が考えられます。

また、一般的に、生物は集中分布する傾向があります。

さて、ポップコーンの「ピョンタ」、まずは、分布を調べましょう。おそらく餌が沢山ある処に多いと思われるので集中分布の可能性が高いと思われます。

また、その株での滞在時間は、餌の捕獲効率により決定される可能性があるので、滞在時間と餌捕獲率には正の関係がありそうです。

これらの関係をどのような実験や調査で明らかにするかは、ひと工夫が必要ですが、「「ピョンタ」の空間分布と滞在時間における捕獲餌量の関係」の研究が可能に思われました。来年までに研究方法を考えます。

さて、ポップコーンの収穫ですが、一つの株には2つのコーンが付いています。それを収穫し、茎を倒します。その後、茎を引き抜きますが、これがかなりの重労働。秋晴れの午前中にいい汗をかきました。収穫後は、乾燥させ食します。この秋から冬にはポップコーンを食します。楽しみです。

無農薬栽培による生物の多様性が高い我が家の畑。これは「趣味の農業」だから可能に思います。多様な生き物が暮らす我が家の畑、多様な生き物との出会い、面白いです。多様な生き物に感謝。

『心の態度』(平澤 興 一日一言)

「成功の日には、とかく人間はうわっ調子になりやすいが、失敗の日は人間を深くし、普段は充分眺めててもみない自分を改めて見直させ、落ち着いて考えさせてくれる」。

「恐らく失敗のない人生などに、誰もが仰ぎ見るような素晴らしい人生はないと思われるが、そうすると失敗が人生を腐らせるのではなく、この失敗に対する心の態度が人生を左右するともいわれよう」。

「失敗の日は、人生にとってはむしろ成功の日より重大な意味のある日である。それは人生の再出発の日であり、人生にほのぼのとした味と深さを与えるからである」。

「一度や二度の失敗にへこたれず、その日を人生の再出発の記念日として頑張ろう。楽しいではないか」。

70年近い自分の人生を振り返ると「七転び八転びの人生」、失敗して転びまくりの人生でした。確かに、失敗したときに今後の人生を考えた時もあり、「失敗の日は、自分を改めて見直させ、落ち着いて考えさせてくれた」のかもしれません。『心の態度』、なるほどと思います。